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第13話 魔王の存在


「グギャ!」

「うおっ!まだ居たのか!でもこれで最後だ!」


嫌悪感を与えるハイゴブリンの声に俺は思わず驚いたが、今まで借り尽くしたゴブリンの集団の死に様をバックに最後のハイゴブリンナイトを深淵剣で叩き潰した。


うえっ!これじゃ迷宮素材を回収できないな…


俺は潰して倒したゴブリンを火魔法で焼き尽くした。


本来なら約24時間程で死体ごと迷宮に吸収されるのだが、あまり見ていて気持ちいい物ではなかったのでそのまま焼いたのだ


ゴブリンにはいくつかの役職のようなものがある


例えば剣を持ったゴブリンならファイターやソード、ナイトなどそれぞれの特徴を生かした戦い方を強いてくる。


ゴブリン単体は弱いのだが集団になると危険度はかなり上がってくる。


最悪階層内で囲まれると言うこともあり得るのだ


しかもここは86階層。『一般的』に見たらとんでもない強さのゴブリン集団、いや、これは軍団と呼べるほどのハイゴブリンの群れに遭遇した。


何故かここ最近はモンスターの迷宮暴走(ダンジョンパニック)が激しい。


迷宮暴走とは、その迷宮内で出現するモンスターの数が通常より信じられない量のモンスターが一度に湧いてくる現象だ。


この現象は迷宮への破壊行為やモンスターの狩りすぎなどでおこるのだが、モンスターを沢山狩ってもここまで多くのモンスターは出てこない。


そしたら当てはまるのは迷宮の破壊行為なのだがあいにく俺はそんな面倒なことをやったことがない。


迷宮の壁や床は異常な硬度を誇り、さらには自己再生S級がついているためほぼ貫くことや粉砕することなどできない。


俺ならやらないことはないが大量の『魔力』もといMPを消費することになる。


だとしたら誰が…となるがまだそんな情報など入ってくるはずもないし今は地上に出たいなどとは思わない。


現実から逃げた俺がかつての「仲間」が赦してくれると思わないからだ。


できることならこのまま俺の存在は風化して欲しい


だが俺もまあまあの実績をパーティの中で立ててしまったからな。簡単にギルドからなかったことにされないだろう。


ちょっと迷宮の全階層探しに行ってくる!と言っても一つ一つの階層の広さは尋常じゃない。


さらに言えばここは東京の新宿の駅地下ダンジョンだ。50階層から下は普通に探索者がいる。


下手に俺の顔を見せることはできない。


うーん、どうしようか?

取り敢えず隠れながら確認するか?いやそれは難しい。


傲慢のスキルを持ってから無駄に存在感を表すようになったため、並の隠す系のスキルは効果を得られない。


…現状維持でいくか。


まあ俺が何か対抗策を打っても意味ないし自分の自衛くらいなら片手間にできる。


モンスターが大量に湧いてくれるなら俺の経験値になるからな


ならわざわざ異常を解決しなくともいい。


そんなことより俺はまだまだやらなければいけないことが沢山ある。


早く傲慢の階位を上げたいからな。


そう結論付けた俺は狩りを続行するのだった。



◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎


〜『疾風の旅団』上沢たち視点 〜


「聞いてくれっ!『魔王』が現れた!」


地上に帰還してから早々、僕たちはギルドに大声で魔王の存在を伝えた。


「そ、その話は本当かッ!?」


「それはヤバいな…早くダンジョン出入り口を封鎖しなければ…」


「他のやつも魔王っぽい奴がモンスターを従えているとか言っているらしいぞ?」


「ギルド職員に伝える!まともな証言をした第一発見者が『疾風の旅団』だったら信頼に足る。一刻も早くダンジョン封鎖令を出し新宿を防衛体制に移れ!」


「「「はい!!」」」


僕たちの証言を聞いたギルドはすぐさま情報を日本中にに行き渡らせ、有名な探索者、最近出た『世界探索者ランキング』の上位に載っている探索者を討伐隊に組み込んでいた。


魔王が地上に進出してきたら、すぐさま討伐するつもりなのだろう。


ダンジョンの中でも常にモンスター同士の抗争が起こっている。


戦っているのも生きるためなのだ


だが、モンスターも『成長』をしている


人も死に物狂いで戦えば多大な『力』を得る


モンスターだって連日の抗争で死を間近に感じながら、戦い、生き抜いているのだ


その中でもモンスターの強さの枠を超えて強くなる奴だっている。


それを僕たちは『変異種』や『強化種』と呼んでいる。


当然、力を得れば知恵も芽生えてくる。


それが極端に強くなりすぎたモンスターを『魔王』と呼ばれているのだ


魔王は突如、モンスターの枠組みを超えた強さを得て、今まで散々なことをしてきた人類を知覚することが出来る。


必然的に人に恨みを持ち、復讐しようと考えるだろう。


魔王になったものは例外なく全て『支配』というスキルを持っている。


このスキルは所有者よりレベルが低いものが所有者に屈したらその存在を支配できるスキルだ。


これにより魔王は大量のモンスターを従えて地上に進出してくる。


この現象を恐れる日本政府は万が一に備えギルドを全面支援して防衛対策をとっている。


そしてまるで人類に競争心を芽生えさせるようなステータスボードの『アップデート』がきた。


それは超常現象のステータスボードの別のページに出てきた。


『全ての星の人類にランキング制度の組み込みを行います。』


前回と同じようにステータスアナウンスの声がアップデートの情報を伝えてきた。


幸運なことにこのランキングシステムはローカルランキングとグローバルランキングで分かれている。


そしてこのシステム、いや今は『世界探索者ランキング』と名付けられたこれを利用して日本全国のランキング上位の探索者を集めて強い討伐隊を作ることができるのだ。


一応僕たちも日本の上位パーティとして討伐隊に組み込まれた。


他の討伐隊の面子(めんつ)も凄くかなり有名な探索者ばかりだった。


今では他の人たちとも仲良く関係を持てている。


「なあなあ『疾風の旅団』の上沢さん!魔王ってどうゆう奴だった?」


「あ、ああ。ちょっとアホっぽかったよ?」


「ははは!お前魔王を『アホっぽい』って言いやがった!こいつは傑作だな!」


「やめろお前たち!他の人たちに迷惑をかけるな!」


「へーい。」

「あーわかったわかった!お説教はいいよ!」


話しかけてきた人たちはどうやら個性が強いようだ。


「すまない『疾風の旅団』の皆さん。うちのメンバーが迷惑をかけてしまい」


「いえ、大丈夫ですよ。」


この人も苦労しているなぁ


そんな魔王討伐隊との交流はあっという間に過ぎていった。


グローバルとは世界のランキングという意味で、ローカルは日本全体のランキングです。


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