第十三話
夜の公園。
信太朗「…今は、6月13日17時。睦月が結菜と待ち合わせたのは19時。ギリギリか…。」
信太朗、メールをする。
ネコ、信太朗に寄って来る。ネコ1とネコ4に鉛の矢が刺さっている。
ネコ4にあげた餌をネコ1が、ねこ1が奪った餌をネコ2・3が奪う。
信太朗「やっぱり、このネコ達ネコカフェにいたネコだよな…?あれ、お前、いつものいじめっ子猫だよな?なんでいじめられてるんだ?」
弘志、つかさ、来る。
弘志「おーい、信太朗!!」
信太朗「おう。」
弘志「おうじゃねえよ。なんだよ、この睦月が殺される。助けてくれって!!」
つかさ「そうだよ。」
信太郎「ごめんごめん。ちゃんと説明するから落ち着けって。」
弘志「…で、睦月ちゃんは無事なんだろうな?」
信太郎「今の所な。」
つかさ「どういうこと?」
信太郎「…お前等、俺がタイムリープ出来る様になったって言ったら信じるか?」
弘つ「全然信じない」
信太郎「だよな…。弘志、お前学生時代、睦月のリコーダー盗んでたんだって?」
弘志「ぎゃぁぁぁーーーーあああ!!何で知ってんの??」
信太郎「未来の弘志から聞いたんだ。つかさは…」
つかさ「ちょっと待って。ちょっと…(信太郎を手招きする)」
信太郎「(耳打ち)」
つかさ「あっ…てる…」
弘志「ずるくね!!俺だけ言いふらされるって!!」
信太郎「二人共これで俺がタイムリープ出来るって信じてくれたか?」
つかさ「信じるしかないわね。」
弘志「聞けよ!!」
信太郎「うるせえな。睦月に秘密ばらすぞ。」
弘志「脅しじゃん!!」
信太郎「とにかく時間が無いんだ。二人共、神崎結菜を覚えているか?」
つかさ「神崎って…高校まで一緒だった結菜ちゃん?」
信太郎「そう。その結菜がこの後ここで、睦月を殺すんだ。」
つ弘「えっ!?」
信太郎「信じられないのも無理はないが、事実だ。」
つかさ「…信じるよ。でも、なんで?」
信太郎「…それが分からないんだ。」
弘志「わからないのに、何で殺す事は分かるんだよ。」
信太郎「…見て来たから。俺が見てきた未来では、俺が睦月に呼ばれてここに来た時にはもう、倒れている睦月と、血まみれの結菜がそこに居たんだ。」
つかさ「…」
弘志「とにかく!!ムッチャンが危なくなったら飛び出して、二人を止めればいいんだな?」
信太郎「ああ。」
つかさ「…ねえ、誰か来たよ。」
信太郎、つかさ、弘志、咄嗟に隠れる。
結菜が現れる。
信太郎「結菜だ。」
弘志「えっ、あれが結菜ちゃん?」
信太郎「そうか。この世界では猫カフェに行ってないから、二人は結菜に会ってないのか。」
睦月が遅れてやってくる。
結菜「夜遅くにごめんね。」
睦月「ううん。話って何?結菜ちゃん。」
結菜「…ん?うん…。…実はさ、私、学生の時から信太郎の事好きだったんだ。」
睦月「…」
結菜「…でも、この前フラれちゃった。まだ始まってもいなかったんだけどな…。」
睦月「…知ってた、結菜ちゃんが信太郎の事が好きなの…。あの頃の信太郎はいつも私達といて、正直、結菜ちゃんの事が好きなのか、私の事が好きなのか、それとも他の誰かかが好きなのか分からなかった。でも結菜ちゃんは大学進学を機に、私達から離れていった。あれって…」
結菜「そう。あえて別にしたの。別の大学に行って、自分を磨いて、もう一度信太郎に会った時、絶対私に振り向かせるんだって。そう思って別の大学を選んだ。でも、失敗だったかな…。余計に信太郎と睦月ちゃんの絆が深まってた。」
睦月「…実はね、大学に進学してからすぐ私と信太朗、付き合い始めたんだ。そして先日、信太朗からプロポーズされたの。報告しなくてごめんなさい。でも、保留にしたんだ。結菜ちゃんがメールで同じ学校で教育実習やるって言ってたから。もう一度信太郎が結菜ちゃんと会って、結菜ちゃんに頑張って欲しかったから。それで結菜ちゃんに振り向くんだったら仕方ないって…。」
結菜「優しいんだね。睦月ちゃんは何も変わらない。ヒーローの睦月ちゃんのまま。」
睦月「ヒーロー?」
結菜「そう。…ヒーローは自分の為じゃなく誰かの為に行動できる人。ねえ、睦月ちゃん。」
睦月「なに?」
結菜「…私の為に死んで。」
信太郎「やめろぉぉおおおーーーー!!」
信太郎、飛び出す。それに続いてつかさ、弘志飛び出し、結菜を押さえつける。
結菜「…信太郎、なんでここに…?」
睦月「…私がメールしたの。結菜ちゃんからのメール、なんか思い詰めていたようだったから。信太郎にも力になって貰おうと思って…。」
結菜「…。」
信太郎「…結菜。どうしてこんな真似。」
つかさ「そうだよ。私達五人いつも一緒にいたじゃない。」
結菜「いつも一緒にいた?笑わせないで。別に一緒に居たくていたんじゃない。信太郎がいたから…。だから、あなた達と一緒にいたの…。」
弘志「結菜ちゃん…。」
結菜「私、本気で信太郎の事好きだったんだよ…。でも、信太郎が見ていたのはいつも睦月ちゃんだった。一旦距離を取ろうと思って離れたけど、こんな事だったら同じ大学に行っておくんだった。」
睦月「それは違うよ。さっきは信太郎は誰が好きか分からないって言ったけど、あの頃信太郎が好きだったのは、結菜ちゃんだよ。」
結菜「えっ!?」
睦月「そうでしょ、信太郎?」
信太郎「…ああ。」
結菜「嘘よ。うそよ。ウソよ!!」
信太郎「だから、先週結菜と遊びに行ってみようと思ったんだ。高校の時好きだったから…。」
結菜「あっ…あっ…わあああぁぁぁぁあああああーーーーーー」
睦月「…つかさちゃん、弘志君。ごめん。信太郎と結菜ちゃんと三人にしてもらってもいい?」
つかさ「えっ、…うん。」
つかさ、弘志、去る。
睦月「…結菜ちゃん。私達が出会った頃、小学3年生の頃の事覚えてる?」
信太郎「…やべぇ、全然おぼえてねぇ。」
睦月「信太郎は黙ってて。」
結菜「…忘れられるわけない。あの頃の私は恥ずかしがり屋で、クラスメイトと話も出来なくて。しかも、両親の仕事の都合で転校ばっかり。そんなだったから、どこの学校に行っても、いつもクラスの男子から苛められてた。何回目の転校だったかなぁ。私は校庭の隅っこで1人、皆が遊んでいるのを見てたんだ。そしたらまた、いつものように男子たちが私の事をからかってきて…。」
信太郎「分かった。そこに俺が颯爽と駆けつけて、そのいじめっ子を追っ払ったんだ。」
結菜「苛めっ子を追っ払ってくれたのは睦月ちゃん。信太郎はその苛めっ子のリーダー。」
信太郎「俺、最悪じゃん!」
結菜「本当に最悪だったんだから。…それにしても、あの頃の睦月ちゃんかっこよかったな。」
睦月 「…」
結菜「どこからともなく現れて、いつも私の事を守ってくれた。それに一番お喋りしたのも多分睦月ちゃんだし、いつも一緒に帰ったのも睦月ちゃんだった。それにそれに、放課後一番遊んだのだって睦月ちゃんが一番多かった。睦月ちゃんは私のヒーローだったんだ。ちなみに大体の2番手に甘んじてるのが信太郎ね。」
信太郎「…」
結菜「一年くらい経つと私達はとても仲良しで、どこに行くのも一緒だった。だから、両親からまた引っ越しの話を聞いた時、すごく辛かった。お父さんもお母さんも大嫌いって言って、家飛び出して、睦月ちゃん家に駆け込んだのを今でも覚えてる。その後朝まで大泣きして、でも、その間ずっと隣で睦月ちゃんが肩を抱いてくれてた。」
信太郎「思い出した。次の日二人して学校休んだもんだから、心配になって俺は睦月家にお見舞いに行ったんだ。そしたら俺も巻き込まれて。夜、結菜の両親が来たんだ。二人ともめっちゃ怒っててさ、小学生だった俺はめっちゃビビった。」
結菜「でも、信太郎と睦月ちゃんは最後まで諦めずに私の転校に反対してくれた。それがきっかけで私、転校しなくて良くなったんだよ。あの時からね、信太郎も睦月ちゃんと同じ私のヒーローになった。」
信太郎 「別に大したことしたわけじゃねぇよ。」
結菜「ううん。私にとっては大したことだったんだよ。」
睦月「…私、結菜ちゃんに謝らないといけないことがあるの。…あの頃、何で結菜ちゃんの事を助けてあげられたかわかる?」
結菜「…」
睦月「どうして結菜ちゃんと一緒にいたかわかる?」
結菜「なんの話?」
睦月「わからないよね。実は、信太郎がいつも結菜ちゃんを見ていたからなの。…信太郎の近くに居たかったから、結菜ちゃんと一緒にいたの。…だから、ごめんなさい。」
結菜「…睦月ちゃん。」
睦月「もし、こんな私でも許してくれるなら、これからも友達でいてください。」
結菜「…睦月ちゃん。私の方こそこれからも私のヒーローでいてください。」
睦月「…結菜ちゃん」
結菜「…睦月ちゃん。むつきちゃぁぁあああーーーーん」
二人、抱き合う。
渚、天使見習い、現れる
渚「あなたの人生を変えるゲーム、これまでの人生をセーブしますか?しませんか?」
信太郎「ふう…。」
渚「良かったですね。丸く収まって…。」
信太郎「ああ。なんとかな。」
渚「では、信太郎さん。これまでの人生をセーブしますか?」
信太郎「ああ。」
渚「それでは望月信太朗」
信太朗「はい。」
渚「以上。」
信太朗「終わり??えっ、ないの?神の御加護とか!?」
渚「…(にやっと笑う。)」
渚、天使見習い、去る。
暗転。
救急車の音。
周りからガヤ。口々に「おい。人が校舎の屋上から落ちたぞ。」などと言っている。
ニュースが次第に大きく流れ始める。
信太郎「ぁぁぁぁあああああーーーーーーー!!!」
信太郎狂った様な大声を上げる。




