第20話 迷宮氾濫
〜「疾風の旅団」上沢春人視点 〜
「…なんだかそわそわするね。」
僕が今、大部分を占めている感情を正直に吐き出した。
「そりゃあ、二週間も前の魔王との最初の交戦でいいようにされては逃げられたからじゃねぇか?」
「まあそれもあるわよね。なにせ私たちは国民の安全のためにここのところずっとダンジョンに潜っていないわ。」
「それは分かるんだが…前の魔王がやっていたことが気になってさ。」
「ああ。あれか?魔王が意図的に起こした迷宮暴走のことか?あんなん深く考えたってしゃあねぇよ。」
そうなのだ。高原の言っていることは間違っていない。
なのにこの胸の高鳴り?
まるで危険を知らせるかのような…
ビビビビッ!ビビビビッ!
スマホから激しい音が流れてくる
これは…ギルドしか使えない緊急事態の通知音だな。
ほんの少し電波に魔力がこもっている。
実質これを鳴らすためにかなり多めのMPを使っているのと同じだと思う。
思わず拠点ににいる全員が僕のスマホを確認するような形になった
「おいおいなんだよそのメールは?もしかしなくてもやばいやつじゃんか!」
「今メールの確認をしているから少し黙ってくれないかい?」
「あー、わあーてるよそんなことぐらいはな。それより早く確認すればいいんじゃないか?」
「高原!今は緊急事態なのよ!…少しは静かにしてちょうだい。」
場の空気が悪くなる中開かれて通知にはとんでもないことが書かれてあった。
ー新宿ダンジョン、大規模迷宮暴走が起こった。至急ギルド本部に来てくださいー
「…は?」
思わず僕たちはあんぐりした口を開けている
「…大規模ってことは…?それって迷宮氾濫ってことじゃないの?」
「…ああ。事実上はだよね。」
「「「……。」」」
謎の静粛が場を包み込む。
「…あーもう!皆出撃準備して!」
「「了解。」」
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「よくぞ来てくれた皆の者!私は東京ギルド本部のギルドマスターの宮本松茂だ。まずは現在のダンジョンの状況を報告しよう。」
僕たちがギルドに着いた頃、もう現状の説明を行なっていた。
かなり早く来たはずなんだけど…どうやらかなりやばそうだね。
そんな僕の考えの答えをいうかのように高らかに告げた。
「どうやらダンジョン内で処理しきれないほどのモンスターが発生したという調査隊からの報告が上がってきた!そしてこのままいくと市街にモンスターが溢れると。」
…どうやら僕の根拠のない勘は早々当たったようだ。
今までモンスターが溢れるなんてことは起こらなかった。
今回の魔王はかなり知恵が回るらしい
こんな戦術今までの魔王ははしてこなかった
「そして!今日来てくれた探索者はこの新宿だけにモンスターをとどめてくれ!市内に住んでいる市民には避難警報を出し、避難させた!」
流石、ギルドの権力は侮れない。もう色々手が回っている
だけど僕たちだけで防ぎ切れるのかが心配なんだが…
「そして今日はランキング上位の『正義の勇者』の称号を持つ清水光希さんに来てもらった!」
そういうと共にギルマスが立っていた隣に突如女性が出てきた。
「私たち、同業者の皆さん!今、日本の中心が危機に立たされていることを知って駆けつけました!光希と言います!この街での防衛を絶対!成功させましょう!」
ローカルランキング日本5位の演説を聞いた僕たちは士気を高めてくれた光希さんに感謝しながら僕自身にに気合を入れた。
現在は5位の光希さんだが将来的には日本のトップになると言われるほどの才能と実力を持っているらしい。
しかもここには日本3位の村山さんもいる。
現在ダンジョン内でモンスターを少しでも抑えるための活動をしているのでここにはいない。
…このメンバーだったらいける。
僕だって一応ランキング上位だ。僕が知っている限りの属性ならほとんど使える。
そう思いながら街で配置の説明などをに聞くためにギルド本部に入るのであった。
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〜新宿ダンジョン100階層入り口〜
…どこまで歩けばいいんだ?
俺は【叡智アル者】を手にしてからかれこれ数時間はこの長い通路を歩いている。
時々壁にアダマンタイトなどのやばいものが埋まっていたが今の俺には【創リ出ス者】があるためそこまで必要ない。
そんなことを考えているうちに通路からルームに繋がる光が見えた。
多分100階層のボスモンスターだろう。
いや、今はこの階層が最後だからラストボスか。
さらに歩き続けているとかなり広いルームに出た。
障害物など一切ないだだっ広い空間だな
同心円状に広がる波紋に足を踏み入れた瞬間、
ルーム全体が大きく揺れ始めた。
ゴゴッゴゴゴゴッ!
そして、あのファンタジーで必ず夢見るモンスター、白いドラゴンが中央からまばゆい光を放ちながら出てくる。
あれは…聖属性の龍種か?
どっかで白いモンスターと黒いモンスターはばか強いと聞いたことがあるが…
どうやら間違ってはなかったようだ。
白いドラゴンはルーム全体に向けてとんでもなく大きい咆哮を放っていた。
ドラゴンからすれば威嚇だが俺から見たらもう物理攻撃だ。
だがそんな咆哮をしている間に右翼に数え切れないほどの焔の飛槍を展開し、左翼には大量の武器を浮かばせていた。
さあ…狩りを始めよう。
俺にとってはただの蹂躙だ。
ドラゴンに向けて俺は敏捷値を振り切るぐらいに翼で飛んだ。
その間に背中の高度収納魔術式から深淵剣を取り出して空間を切るような形で横に一閃した。
深淵剣は空間に攻撃できる。
なので斬った空間が修復される反動で大爆発を起こす。
至近距離にいた俺は即座に空間を切り離し防御をとっていた。
そして爆発が終わった頃、ルームは砂煙で充満していた。
そして隠れながらドラゴンの左手を回りながら焔の飛槍と生成した武器を一斉に放つ。
【闇の暗視】は便利だなぁ。
こんな時でも闇属性を使った遠視なのでこの砂煙の中でもドラゴンの姿は目視できる。
どうやらドラゴンは俺が放った魔法やら武器やらの対処に追われているようだ。
なにせ武器は一本一本威力が桁違いだし魔法はかかったMPがばかにならないほど注ぎ込んだ。
そしてドラゴンの真上に次元魔法で空間を繋げ、そこから残った武器と魔法をガンガン放つ。
グガガガァァ!!!
ほとんどの攻撃が見事に命中した影響か、もうドラゴンが瀕死なんだが?
まあ俺には確定必中があるからな。
外れるなんてことは奇跡が起こってもあり得ない。
動くこともままならない白いドラゴンにトドメを刺すと思ったんだが…
これ【絶対支配】効くんじゃないか?
今なら瀕死だし…やるだけやってみるか。
お?何やら発動するためには呪文みたいな決まり文句があるらしい。
「我は【傲慢を司る者】!全てを超越し、全てを変える者!我に敗れし者よ!我が眷属となれ!【絶対支配】!」
グ、グガァァ…
言い終わると共にまたもやドラゴンから白い光が漏れる。
そして俺の肩になるぐらいのサイズになって現れた。
…まじで成功したんですけど!?
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