第九話 本番はこれからだったようです。
大変お待たせいました。まず待っていてくれたのでしょうか。最新話です。
あ、今活動報告にも載せましたが、今までその一その二と分かれていた話は全て一つにまとめました。違和感を感じられた方もいるかもしれませんがご了承ください。
かれこれ五分は自分のステータスを見て固まっていたと思う。そりゃあこんな桁になってたら驚くだろう。なんだよE+って。いや意味は知っている。十が何回かけられているかを表した記号だ。だがそれを知っていても、五百八なんて数の十がかけられているとなれば、驚くのも無理はないと思う。なぜなら、俺の今のステータスは五百八桁もあるということになるからだ。レベルが一気に二桁も増えたとしてもこれは……ありえない。
「いや、きっとこれからもこんな感じでレベルもステータスも上がっていくんだ。このインフレとも呼ぶべき上がり方も、多分この職業の所為だろうし。この位で絶句してたらこの先やってられないんだ、うん」
そしてこの変えようのない現実を、俺は無理やり納得させることにした。でも間違った考えではないと思うんだ、うん。
『試験に合格しました。【死の宮】への挑戦を許可します』
「んぁ?」
突如何処からか聞こえてきた声に間抜けな声を出してしまった。周りに人がいなくて少し助かったと思う。えっと、この声は確か、この広間に入ってすぐあたりで聞こえてきた声と同じな筈だ。にしても、試験? 【死の宮】? なんだそれは。
俺が頭を捻っていると、ちょうど剛亀の背中のあった方向に登り階段が現れた。あれが【死の宮】へと続く階段ということでいいのだろうか。他に道も無いし、行ってみるしかないか。
◇◇◇◇◇
階段はそこまで長くなく、難なく上まで辿り着いた。辿り着いた先は、まるで城の内部といった感じだ。だが窓もない上に明かりもほとんどないから、真っ黒な地面と壁がより一層黒くなりまさに『死』を連想させる。
そして俺は今にもちびりそうだ。この真っ暗で無駄にだだっ広い空間がトラウマになりそうだ。俺は気持ちをなんとか奮い立たせて平静装う。特に人もいないが、なんとなくだ。
「にしてもこれまた広い……ここは本当に地下なのか?いや、地下だからこそ窓とかが無いんだろうけど……」
俺は特に敵らしき影も気配もしないのでスタスタと歩いていた。スタスタとは言うが、床が鳴らす音はカツーン、カツーン、とハイヒールで歩いているような音だ。そしてその音はこの広く静かな空間では煩いほどに響いていた。だが俺は静かすぎる空間というのが嫌いな方なので、この靴音がひどく心地よく聞こえる。
「試験とかある位だ。きっとあの亀よりつよいのが出てくるんだろうなぁ……はぁ、帰りたい」
そして俺は進んでいく。この先にいるであろう強敵との出会いを憂いながら。
◇◇◇◇◇
ここは玉間。だがそこには綺麗に隊列を組む兵も、玉座に向かって敷かれた赤い絨毯も無い。代わりと言っていいのか、この玉間には玉座が『十個』鎮座していた。そしてその玉座には、一つを除いて全てに何者かが座っていた。そこで繰り広げられている会話をは───
「……んん? この宮に誰か入ったようだぞ。あのデカ亀倒してきたってこたぁ、中々の腕なんだろうな。おい【吸】。お前見てこい」
「嫌ですよ自分で行ってくださいよ。なんでいつも私と【柔】はパシリみたいな扱い受けるんですか」
「あぁ? そりゃあお前らは序列でもドベとブービーだろうが。魔王幹部と言ってもお前らは下っ端なんだよ下っ端」
「はいぃ〜!? 貴方こそ序列で言えば私より一つ上なだけじゃないですか【釟】!」
「んだとぉ!? いいか? 序列が一違うだけでどれだけ差が出るのかてめぇ分かってねぇのかぁ!?」
「だとしても貴方も序列では半分以下なんですよ!馬鹿にされたくなかったら【護】さんより上行ってみてくださいよ! まあ出来ないでしょうけど! 貴方みたいなハゲジジイは!」
「んだとコラ「やめろ、本題からずれているぞ」……【懴】。くそ、わーったよ。俺が行きゃあいいんだろ! くそっ、【柔】ならなんだかんだ言って行ってくれんだけどなぁ〜……あと、俺はハゲじゃねぇからな、 スキンヘッドだ! 何遍も言わせんな!」
一人の男はそこから姿を消した。そして男が消えてから一人の女は溜息を吐いた。
「はあ〜……。ありがとうございます、【懴】先輩」
「……ただ、【一】を起こしたくなかっただけだ。このくらいの騒ぎで起きるとは思わないが、念のためだ」
「そうですねぇ。……にしてもここに入ってこれるなんて、どんな人なんでしょうねぇ〜【釟】のやつ簡単に倒されちゃったりして〜」
「……もしそうだとしたら、それだけの奴だったというだけだ」
「うはぁ〜ドライですねぇ〜」
不毛な会話は続く。侵入者の事など歯牙にもかけずに。
では、次回もよろしくおねがいします。




