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第117話 瓦礫の下

「こっちに2人!」


セイルの声が通りの奥から届く。


ガルドとユリアが崩れた壁へ向かう。

太い梁が入口を塞いでいた。


「持ち上げる!」


ガルドが両腕を入れる。


「待って。上が崩れるわ」


ユリアが亀裂を確認し、梁の周囲へ氷を伸ばす。

支えるための薄い柱を作り、崩落を防ぐ。


「今!」


ガルドが梁を持ち上げた。

中から衛兵が住民を引き出す。


一方、レオンとリゼットは別の建物へ入った。

半分崩れた部屋の奥から、子どもの泣き声が聞こえる。


「ここ!」


瓦礫の隙間から、小さな顔が見えた。

母親らしい女性がその上へ覆いかぶさり、背中から血を流している。


「お母さんが動かない!」


「聞こえる?」


リゼットが呼びかける。


女性が僅かに目を開ける。


生きている。


レオンはゼロスレッドを瓦礫へ伸ばす。

どの石がどこへ繋がっているか、1つずつ確かめる。


「この板を先に外す」


「分かったわ」


リゼットが火を小さく絞り、曲がった金属部品だけを熱する。

柔らかくなった部分をレオンがゼロエッジで切断した。


板を外す。


女性の背中が見えた。

服が裂け、深い傷から血が滲んでいる。


子どもは無傷だった。


「先に子どもを」


女性が掠れた声で言う。


「2人とも出します」


リゼットが答えた。


外で大きな音が響く。


建物全体が揺れた。


「長く持たない!」


ガルドの声が聞こえる。


レオンは瓦礫を見る。

ゼロスレッドで1本ずつ確認していては時間がかかる。


どこに空間がある。

どこが繋がっている。

一度に分かれば。


以前から考えていた方法がある。


薄い無属性魔力を、糸ではなく周囲へ広げる。


まだ成功したことはない。


今ここで試すべきか。


「レオン」


リゼットが見ている。


「できる?」


「分からない」


「なら、失敗した時にすぐ別の方法へ戻って」


その言葉で決めた。


完璧にする必要はない。


必要な情報だけ取る。

良ければブックマークしていただけると泣いて喜びます。

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