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「ごはんできたよ」

「はぁい」

 元気な声で返事をした洋子が、賢治の手を引いた。

「早くはやく! 今日はハンバーグなんだよ」

「おっ! 良いねぇ」

 二人は並んで座った。

「ワインを冷やしておいたの」

 頷いた賢治が、勝手知ったるとばかりに、ワイングラスを四つ棚から出す。

「洋子ちゃんはぶどうジュースな」

「うん」

「あ、私もそっちにするわ」

「どうした? 調子悪いのか?」

「そうじゃないけれど、なんとなくお酒は良いかなって感じ」

 頷いた賢治が、洋子と美弥子のグラスにぶどうジュースを注いだ。

「カンパーイ! 二年生おめでとう」

 四人が声を揃えた。

「早く食べて? 中に秘密があるんだよ?」

 洋子がワクワクしながら賢治を急かす。

「秘密? あっ! チーズだ!」

「パパもチーズ好き? 洋子も大好きよ」

「え……」

 賢治が箸を止めた。

「洋子ちゃん?」

「あのね、今日から賢治くんはパパで、美弥子ちゃんはママって呼ぶの。お母さんはお母さんのままよ」

 賢治が目を見開いて和音を見た。

「呼ばせてやってくれない? ほら、この子。呼んだことがないから」

「そりゃ……大歓迎だけれど……」

 賢治が今度は美弥子を見た。

 美弥子が涙を浮かべながら頷いて見せる。

 賢治が洋子を抱きしめた。

「ありがとう……ありがとうね、洋子ちゃん」

「パパ? 泣き虫さん?」

「うん。泣き虫さんになっちゃった」

「よしよししてあげようね」

 洋子が賢治の頭を撫でる。

 美弥子が和音に顔を向けた。

「ありがとう、和音。賢治も……ごめんね、産んであげられなくて」

 賢治が洋子を抱きしめたまま首を横に振る。

「俺は美弥子が元気ならそれで良いんだ。それに、洋子ちゃんが……パパって……」

 涙声のまま、賢治がもう一度洋子を抱きしめた。

 洋子がくすぐったいと言いながら笑い声を出した。

「さあ、冷めちゃうよ。早く食べようよ」

 和音の声に頷きながらも、賢治は洋子を離さない。

「パパ? ハンバーグ食べよう? 洋子、お腹が空いちゃったの」

「ああ、ごめん。そうだね、熱いうちに食べようね」

 洋子が頷いた。

 真っ赤な目をした二人を交互に見ながら、洋子がハンバーグを頬張った。

「熱いっ!」

「ほらほら、気を付けなきゃ。火傷したら大変だ」

 賢治が慌てて洋子の口をナプキンで拭う。

「良いパパだわ」

「ホントね」

 和音と美弥子が顔を見合わせて笑った。

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