⑵ 明里さんの想い
次の日、私はスコッチが抱えている問題を解決出来ないか、私の部屋のソファーに座って考えていた。
……だめだ。
まったく閃きがやってこない。
昔の私なら、いくらでもアイディアがあふれてきた。
しょうもないアイディアがほとんどだが、大当たりのアイディアが出た時、それを検証する前に、『いける!』と感じたものだ。
しかし、今は何も浮かばない。
ボーっと天井を眺めていた時、部屋のチャイムが鳴った。
モニターを見ると、明里だった。
扉を開けると「失礼します」と言って、明里が部屋に入って来た。
何かを運んできてくれた。
運んできたものを、机の上に広げて言った。
「これは、うまくいった時の結晶と、うまくいかなかった時の、2種類のサンプルです。参考までにお持ちしました」
「ありがとう」
「問題は、再現性がつかめないんです」
「うまくいく時の確立は?」
「おおよそ、30回に1回です」
「……なにが原因だろうね~」
明里は私に現状を事細かく説明してくれる。
私に対して、何か思う所がある様だ。
私に問題を解決してほしい……活躍してほしい。
そんな想いが伝わってくる。
しかし、私は昨日の明里との行為を思い出して、私の私自身は、とんでもない事になっている。
明里の切ない表情が思い起こされる。
……ヤバぃ。
サンプルを前に、明里は一生懸命説明している。
その明里の背後に、私はそっと近づいた。
そして後ろから明里を抱いた。
「……おじさん?」
「君ねぇ、ここの主幹と同棲してるんだって?」
ここの主幹とは、私の事である。
「……」
「……」
明里が顔色を変えて答えた。
「どうしてその事を……」
明里さん……乗ってくれた!
「こんな事をみんなが知ったら、彼はこの会社に居られなくなるよねぇ」
明里は背中を向けたまま、下を向いて言った。
「お願いです。その事だけは、どうかご内密に」
おぉぉぉ、変態ゴッコの始まりだぁ。
「じゃあ、どうしたらいいか、わかるよね」
明里は恥かしそうに小声で答えた。
「……わかりません」
私は明里を振り向かせた。
「ダメです!」
明里は両腕を胸の前に置いて自分の躰を守っている。
私は両腕を掴み、無理やり机の上に押し倒した。
明里の腕から力が抜けた。
……これって明里さん、変態ゴッコに付き合ってくれてるってことだよなぁ。
明里は顔を横に背けて……その悲愴な表情が私を暴発させた。
だめだ……もう……止まらない……。
だめだ! だめだ! だめだ! だめだ! だめだぁーッ!
……私はそのまま明里と交わった。
明里さんが辿り着いてくれた仕事が出来なくなったおじさん。
この先、何があるのでしょう。
実はこの件、明里さんの方が必死なのです。
あの婚姻届け、おじさんに渡し、この先の将来をおじさんに預けた。
おじさん、このまま立ち直れないと……おじさんは、あの婚姻届け、破り捨ててしまう!
次回:(最終話)明里さんがいてくれれば




