⑶ 私に何をされているのでしょう
次の日、会社に着くと、新入社員の配属先が発表されていた。
碧からの話どおり、明里はチーム・スコッチに配属された。
私は自分の部屋で、スコッチが進めている研究内容と進捗の報告書に目を通していた。
すると、部屋のチャイムが鳴った。
モニターを確認すると、訪問者は、なんと明里だった。
部屋の扉を開けた。
明里は「失礼します」と言って部屋に入った。
扉が閉まるなり「わ~ここがおじさんの部屋なんですね~」
私は明里を応接用ソファーに案内し、給湯室からコーヒーを持ってきた。
明里は立ち上がり、挨拶を始めた。
「私の配属先がチーム・スコッチに決まりました。主幹に挨拶して来るようスコッチの主任に言われましたので、ご挨拶に伺いました」
「はい。ごていねいに、ありがとう」
「これからも、よろしくお願い致します」
「はい。こちらこそ、よろしく」
二人でお互いに挨拶をした。
……たしかに、配属がスコッチであれば、私の管理下でもある。
楽しみ2割、やりにくさ8割と言った所が正直な気持ちだ。
「どうですか、スコッチの主任は」
「ええ、とっても感じの良い方で……あ、水瀬部長とお付き合いされているとの噂を聞きました」
「なんとぉ、女性社員のネットワーク……恐るべし」
「水瀬さん、取られちゃいましたね、おじさん」
……誰が原因で碧がスコッチの主任と付き合う様になったのか……まあ、明里は知らない方がいいだろう。
「でも、ステキな部屋ですね~」
あっ、明里さん?
いくら膝が隠れる長さのスカートでも、そんなにソファーに深く腰掛けると……スカートの奥が……
私の私自身が反応した。
これは……
明里は立ち上がり、部屋の窓に移動した。
「綺麗ですね~」
窓から見える景色は、青々とした芝生が一面に広がり、実に気持ちがいい。
「……ああ」
スリムな躰、濃紺のタイトスカート、眩しい白のワイシャツ。
そして、そこに浮かぶ控えめな胸の膨らみ。
私にとって、明里は歩く最終兵器だ。
私は後ろから手をまわして明里を抱いた。
「おじさん?」
途端に、私自身は浄化された。
「……」
「……」
私は、明里にまわした手を解いた。
「はい、なんでもないです」
「……」
・・・・・・
明里も研究所勤務となった事で、常に定時で帰宅するのは難しい。
よって平日の夕食は、社員食堂を利用する事にした。
その日の晩、ベッドで横になっていると、明里が部屋をノックして、いつもの様に掛け布団の中に膝を入れ、敷布団の上で正座した。
そして、上目遣いで話し掛けてきた。
「ああいう事、他の女性に対しても、やってるんですか?」
「……何の事でしょう」
「会社での、おじさんの部屋での事です」
私は呆れた口調で返した。
「明里さん、貴女の知っている私は、どんな人でしょう」
「はい。恥かしいほどチキンな人です」
「ですよね~」
明里は溜息をついた。
「……」
「……」
「でも、ちょっと心配です」
「……そうですか」
「職場でいきなり……後ろから……変態さんです」
「でも明里さん……容認されてませんでした?」
「私は変態さんには全力拒否です」
「……すみません」
「おじさん以外の人には……」
「それは……私でしたら……変態行為を受け入れて頂けるという事でしょうか?」
「……変態ゴッコ……でしたら」
「うっ……」
明里はジトッとした眼で私に返した。
「うっ……とか言ってるし」
「……」
……明里さんと変態ゴッコ?
これなら明里と……交わる事が出来るかもしれない!
明里は私に尋ねた。
「おじさんは頭の中で、私に何をされているのでしょう」
「いや~」
「……」
明里さんと変態ゴッコ?
これなら明里と交わる事が出来るかもしれない……って、
あ~おじさん、もう普通のやつじゃダメなんだぁ。
ここまでお付き合い頂いた読者さま、本当にありがとうございます。
次回の第15章は、恒例の社員旅行のようすを覗いてみましょう。
明里さんも参加します。
次章はコメディ目線で、どうかお付き合い下さい。
これからも、よろしくお願いいたします。
次回:明里さんと社員旅行




