↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/128

第127話 現物の行方

アルヴァ家の書庫には、まだ調べていない古い報告書が残っていた。


レオンは机の上に広げた資料を見直す。


探すものは決まっている。


紙ではない。


当時使われた測定器や設備。

年代を確かめられる現物だ。


「でも、ここに物そのものがあるわけじゃないわよね」


リゼットが周囲の書棚を見ながら言う。


「ああ。だから、残ってる場所を探す」


アルヴァ家に残されていたのは、国から送られてきた過去の報告書だ。


そこには領内の異常だけではなく、別地域で起きた大規模災害について触れた資料も混ざっていた。


レオンたちは十三環騎士団ラスト・サークルが関与した記録を中心に拾っていく。


住民の避難。

魔物の進行阻止。

危険地域の封鎖。


その際、魔力測定器や観測用の設備が使われたことも記されている。


だが。


「回収済み」


リゼットが読む。


次の資料も同じだった。


「これも撤収時に回収されてる」


「まあ、普通は持って帰るよな」


災害対応用の道具なのだから当然だ。


任務が終われば回収する。

危険な場所に置き去りにする理由はない。


別の記録では装置が破損している。


さらに別のものは、災害後に処分されたとだけ書かれていた。


現物を探そうとしても、思った以上に残っていない。


「これじゃ年代を確かめられないわね」


「残ってるものだけ探そう」


レオンは条件を変えた。


回収されたものではない。


持ち出せなかったもの。

現地に残されたもの。

後からも使用された可能性のあるもの。


資料を1枚ずつ確認する。


しばらくして、リゼットの手が止まった。


「レオン、これ」


差し出されたのは、古い災害対応の報告だった。


十三環騎士団ラスト・サークルが現地へ入り、避難と封鎖を行ったことが記されている。


途中までは、これまでと変わらない。


違うのは最後だった。


現場に設置された測定設備の一部。


封鎖後も、その場に残されたと書かれている。


「回収してない?」


「そう読めるわ」


レオンは続きに目を通す。


理由は分からない。


壊れていたのか。

動かす必要がなかったのか。

あるいは、動かせなかったのか。


書かれているのは、現地に残したという事実だけだった。


「今もあるかな」


「分からないわよ」


リゼットはすぐに答える。


「その後に撤去されたかもしれないし、壊れてるかもしれない」


「そうだな」


レオンは日付を見る。


少なくとも、第0研究室で確認してきた管理形式より前から、同じ考え方が使われていたかを調べる材料にはなる。


もし、当時の設備そのものが残っているなら。


紙の記録より直接確認できる。


レオンは報告の後半を追った。


災害後、その区域は立ち入りが制限されている。


解除されたという記述は見当たらない。


さらに、安全確認には十三環騎士団ラスト・サークルが関わっていた。


「入れない場所ね」


「たぶん」


「たぶん?」


「今も同じ扱いかまでは、この資料じゃ分からない」


古い記録だけで、現在の状況は決められない。


リゼットが椅子へ背を預ける。


「仮に残ってても、勝手に見に行くのは無理ね」


「行かないよ」


レオンは報告書を閉じなかった。


現物が残っている可能性のある場所は見つかった。


なら次に確認することも決まる。


今も封鎖されているのか。

誰が管理しているのか。

調査のために確認できるのか。


十三環騎士団ラスト・サークルに聞く?」


リゼットが尋ねる。


レオンは少し考えてから頷いた。


これまで見てきたのは、記録の中の十三環騎士団ラスト・サークルだった。


人を救い。

危険地域を封鎖し。

現場を管理してきた組織。


同じ形が残っているからといって、敵だと決める理由はない。


だからこそ。


確かめるなら、正面から聞けばいい。


「入れないって言われたら?」


「理由を聞く」


危険だからなのか。

規則だからなのか。


それ以外なのか。


断られたという結果だけでは、何も分からない。


レオンは古い報告書の上に指を置いた。


探していた現物は、残っているかもしれない。


そして、その場所を知るためには。


今度こそ、記録ではなく十三環騎士団ラスト・サークルそのものへ近づく必要があった。

良ければブックマークしていただけると泣いて喜びます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。