地下に広がる…
俺はゼーダさんにもらった鍵を使って地下の部屋に降りる事にした。
地下への入り口は書斎の本棚を移動させると出てくるらしい。
「こうか…?」
ギギギ…と本棚が動いた。
そして、地下へと繋がる階段が現れたのだ。
俺は少し警戒しながら、その階段を降りた。
すると…
地下には、巨大な図書館が広がっていた。
隣にガラス張りである部屋は研究室のようだ。
「す、す、すげえ…!」
数万の本に圧倒される俺。
そして、ふと、図書館のカウンターを見ると…?
「は?
おすすめの本?」
そう、そこには数冊のおすすめの本が飾られていた。
ヘイルの日記、スキル図鑑、農作業のススメ、モンスター図鑑に、美味しい料理帳まで…
どうも、ラインナップがよく分からない。
とりあえず、1番気になるのはヘイルの日記だった。
俺はヘイルの日記を見てみた。
【ヘイルの日記①】
今日はスライに尻尾で叩き起こされた。
最近体が大きくなってきたせいで普通に痛い。
朝から鼻血が出た。
【ヘイルの日記②】
ゼーダがまた研究室で寝ていた。
魔導書を枕にするなと言ったのに。
本が可哀想だ。
【ヘイルの日記③】
深淵の森でサンダーライオンと遭遇した。
三日三晩戦った末、ようやく話を聞いてくれた。
名前はローというらしい。
【ヘイルの日記④】
ローが魚を丸呑みしていた。
サンダーライオンは肉しか食べないと思っていたが違うらしい。
少し親近感が湧いた。
【ヘイルの日記⑤】
今日は終日雨。
スライは泥遊び。
私は掃除。
ゼーダは昼寝。
【ヘイルの日記⑥】
サンダーライオンのローとの契約に成功した。
あいつは従魔というより友だな。
強い。本当に強い。
【ヘイルの日記⑦】
研究室で新しい飼育記録をまとめた。
スライは本当に規格外だ。
成長速度がおかしい。
【ヘイルの日記⑧】
ローを深淵の森の守護神として残すことにした。
あいつなら森を守れる。
もし私が帰らなくても、変わらずこの森を見守ってくれるだろう。
【ヘイルの日記⑨】
最近妙な気配を感じる。
スライも落ち着かない様子だ。
世界のどこかで何かが動いている気がする。
【ヘイルの日記⑩】
いよいよ旅立ちの日だ。
ゼーダには家の管理を頼んだ。
もし私と同じ飼育士の持ち主が現れたなら、地下室の鍵を渡してほしい。
スライとも長い別れになるだろう。
願わくば、次のこの家の主が、私より良い未来を選んでくれることを祈る。
そこで、日記は終わっていた…
あのサンダーライオン、ローというのか?
そして、ヘイルの従魔だった…
スライというのは、おそらくヘイルが使役していたオリジンドラゴンの名前だと思う。
点と点が、一本の線に繋がっていく。
しかし、ヘイルがこの家を出た理由、そして、どこへ行ったのか、は全く書かれていなかった…
俺はヘイルの日記を元のおすすめコーナーに戻した。
そして、しばらくはその図書館で時間を忘れて本を読み漁った。
膨大な本は、俺にいろいろな知識を授けてくれた。
そろそろ上に戻らないとまずいな。
ジンとガンツがお腹を空かせている頃だろう。
そう思って、武器大全、という本を借りて図書館を後にした。
「ジン、ガンツ、メシだぞー!」
俺が言うと…
『メシー、メシー!』
と言ってジンが最初に現れた。
そして、その姿は白もふの始祖竜に近づいていた。
体長は15mはあるだろう。
翼を広げるともっと大きいに違いない。
「ジン、お前…!」
『オオキクナッタよー!』
ジンは頭を下げて俺の頬に擦り寄せる。
「そ、そっか…!」
『アルジサマ、ゴハンデスカ?
データカクニンチュウ…』
ガンツもやってくる。
俺も作っておいた雑なサンドイッチを庭で食べた。
こうして、今日ものんびりした1日が終わるのだった。




