第5話 否定された意志
今俺はダンジョンの入り口付近のギルドにいる
今日から傲慢のスキルレベル…ではなく階位を上げる為、ダンジョンの中でモンスターを倒しまくってちゃっちゃと上げてしまおうと考えていた。
確信は持てないが、この階位とやらが上がればきっとこの状態も改善されるだろうと思っている。
現状ではまだ【傲慢】の全貌の一握りさえ見れていない状況だ。
さらに階位の上昇までどれぐらいかかるかも分からない。
なのでひたすらモンスターを狩るついでに美味しい『依頼』がないかと探していた。
依頼はダンジョン内の素材や凶暴化したモンスターの討伐など主に2種類の依頼内容で出来ている。
俺はどっちかというと遠距離から高火力を狙えるので討伐依頼で出来る限り俺のC級の「魔導」と拮抗した『変異種』じゃないのがいい。
変異種はなにをしてくるのかわからんからな。
もしかしたら普通では有り得ない「敏捷」で追いかけてくるかもしれないし、何より予想外のスキルが怖い。
モンスターだからってスキルを持っていない訳ではない。
ただ、その変化が現れやすいのが俺たち人種だけなのだ。
というかステータスに種族が書いてあるということはファンタジーの象徴である誇り高きエルフだとか頑固なドワーフなどがいるのではないかと思う。
…今更だがなんでステータス画面などが出て来たのだろう。
ステータスが来たのは天の声笑が脳内に語りかけて来たのが始まりだったからなぁ
『ダンジョンの完全定着を確認。これより◼︎◼︎◼︎ー◼︎ィ◼︎星の法則データのダウンロードを始めます。』
この声をきっかけに続々と人々が魔法みたいなことができるようになった。
俺も魔法を使いたかったが「狙撃手」の副次効果で属性魔法系統を極端に覚えにくくなり、適正系のスキルも一般人が一等宝くじを引くぐらいの確率でしか手に入らない。
それを狙うよりは今あるものを鍛える方が遥かに効率がいい。
そうなことを考えているうちに希望した依頼に目星がついた。
それの内容を間違えを起こさないようによく確認していると
「あっ、あの時の!」
ギルドの受付前にいたパーティリーダーっぽい女性が急に俺を指差して受付になにかを伝えている。
俺に何かようですか?と質問しようと思ったら
「あの人が、ダンジョン内で私たちが瀕死まで追い込んだモンスターのラストアタックを奪ったんです!」
「しかもそのモンスターでしか手に入らない高価なドロップアイテムと素材を盗られたんだ!」
…は?
俺の身に覚えがない罪を受付に告白し、あまつさえ囃し立てるようにして周りに同調を求めていた。
「私たちだってかなり強い討伐依頼を受けていたのに…」
「ちょっとまて!俺はそんなこと知らない!」
「嘘をつくな!職員さん。この人を連行してください」
おいおいちょっとまて!なんでこんなことにならないといけないんだ!
「分かりました。今他の職員と犯罪者対応課に連絡します。」
分かりました。じゃねえよ!流石に無理がある!
「…すみません。ちょっと署まで来てもらいます。」
「なんで貴方たちについていかなければならないのですか?証拠は?そんな当事者の証言だけでやっていいことじゃないですよ!」
「あなたはどうも、胡散くさいんですよ。話は署で聞きますので」
「おい、おかしいだろぉぉ…!」
◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎
「…本当になにもやっていないのかって聞いているんだ!」
「ああそうだ。俺はなにもやっちゃいない!」
「ちっ、嘘はついてねぇみたいだな。…いくぞ。」
「まてって…!なんで俺を証拠も無しに連行したんだ?」
「ああ。それは…」
時刻は午後17時。もう探索に行ける時間ではない。
なんでこんなことに…いくら自問自答しても答えは出てこない。
だからってなんで俺を…そこまで考えたところで尋問されていた時の俺の質問の答えを思い出した。
あいつらは俺に…どうも身の毛がよだつ違和感を感じたらしい。
そして俺が何かしでかしたと聞いたら一刻も早く断罪しなくてはいけないという心の中にある正義感が脅迫概念を生んでいた。
もしかして…【傲慢】か?
その考えに至った時、言いようのない感情が、怒りが俺の中で暴れていた。
…なんで俺が?こんなことに巻き込まれなきゃいけないんだ…
_俺こそが誰よりも優れているのに_
これは俺も知らない感情だ。
いつもなら下らないと切り捨てるだろう。
しかし今は違った。
俺は世界から否定された気分になった。
_俺が全てなのに_
…そうだ。いや、そうだった。
俺がいけない理由など…
…俺はおもいっきり壁に頭をぶつけた。
いってぇ…意外と馬鹿にならないんだな。
そこで俺はようやくこんな感情自分らしくないことを自覚した。
これは多分【傲慢】の影響だろうと推測する
普段からこんなんじゃ生きていけないからな。
(しかしどうしたものか…)
俺は解決する方法を必死に考えながら帰路についた。
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