第15話 迷宮暴走の知らせ
〜 魔王討伐隊「上沢」視点 〜
「クソッ!あの魔王、ダンジョンを壊して迷宮暴走を引き起こしやがった!」
僕らの気持ちを代弁したかのような声が聞こえてくる
よく見ると似たような傷が奥の壁にも広がっている
出現したばかりの魔王なのにもうダンジョンの壁を容易に傷つけられる程なのか…
このままではダンジョンの修復が始まるまで戦い続けることになるだろう。
撤退するのか?だとしてもできるのか?
疑問が絶えない僕に村山からの指示がくる。
「慌てるな!俺たちは強い!陣形を組め!前衛が抑え、後衛が仕留めろ!」
「了解した!」
「くく、俺の闇の炎に包まれるがいい…【ダークファイアブラスト】!」
あんなカッコつけているのに後衛だったのか…と関係ないことを考えていると
「おい上沢!お前は地上転移の演唱を始めろ!」
は?何を考えているんだ!あれは成功が難しい割に失敗すると場所がわからないところに転移されるんだぞ!
「何言っているんだ!こんな状況で成功するわけないだろう!」
「バカやろう!俺たちがこのままずっと絶えられるわけないだろ!成功されるしかないんだ!」
「上沢は転移の演唱ができると聞いている!やれるのか!」
皆僕の転移呪文に賭けているようだ。
「ああ!もう!わかったよ!成功させてやる!」
やけになった僕は【高速演唱C級】というスキルを用いてとんでもない速度で即時術式を完成させる。
普通なら一分とたたずに僕のMPが尽きるのだが逆に言うなら一分は持つ。
だから皆僕の演唱が終わるまで耐えているのだ。
その間にモンスターが通れない転移術式を完成させて撤退するしかない。
「【嗚呼!忌々しき誓約よ!生物に囚われた我らを救い給え!【転移陣配置】!」
そしてようやく配置できた転移術式の周りにもう陣形を移し終わっていた
「解放するぞ!準備はいいのかい!」
「ああいつでも大丈夫だ!お前ら!転移術式を開くから次元圧力に耐えろ!!」
「「「うおおお!!!」」」
討伐隊たちからむさ苦しい声が聞こえてくる
失敗は…許されない
「いくぞ!【解放】!!」
それから膨大な光量と次元圧が押し寄せる。
それから僕らは転移術式に飛び込んだ
◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎
「うおっ!なんだ君たちは!」
地上のギルド職員の声が聞こえた時、僕は心から安堵した。
「すみません。僕たちは魔王討伐隊の者で」
「あっ!すみません!何があったのですか?」
なんとか理解してくれた職員を通じてギルド上層部に通達しに行った。
「はあ。もう疲れたわね…」
「そうだな。もう盾も剣もボロボロだしな…」
雫、高原も同じ気持ちだったようだ
「そうだね。帰ったら飲むか。」
「「おお!上沢の奢り?」」
こういう時だけハモられる声に僕はうんざりする。
「ああもう!わかったよ!全部終わったら今日は僕の奢りだ!」
「「やった〜!!」」
メンバーから嬉しい声が上がる。
はめられた気もするが今日くらいはいいだろう
「そこのお前ら!遊んでないで事後処理を手伝え!」
とそこに悪魔のような言葉が投げかけられる。
「…僕チョットMP無くてヘトヘトだから寝るね!」
「あっ!ちょっとずるいぞ!」
夢の中に逃げた僕に高原が声を上げるが
「お前たちは手伝って貰おうか!」
村山に首元を掴まれた雫と高原は僕を置いて渋々ギルドに向かったのが見えた。
今日くらい…あいつらに任せてもいいよね?
僕は公園のベンチにて日のあかりを浴びながら静かに寝るのであった。
◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎
「はぁぁぁ!!!」
俺は無駄にMPを注ぎ込んだ火炎の一撃をモンスターに見舞った。
「くそっ!」
いくらモンスターを狩っても心のもやは晴れない。
むしろ余計な感情を増やしているようにも感じた。
「俺はどうすればよかったんだ…?」
だが狩りを止めればあの時の自問自答が繰り返される
「【火炎放射】ぉぉぉぉぉ!!!」
膨大な大火力をたかがハイゴブリン3体に見舞う。
考えていたら間違えて火属性の初期魔法を放ってしまった
「……俺は…。」
俺は今の現状がひたすらにやるせない。
仲間だった者を傍観し見捨てた自分と
その仲間との自ら関係を切った現状に
俺は俺自身の行動の全てに勝手に失望している
それを招いた自分が頭を抱えているこの状況に
ひたすらな孤独から助け出してくれる仲間もおらず
全てが俺の…俺自身の【傲慢】に繋がっている
『おいおい、1人で解決できると思うなよ穂村!』
『違うの、そういう考え方じゃダメなの。』
『僕たちは……助け合える仲間だろう?』
『強く生きて…私のゆうや』
高原の助言が、雫の指摘が、上沢のの想いが、母さんの声が
俺の中に走馬灯のように思い返す
_俺はなんだ?_
なんだろうな。自分という存在価値が薄くなっているような気がする。
まるで他者が俺の体を使うかのようなーー
「がはっ!」
狂気に取り憑かれた俺自身の腹に一発拳を入れる。
めちゃくちゃ痛ぇ…
今の俺の頭はダンジョンの壁さえ破壊してしまうからな。
なんとか皮肉を言えるぐらいの正気を取り戻した俺はこの感情がなにかを考える。
まるで心にぽっかり穴が空いたかのような
……今1人で自問していても仕方がない。
大体今の状況なんて1ヶ月前の俺から見たら考えられないようなものじゃないか
しかも陰陽の草原じゃないところでないやってんだって話だ。
「はぁぁ。」
思わず深いため息とついでに気持ち悪い感情を流した
…取り敢えず草原に戻るか。
精神的に疲れた俺は草原に戻るのであった
◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎
「やっぱりか!」
……色々悩んでた時期が俺にもありました。
が、そんなものは【武器創造】のランクアップで吹き飛んだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・武器創造S級…あらゆる想いを武器に具現化できるようになる。所持者の魔法や技術を創造した武器に込めることができる。一度に100本まで同時に作成することができる。
追記 : ・現代武器も作れるようになる。
・上位スキルがあるらしい
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「よっしゃあぁぁ!!」
遂に念願の武器創造のランクアップの結果を前にして思わず飛び跳ねる
スキルはランクアップするごとにできることがかなり増える。
今回武器創造のランクアップでできるようになったことは、迷宮素材を必要としなくなった。
そのかわり膨大なMPを消費するがこれはしょうがないことだろう。
でも俺がやりたいことはもっと他にある。
それは【座標指定】と繋げて使うことだ。
例えば創造したライフルを合計100本ぐらいを俺の翼のように空間座標に『固定』したらどんな事ができるか?
それは指定した座標にライフルを発砲する機能をつけたら一斉に放つことができるのだ!
それは俺の強くなったらやりたいことの中の一つであり、科学では成し遂げられないこれは魔法でやってみせると誓っていたのだ!
それが思わず形で実現したのは素直に嬉しい
早く武器創造を試したいが今日は疲れた。明日になったら試してみよう。
ちがう!そうじゃない!男っていうのはな!浪漫を追い求めるんだよ!
俺は小屋にあるベッドの上で明日やりたいことを考えながら眠った。
誤字脱字ありましたらご報告よろしくお願いします!
出来ればこの作品に評価をしてくれればなと思います!
この作品を見てくださっている読者の皆様、よければブックマークもよろしくお願いします!見てくれる読者がいるだけで作者のモチベが雲泥の差ですのでお願いします!




