⑵ 内緒話
私はホテルからタクシーに乗って、碧の居るホテルへ向かった。
タクシーの中で思った。
何故、明里は携帯の電源を切っている。
ホテルに着いて、碧の居る部屋へ向かった。
部屋をノックすると、明里が迎えてくれた。
部屋には、碧と明里の二人だけだった。
私も含め、3人とも、宴会場の浴衣と羽織の恰好である。
ここで碧と、どんな話が行われたのか。
まあ碧とは、如何わしい事は何も無い。
心配する事もないだろう。
私は碧に言った。
「こんな所で、彼氏(スコッチの主任)ほっといて、いいんですか?」
碧が答えた。
「彼は部下達を誘って、飲みに行くって言ってました」
「そうですか……って、明里も彼の部下だろ~……新人の明里が……誘われなかったの」
私が明里に向かって言うと、碧が返してきた。
「明里さんを面接したの私ですから、彼には明里さんと飲みに行くと連絡しました」
「……そうですか」
「明里さんを誘おうと探していたら、多くの男性社員に囲まれてお誘いを受けていて、困っている様でしたので私が保護してここへ避難しました」
明里が恥ずかしそうに割り込んだ。
「はい……助かりました」
私は碧にお礼を言った。
「いやぁ、明里の携帯に掛けたら繋がらなくて、心配だったんですよ」
すると明里が答えた。
「あ、ごめんなさい、電車の中で色々検索していたら、バッテリーが切れちゃったんです」
……それは嘘だ。
明里はバッテリーの残量を見落とす事はしない。
・・・・・・
碧が私に尋ねた。
「ルームサービス追加します。主幹は何飲まれますか」
「何があるのだろう」
「ビール、ワイン、ウィスキー、……あ、日本酒もありますね」
「じゃあ、日本酒で。熱燗、出来るかなあ」
「聞いてみます」
碧は受話器を取って注文してくれた。
碧が電話している隙に、明里に小声で話し掛けた。
「どんな話し、していた?」
明里はクスッと笑って答えた。
「秘密です」
……何かこの二人、すっかり仲良しになった様だ。
碧が受話器を置いて、割り込んできた。
「あれ~二人でこっそり、何の内緒ばなし?」
明里が答えた。
「碧さんとの内緒ばなし、聞き出そうとするんですよ~」
「あら、女性どうしの内緒ばなしを聞き出そうとするなんて、酷いですよね~」
碧は笑って言った。
ん~そんな事言われると、余計気になってしまうではないか。
次回:(第15章 終話)ある事ない事




