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第19話 消えかけていた想い


「つまり?この階層は俺たちみたいな入ってきた者を強制的に夢を見させるのか?」


『はい。そうです。』


俺は今ひたすら鑑定補足に質問している

(はた)から見れば独り言をブツブツ言っているやべぇやつだが99階層に探索者が入ってこれると思えない。


なので俺の名誉は守られるから大丈夫だ。

脳内で語りかけるよりイメージが湧くからな。


「ん?じゃあこの階層の存在意義(テーマ)はなんなんだ?」


それもそうだろう。何故なら俺は少しもダメージを喰らっていないからだ。


もし寝てる間に何かがあるなら恐ろしいが逆に言えば、この階層は()()()()()()


ただ探索者に夢を見せられるだけ。

状況が何か変わるわけではない

一体何が…


『…まだ、わからないのですか…』


鑑定補足が呆れたかのような声が出る。

ていうかそんな感情も出せるのかよ…?


「だから!この迷宮構造(ダンジョンギミック)はなんなんだよ…。」


『…』


なんだか、ものすごく白々しい静粛がルーム内に流れる。


俺が何をしたっていうんだ…


『…ユウヤ様はどんな夢を見たのですか?』

「おっ、ようやく答えを言うようになったか。俺が見たのはダンジョンができる前の生活だよ。あの時は楽しかっ…」


『それが、今一番欲しい「モノ」なのではないのでしょうか?」


「っっ!!」


『楽しかった過去…輝かしい昔の日常…それがある探索者に探索者自身が持っている過去を映し出すのです。』


「お、俺は…。」


自ら心に蓋を閉じていた想いに自分自身が一番気付いていないとはなんと滑稽(こっけい)なことか


いや、わかっていたはずだった。


あいつらとは思い出を分かち合うことができないってことぐらい


俺だってもう人間じゃない

もう別の種族なのだ。


人間至上主義の探索者ギルドなどの上層部のことだ


もう他の種族のことがこれからの「探索」に邪魔な存在になると言うことに。


最近知ってしまったんだ。

俺以外にも他の種族になった人などを


ランキングにあったんだ。


そう言う人が侮蔑の対象になっていると言うことに

ランキングは種族関係なく載ってしまう。


俺のがどう映っているかなんて知らないが恐らく存在は認知されているだろう。


埋まらない決定的な差に決別した思いはもうつなげることなんて出来ない


俺がそう思ってしまっている。


もう分かち合う事など出来ないと。


俺が諦めてしまっている。


もうここから(現状)から抜け出すことが出来ないと


一つの心の楔だ

俺の心の隅々まで打たれていて抜け出すことが出来ずにもがき続ける。

そして永遠にな。


どうゆう仕組みか分からないが堕天使になると身体的な成長が無くなったような感覚が芽生えた。


つまり時間という意味でも違ってくる


俺は、何も出来ないんじゃ…


『違います。』


「お前は何も分かっていないッ!!」


俺は身体中の苛立ちを吐き出すかのように叫んだ。


「…好きでこんな場所にいるわけじゃ…」


『違います。』


「…俺じゃ…誰かを傷つけてしまうから…」


『違います。』


「…俺は明るいあそこにはいてはいけないから…」


『違います。』


「…。」


『…ユウヤ様のその考え方は、もう【傲慢】なんですよ。』


「…。」


『勝手にこの世界から否定されたかのような心情になり。』


『勝手にこの世界から逃げたんですよ。』


『でもそれはいつも貴方の考え方だ。』


『誰かを救うために。』


『誰かを思いやるために。』


『誰かを見捨てないために。』


『誰かに……救って貰うために。」


「…!」


次元から飛び出すようにして一人の女性が現れる。


まるで俺の女性だった場合の姿を見ているかのようだ。


でも…不思議と安心する。


「だからこそ、誰よりも孤独になっている。そんな貴方に。」


「分かってくれていた人が…いたんじゃないんですか?」


「…そうだな。」


気づけば俺はダンジョンの床から立ち上がっていた。


俺は誰かに愛されたかったんだ


子供の…我儘だ。


………だけど。


俺はたしかにいたんだ。


分かり合える仲間が。


肯定してくれる友が。


俺を見捨てない人が。


俺はたしかに愛したんだ。


あの暖かった日常を。


仲間がいた想い出を。


何も恐れない人達を。


なんだか俺が心配していたことが急にばかばかしくなってきた。


もし、俺に鑑定補足がいなかったら分からなかったことだ。


俺を見てくれていた誰かに教えてくれなければ。


そのまま知らないふりをしていたかもしれない。


「よっしゃああ!」


今の現状を飛び越えて

悲しみも苦しみの壁もぶち壊して、俺は生き抜くんだよ。


その気概をもって、俺はようやくここから進むことを決心した。


「いやー、分かると恐ろしい階層だなここは。」


「そうですね。ここの階層は強くなった人類の器を確かめるような存在意義(テーマ)がありますから。」


「ああ。そうだな…ってなんで鑑定補足が普通に俺と喋っているんだ?」


「ああ、はい。本日もって私、鑑定補足が、【叡智アル者】に進化しました。」


「……はあ?」


「はい。一つの器として成長を果たしたので」


俺は音速でステータス画面を開く。



ーーーーーーーーーーーーーーーー


・叡智アル者…所持者のもう一つの人格とも言えるスキル。聞くことならなんでも答えてくれる。ステータス状況や、所持者の体を自動で動かしたりできる。このスキルは所持者性別と反転した姿でなら現実に出ることができる。このスキルは神の恩恵から独立したスキルである。by叡智アル者


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「ふあああ!!」


思わず腰を抜かすレベルで驚くわ!!


前も説明されていたんだが本当に存在したのかよ…


「ちなみに、神から独立したため、私、叡智アル者はスキル内容が表示されなくなりましたので私が執筆いたしました。」


「…本当に万能だなおい!」


「これからのスキル管理などは私が行なって行きます。それよりユウヤに聞きたいことがあります。」


名前が呼び捨てなって距離感が縮まったことが現れていて嬉しいなぁ


「おう!なんのことだ?」


「私に…名前をつけてもらえませんか?」


「ふあ?」


急な爆弾発言に二人で困惑している?

何この状況?


「えっと。つまり叡智アル者じゃなくて他の名前がいいってことね!」


「はい。そうです。」


任せておけ!俺の名前のセンスはギリギリセーフのラインだ。どうにかなると思う。


俺は自身満々にそう告げた。



◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎



「…却下です。」


「なんでだよぉ!もうこれでいいじゃないか!」


名前付けが始まってから大体30分後、まだまだ全然決まらない。


沢山の?案が出たがそれら全て無しにされてしまった。


かん子とか?かんていちゃんとか?


いい名前だと思うんだがな…


「分かったじゃあ最後!これはどうだ!」


「ろくなものじゃなかったら許しませんよ…」


「君の名前はな。ユウナはどうだ!?」


もうろくに鑑定補足とすら言えなくなったためこう言うしかない。


結果はどうだ…?


「…最初からそう言ってくださいよ…」


若干涙目で俺に言われても

こっちが困るのだが?


「よし!決定!かんて…君はこれからユウナだ!」


「…ありがとうございます。」


こうして名前を付ける時間は平和に終わったのであった。


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