第110話 違う答え、同じ空白
交流実習最終日。
レオンたちは、両学院から集めた記録を1枚の大きな紙へまとめた。
王立魔法学院。
大規模魔力災害は約200年前。
原因は魔力環境の急変。
グランツ魔法学院。
約170年前。
原因は複数国家の魔法戦闘。
被害地域には共通点がある。
消失した都市も似ている。
「同じ災害だとすると、どちらかの年代が違う」
ノアが言う。
「原因もな」
ガルドが続ける。
エステルは自分たちの資料を見た。
「私は、グランツの記録が正しいと思っていた」
「今は?」
レオンが尋ねる。
「分からない」
少し悔しそうだったが、言葉を濁さなかった。
「でも、王立が正しいとも思わない。どちらにも根拠になる資料が欠けているもの」
トーマが別の紙を置く。
切り取られたページ。
紛失した資料。
読めなくなった共同管理協定。
その横に、それぞれの管理記号を書き写す。
完全に同一ではない。
しかし、分類番号の作り方には共通した特徴がある。
「歴史は違う」
レオンが言う。
「でも、消えている場所は似てる」
誰かが両学院の歴史を書き換えた。
そこまでは言えない。
違う理由で資料が失われた可能性もある。
ただし、偶然だけで済ませるには共通点が増えすぎていた。
リゼットが紙を見ながら言う。
「学院同士で答えが違うなら、どちらかだけを調べても分からないわね」
「他の記録も必要だ」
「学院以外の?」
「貴族家、地方、国の記録」
その言葉に、リゼットが少し考える。
「それなら、使えるものがあるかもしれない」
数日後。
学院へ戻ったレオンたちに、アルヴァ公爵家から正式な招待状が届いた。
交流実習の慰労。
地方異常についての報告。
そして、優秀な生徒への進路説明。
招待者の一覧には、レオンたちの名前も入っていた。
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