32/33
秋雨前線
秋雨の宵
夕暮れもなく
竹林の静けさに霧雨が降る
雨音は
葉に落ちる水滴の弾ける音
秋雨が通っていく時間
風は凪いで
空は海、波立っていて星はない
遠くで雨宿りするのは
からす、トンボに秋の虫
静かな雨音は、秋の始めの音
目を閉じていると聴こえるものは
笹の葉の重なる音と
水の世界の記憶
音と昔の字は、似ている
遠い昔から続くものは
音なのかもしれない
小雨の夜に触れるもの
雨の肌触り
穏やかな、静かな雨音が
浄化していく
静かに
遠くでは、百日紅の白い花々が
月の光に咲いているらしい




