第14話 討伐開始と異変の前兆
「いまから魔王の調査もとい討伐を開始する!用意はいいか!」
ギルドのホールに集まった新宿魔王討伐隊の面子が揃うと、いかにもむさ苦しい男の声が行き渡る。
「当たり前だよ!そんなことよりはよ進も!」
「そうだ。一刻も早く魔王を討伐しなければいけない…と俺の正義が疼いている…」
何やらこれから死地に赴くのに元気そうな声と絶賛病気にかかっている高校生が右目を押さえながら何やら喋っているようだ。
めんどくさいので皆両方放っておく
少しは周りの空気読めお前らという圧がかかっているのに対し気づかないのか果たして無知なのかまだ喋り続ける。
それはこれから仲間たちに喝を入れようとしていた村山という大男もこれには青筋を立てる。
「テメェらガキども黙っとれ!いいか!これは命懸けでやることだ!俺がリーダーである手前、指示に従わないのならいくら強くたっても討伐隊から抜けてもらう!」
「あーわかったよ!黙りますぅ…」
ようやく静かになった頃、急にダンジョンから大きな揺れがきた。
やがて一分後に揺れは収まったが周りは落ち着いていられなかった。
「これって『迷宮暴走』か…?」
「だとしてもこの揺れは異常すぎる。迷宮暴走は大体揺れの強さでモンスターが出現した物量がわかるからな…」
「お前ら落ち着け!」
再び討伐隊に喝が入る。
「ダンジョン内では俺らのチームワークが一番大切だ!今までダンジョンでの経験を活かし、立ち回れば俺らなら【魔王】を討伐できる!やるしかないんだ!行くぞ!」
「「「おう!!」」」
村山の声を聞いていつもの調子を取り戻したごとく、皆が生き生きとし始めた。
この討伐隊に女性がいないわけではないのだが大半が男連中を占めているからね。
必然的に男の熱気に負けてしまう
そういえば僕たちの中で「ランキング」の話に盛り上がっていたなぁ
皆口々に俺は何位だとか私は何位よだとか自慢大会を始めていた。
中にはあの有名なスキル【領域展開】持ちの人もいた。
あとランキングシステムが始まってからずっとローカルランキング1位が変わっていない。
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〜ローカルランキング〜
1位名前 ◼︎◼︎◼︎ 種族 ◼︎◼︎◼︎
称号 :【傲慢】ナル者
2位名前 神坂斗真 種族 人間
称号 :神速の剣聖
3位名前 村山和樹 種族 人間
称号 :爆炎の拳闘士
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何故か1位は文字化けしており日本中が誰が1位なのか困惑している。
明かされているのが【称号】だけで他は何もわからない。
称号は各国ローカルランキング10位に入るとつけられる別名みたいなものだ。
直接的な影響は何もなくあったのは称号を利用した名声の獲得だけだった。
ここの討伐隊のリーダーの村山は現在日本3位であり、世界各地のダンジョンを攻略するトップランカーだった。
かくゆう僕も32位なんだけどね。
僕以外の高原や雫も40位以内に入っている。
惜しくも称号をもらえなかったが日本で32位という数字はとても大きい。
しかし僕らはどうしてか皆1位は誰なのか気になっている。
そりゃ日本の頂点だからね
ランキングシステムが出ると言われた時日本1位は神坂さんかと思ったよ。
人の域を超越した剣術や敏捷などがネットやニュースなどで話題になっていたからね。
中でも魔王出現時のとき、神坂さんが1時間の死闘をやり、最後に居合一閃で横一線に斬った動画はかなりネットで取り上げられていた。
そんな中、誰もが1位は神坂だなと思っていたところに謎の文字化けが1位だと言われている。
普通の感性を持っているなら怪しむだろう。
きっと誰もがバグだと思うに違いない
でもここに書いてあるのは真実だと本能に近いものが反応している
きっとどこかにいるだろうと。
あと僕がランキングシステムでの目的は穂村が生きているかどうかだ。
穂村に逃げられたから1ヶ月ぐらい経ったがやはりランキングには穂村の名前が載っていなかった。
…そろそろ現実を見なければならない。
そう思い、僕は自分自身に喝をいれて、討伐隊はダンジョンの中にいる魔王を討伐しに迷宮に入っていくのであった。
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〜【傲慢】ユウヤ視点 〜
「おお…!」
時同じくしてユウヤも激しい揺れに襲われていた。
「これは迷宮暴走の揺れか?」
だとしたらまずい。ここまでの揺れはダンジョンに相当な負荷をかけているだろう。
このままだとダンジョン内に信じられない量のモンスターが湧き続ける。
「これは…上層で破壊行為か?」
俺は人類で迷宮の壁を壊せる奴なんて知らないんだがな…
そうだ。つい最近ステータスボードのアップデートが来たんだよ。
それがランキングシステムというやつの導入らしい
それで俺も気になって覗いちゃったんだよ…
そしたらそこに何故か俺の名前が入っていたんだよ!
なんで俺も入っているんだ!と思ったんだが多分『恩恵』を授かっている者をランキングに載せているのだろう。
そのせいで俺は現在世界3位の日本1位だ。
もう立派な日本代表になってしまっている
ていうか傲慢スキル持ちなのに世界で3位ってどうゆうことだよ
まだ俺より強いやつがいるのか?
まあいい。そんなことより上で何があったのか確認しなければならない。
これによって今後のダンジョンでの活動が関わってくる。
俺は草原から階層接続の術式を使って40階層付近に転移するのであった。
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「あれは…【魔王】か?」
俺は隠れながら原因を探していたが意外とすぐに見つかった。
流石に魔王は俺でも知っている
遂にこのダンジョンにも魔王が出てきたか…
この魔王、アホらしい言動をとっているが意外と頭が回る。
今は迷宮暴走を起こして地上に大量のモンスターを送ろうとしているっぽい?
このまま放っておいても仕方がない。俺が討伐するかと思った直後、魔王のいる前方から沢山の影が現れたので俺は慌てて身を隠す。
『ん?なんだお前たちは?ニンゲン共か?』
「ああ、そうだ。俺らがお前を殺すことになるだろうさ」
この階層に人がきたのか?
だとしても危なかったが、人前で俺が出るわけにもいかないので待機していると、
『クッ、クハハハハハッ!!』
「なんだ?何がおかしい?」
『ハッハッ!…それはお前らニンゲンがこの状況を理解していないからだ!』
そういうと共に魔王が壊していた壁から大量のモンスターが出てくる。
『さてニンゲンよ?この数相手に耐えられるかな?』
それと言うと共に魔王が逃げ始めた。
「クソッ!いちいちキザっぽいこと言いやがって!」
そう言いながら人の集団は大量に現れたモンスターとの戦闘を始める。
意外にも人間のレベルが高かったので俺が出ないで済んだ。
「お前らは前線へ行け!魔法が使えるやつは後方から攻撃!ついでに『疾風の旅団』の上沢!お前も後衛だ!」
「了解した!」
その声が聞こえた時、俺は息が止まった。
疾風の…旅団?
上沢たちがいるのか!?
そのことを察した俺は即座に撤退した。
…今の俺はあいつらに合わせる顔がない。
今更どのつら下げてあいつらに会えばいいと言うんだ。
自分勝手に出て、勝手に死にかけ、
仲間たちを切り捨てた結果、俺がここにいる。
あいつらに会うなんて…俺にはできない。
俺は移動の術式を展開し、陰陽の草原に戻った。
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