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第八話 強敵との戦いです。

俺は【鑑定Ⅰ】で目の前の生き物のステータスを鑑定してみた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


種族:剛亀(ごうき)♂ 名前:《無し》


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


くそ、流石にレベルⅠの鑑定じゃ、これくらいしか分からないか……。

にしても、やっぱり───


(足が少し震えるだけ・・か。ちょっと前までの俺だったら多分、腰抜かしてちびってたかもしれない。きっとアイツ(リリノイズ)の尋常じゃない雰囲気を経験したからだろうな。今は、少し・・怖いだけだ)


そう自己分析をした俺は深呼吸をした後、迷いのない動作で剣を抜いた。ちょっと前まではこの剣の重さに手を焼いたが、今はもうほぼ重みを感じない。木の枝を握っているのとほぼ変わらないくらいだ。多分、いや絶対、俺のステータスが異常なほど上がったのが原因だろう。もっとも、スライムを狩っていた時には既にこのステータスだったんだから、気付くのが遅れただけなんだが。


「それじゃあ、初めての全力戦闘、やってみるか─『GOAA!!』─なっ!」


俺が喋り終わるか終わらないかくらいで、亀みたいな魔物ーー剛亀が痺れを切らしたのか左前足左手?で攻撃を仕掛けてきた。その動き自体はとてもスローだったので、適当に右に少し力を込めて飛んで回避した。そうしたら───


「ちょっ、飛びすg───ぶへっ!!?」


力を込めすぎていたようで、壁に激突した。壁には小さなクレーターができていた。


「あ〜痛え。くそ、力加減とかもいつも通りじゃなくなってるのかよ。力とか意識してからだとこんなに難しいのか……」


クレーターができる程の速さで岩の壁に突っ込んだのに痛みはそれ程感じなかった。しかし、ここまで力加減を間違えるとは。剛亀の方も、俺が自爆みたいな行動をとったせいで、腕を振り下ろしたままの状態でこちらを見ている。


「ったく、なに見てんだよ。お前が攻撃してきたからこんなことになったんだよ。罰として、俺の力の加減の仕方を取り戻す実験体になってくれ、よ!」


先程よりも弱く地面を蹴り剛亀の顔面に向かって飛ぶ。だがそれでも、野球の豪速球並みの速さで俺は剛亀に突っ込んでいく。だが今度は心構えができていた為、豪速球の速さのまま俺は剛亀の左の顔面に剣を振り下ろした。


「おんりゃああ!」(ザンッ!)

『GYA、GOAAAA!!』


振り下ろした剣は抵抗もさほど感じさせず、剛亀の額に綺麗な直線を描いた。剛亀はその痛みで額を抑えながら吼えた。だが今の攻撃で戦意は衰えなかったようで、すぐさま額に当てていた手を離しこちらをその四つの眼で睨みつけてきた。


「うお〜……よっと、結構な高さ飛んだからちょっとアソコがヒュンッときたな……。てか、今の攻撃で剣が少し欠けちまったな……。あっちも全然弱ってないし、これゃ一筋縄じゃいかないっぽいな……」


俺は再び剣を構え、剛亀を見据えた。剛亀は怪我を負わされた怒りからか、それとも先程の速度では躱されると学んだのか、一度目の攻撃よりも速く右腕を振り下ろしてきた。それでも俺にとってはまだ躱せる速度だった。


『GYAORAAAAAAAAAA!!!』

「はっ! 遅いんだよこの亀!」


俺は先程と同様に顔面めがけて飛んだ。一度傷をつけた額に思いっきり剣を突きさせば、欠けた剣とも言えどかなりのダメージを与えられる筈とふんだからだ。だが───


『GOOOOAA!!』

(ボオォォォアァ!!)


剛亀の左の顔は、口から青い炎を吐いた。


「ちょっ!? 火ィ吐くのかよ!? やばい避けられな───」


俺は炎の中に突進してしまった。突っ込んでいく寸前に両手で顔を庇うように前に出したが、熱が全身を覆っていて、顔面にもその熱が伝わってしまっている為あまり意味をなしていない。


「あっ……ぐうっ……」(ヤバイ! 身体が燃えてる! 熱すぎて息が続かない……これは流石にヤバイ!)


昔、姉ちゃんが風呂の温度を間違えて60度近くまで上げた時があった。その時俺は風呂のお湯が熱湯である事に気付かず足を突っ込んでしまい、足全体が大火傷を負った事がある。だがこれはその時の熱さを遥かに凌駕している。だけどこんな事を呑気に思い出してる時点でそこまで命の危機は迫ってないだろうとも思っているのだが。そして炎の中で熱さを超えた痛みに苦しんでいると、身体の半身に衝撃が走った。俺の身体はその衝撃に逆らうことなく吹き飛び、さっき突っ込んだ壁とは逆の壁に激突した。


「がっ……はっ……」


壁には、逆の壁にできたものの二倍近い大きさのクレーターができていた。それ程の

速度で激突した俺は、流石に激痛を感じた。背中から派手に激突したので、肺の空気が殆ど出てしまい炎の中にいる時とはまた違った息苦しさに顔を歪めた。そして口を大きく開けて深呼吸をした後、壁から抜けた。


「痛っ、てて。コイツこんな力強かったのか……というか、亀がなんで口から火吐くんだよ……でも骨折も火傷もないみたいだけど、どれくらい喰らったんだ?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


種族:人間♂ Lv.5 職業:真の勇者(勇者)

名前:天野 尊


体力:349500/350000

魔力:480000/480000

筋力:250000

物理耐久力:300000

魔法耐久力:230000

知力:220000

持久力:360000

魅力:F

《スキル》

フリー枠残り 二個 取得可能スキル一覧▼

【剣術Ⅳ】【槍術Ⅰ】【盾術Ⅰ】【鑑定Ⅰ】【気配察知Ⅰ】【偽装Ⅲ:ON】【光魔法Ⅰ】【回復魔法Ⅰ】

《固有スキル》

【自己進化】

《称号一覧》

【世界の救世主】 【鈍感】 【臆病者】

【異世界人】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


どうやら500しか喰らってないようだ。これならまだ回復魔法も使わなくていいだろう。……というか、昔は60度の熱湯で火傷していた身体が、灼熱の炎に耐えうるまでに進化してしまっているんだな。なんだか嬉しいような悲しいような、そんな気分だ。

剛亀は俺にダメージを与えたのが嬉しかったのか、心なしかドヤ顔をしているように見えた。俺の勝手な想像なのかもしれないし、特にダメージにもなっていないのだが、少しカチンときた。


「はっ、次は本気も本気で行くぞコラァ!」


とは言って見たものの心では───


(本気って言っても、さっきみたいな攻撃しか思い浮かばないしなあ……あ、もしかしたらアイツには魔法の方が効くかも知れない。覚えといた【光魔法】使ってみるか)


つい調子に乗って大口を叩いてしまった事を少し後悔しながら頭を働かせてみた結果、【光魔法】を使ってみようと考えついた。しかし、具体的にはどういう魔法なのかを未だに知らないことに気がついた。

え〜っと、ゲームとかだと光をボールみたいにして飛ばす感じだよな? なら光の球をイメージしながら手を前にして───


「『ライトボール』!」

『GYAA!!?』


それっぽい名前を叫んでみたら、身体から力が抜けていくのを感じた。多分魔力を持っていかれたのだろう。そして俺の目の前にはバスケットボール大の光の球が生まれ、剛鬼に向かって一直線に飛んでいった。剛亀の方は、俺が魔法を使ったのがそんなに意外だったのか驚きの声をあげ、その大きな二つの顔を間抜けな表情に変えた。

でかい図体が災いして、剛亀は俺の放ったライトボールを避けることが出来ず、腹のど真ん中に命中し、チュドーーン! と漫画で聞くような大きな爆発音を鳴らしながら煙を上げた。


「やった、か……? いや、なんかフラグ建てちゃったな今……」

『…………GAAAAAAAAAA!!!!』

「っ!!……やっぱりなあ……」


煙の中から現れた相手は、甲羅に罅が入っていたり身体に多少の傷はあるが、至ってピンピンしている。これは本格的にどんなステータスしてるのかが気になる。【鑑定】のレベルを上げたいところだが───


(適当に【鑑定】しまくればいいのか?【鑑定】【鑑定】【鑑定】【鑑定】【鑑定】【鑑定】【鑑定】【鑑定】【鑑定】【鑑定】【鑑定】【鑑定】【鑑定】【鑑定】【鑑定】【鑑定】………)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


種族:剛亀♂ 名前:《無し》


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


種族:剛亀♂ 名前:《無し》


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


種族:剛亀♂ 名前:《無し》


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


種族:剛亀♂ 名前:《無し》


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


種族:剛亀♂ 名前:《無し》


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


種族:剛亀♂ 名前:《無し》


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


種族:剛亀♂ 名前:《無し》


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(【鑑定】【鑑定】……っと、やっと変わった。どれどれ……)


そして出てきたステータスに俺は驚愕した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


種族:剛亀♂ Lv.183 職業:死の宮の門番

名前:《無し》


体力:268500/270000

魔力:7000/7000

筋力:285000(+70500)

物理耐久力:40000(+12000)

魔法耐久力:300000

知力:1680

持久力:4560(+1368)

魅力:ー

《スキル》

【憤怒Ⅲ】

《固有スキル》

【火炎放射】【大爆発】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「っ!、マジかよ……そりゃ強いわな」


でも数値を見る限り、コイツは物理での攻撃の方が効くみたいだ。何故亀なのに物理の方が弱いんだとかは今はどうでもいい。魔法はやめて、物理で行ってみるか。さよならライトボール。それに───


====================


固有スキル【自己進化】が発動しました。


尊は固有スキル【下克上】を手に入れました。


====================


新しい固有スキルも手に入れたしな。というか、何故今更手に入ったんだ【下克上】。もっと最初の方でもよかっただろ。まあ過ぎた事を今言っても仕方ないので、この固有スキルが俺のステータスにどんな影響を与えているのかと、早速ステータスプレートを確認してみた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


種族:人間♂ Lv.5 職業:真の勇者(勇者)

名前:天野 尊


体力:699600/350000(×2)

魔力:959990/480000(×2)

筋力:250000(×2)

物理耐久力:300000(×2)

魔法耐久力:230000(×2)

知力:220000(×2)

持久力:360000(×2)

魅力:F

《スキル》

フリー枠残り 二個 取得可能スキル一覧▼

【剣術Ⅲ】【槍術Ⅰ】【盾術Ⅰ】【鑑定Ⅱ】【気配察知Ⅱ】【偽装Ⅱ:ON】【光魔法Ⅱ】【回復魔法Ⅰ】

《固有スキル》

【自己進化】【下剋上】

《称号一覧》

【世界の救世主】 【鈍感】

【異世界人】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


……おおう。ステータスの数値の横についてる(×2)って、これ二倍って事だよな? 実際体力と魔力は右の数値二倍近く増えてるし。まさに、【下克上】が出来るって訳だ。

じゃあもう終わりにしてやろう。


「今思い出した感じにはなるが、こっちは急がなきゃいけない用事があるんでね、ここで足止めくってる訳にはいかないんだよ!」


少しでも早く舞ちゃん先生と竜樹に合流しなければ、もしかしたら俺が戦ってるコイツみたいな化け物と遭遇しているかもしれない。だからこんなところで立ち止まっていては駄目なのだ。

俺は何も言わずただ走り出した。すると、何も聞こえなくなった。ここに来た時からずっとなっていた空洞音も、自分の足音さえも。音を置き去りにして走った。そして相手を一心不乱に斬った。時には天井や壁を足場にして空中を駆けた。誰かここに別の誰かがいたら、きっとピンボールを思い浮かべるだろう。まあ、速すぎて普通のやつだったら見えないとは思うが。そう言えるのはきっと、俺の目が今見ている世界がスローになっているからだろう。剛亀の動きも、足をつけた床や壁にできた凹みも、全てが俺よりも遅い。

そしてスローの世界の中で俺は刃こぼれしていた剣の事など忘れ、ただただ剣を剛亀に向かって振り続けた。相手は状況についていけず、ただ斬られているのみだ。


「これで、終わりだ!」

『っ!!?? ……GUAAA……』


最後に最も力を込めた一撃を剛亀の頭に叩き込んだ。すると亀の頭はコメディ漫画のように吹っ飛び、地面にベチャッと気持ちの悪い音をたてて落ちた。


「ふぅ〜っ、これでいいんだよな。長いようなあっという間だったような……ん? なんだ?」


そこで俺はやっと、ふぅ、と達成感の込めたため息を吐いた。

しかし俺は急に身体が熱くなるのを感じた。不思議に思っていると、勝手にステータスプレートが現れた。そこには───



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


種族:人間♂ Lv.508 職業:真の勇者(勇者)

名前:天野 尊


体力:3.5E+508/3.5E+508

魔力:4.8E+508/4.8E+508

筋力:2.5E+508

物理耐久力:3.8E+508

魔法耐久力:2.3E+508

知力:2.2E+508

持久力:3.6E+508

魅力:D-

《スキル》

フリー枠残り 二個 取得可能スキル一覧▼

【剣術Ⅴ】【槍術Ⅰ】【盾術Ⅰ】【鑑定Ⅱ】【気配察知Ⅱ】【偽装Ⅱ:ON】【光魔法Ⅱ】【回復魔法Ⅰ】

《固有スキル》

【自己進化】【下剋上】

《称号一覧》

【世界の救世主】 【鈍感】 【異世界人】【強者の証】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『……なんてこったい……」


こんな言葉しか浮かんでこなかった。

【下克上】:戦闘となった相手のレベルが自分よりも高かった場合、自身のステータスが全て二倍になる。


【強者の証】:圧倒的にレベル差がある敵に勝利した者に与えられる称号。魅力が少しだけ上昇する。

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