サイドストーリー)チーム戦? 結局は個人戦
空とネリムの戦いに決着が着く前、事態は急速に変化し続けていた。
レセント。携帯していたスナイパーライフルで、オークの硬い皮膚及び遠距離からの狙撃で警戒網の突破に成功。一体撃破。
ラキア。オーク二体と遭遇するも、圧倒的な力の差を見せつける。二体撃破。
シヨク。兵士&軍人ペアと遭遇。現在戦闘中。
そしてここ、広場のような場所。先に戦場に降り立ったシノブと合流したライナ。ラキアと共に転送された幼女とギャル兵士に加えたリープの軍人、計四名と相対していた。
「っ、」
ロリ兵士の鋭い攻撃をなんとか弾き、ふらついた体勢を整える。隙を見て攻撃しようとすると、軍人の援護射撃がそれを阻んだ。
「……」
一方、寡黙な忍び、シノブは増え続けるギャル兵士の分身を倒しては退き、また攻撃を仕掛けるという流れで戦っていた。しかし、未だ本体に攻撃を当てた感触がない。
「……厄介ですね。そちらは大丈夫ですか?」
戦いの最中、背中合わせになった二人。ライナはその中で、シノブを心配する声を掛ける。
これに対しシノブは、
「無論」
と、素っ気ない返事を返した。
「そうですか。それは良かったです。私は少々…… いえ、かなり手こずっていましてね。相手のスピードに対応できずに困っています」
ライナは、自身が戦っている幼女の姿を見た。見た目は金髪のちんちくりんなのに、レイピア風の剣から放たれる攻撃は鋭く、素早く、そして重い。とても、見た目幼女な女の子が繰り出せるとは思えない斬撃だった。
「おまけに、こちらが攻撃を仕掛けようとすると、リープの妨害が入る始末。正直、どう手を付ければいいか分からない状態です」
そう言って、近くに複数ある物陰あちらこちらに視線を移して軍人を探す。先ほどまで目星を付けていた場所に気配がない。観察力に優れるライナの視線を掻い潜り、攻撃を妨害した後に場所を移動したのだ。
「さて、もう一度聞きますね。『そちらは大丈夫ですか?』」
すべてを見透かしたように、同じ質問を投げる。
シノブは全部バレていると悟り、自身の体たらくを吐露し始めた。
「……相手は無数に実体のある分身を作る。どれが本体か分からず、攻撃しあぐねている」
目の前には無数のギャル。全員がブロンズ掛かった巻き髪に、派手めなネイルをしている。身長も、見た目も、攻撃も、一様に同じ。倒しても倒しても分身は次々と増える。どう対処すればよいか分からない、といった様子だった。
「なるほど。それは随分、私と相性がいい」
「! だから聞いてきたのか」
ライナの言葉を聞いて、シノブは言葉の意図を汲み取った。それを把握したライナも、小さく頷いた。
「……では、」
「ええ、」
二人はお互いがせんとすることを認識すると、背中合わせのまま向きだけを変えた。
「「!」」
入れ替わった敵を見て、二人の兵士は驚きを表情に浮かべる。しかし、それも一瞬。二人にとって、相手が誰であろうと、結果は変わらない。勝つのは自分たちであると信じているからだ。
「戦う相手を入れ替えたくらいで、敵うと思うたか?」
シノブを前にしたロリ兵士は、身姿に相応しくない老人口調で相手を責める。
「……」
これに対し、シノブは何も答えない。口は禍の元。必要なこと以外を口にしないのは、忍びの鉄則である。
「……沈黙か。どうやら早々の戦闘をお望みのようじゃのう。よかろう。なら、武器の錆じゃ」
ロリ兵士は、武器を前に構えてシノブに向けた。
「あれ? 今度はお兄さんが相手な感じ?」
口調も頭も許そうなギャルは、舐めた態度でライナに言葉を発する。
「ええ。私じゃ不服かもしれませんが」
「謙遜しなくていいし。どっちが相手でも変わんねっから」
口調のわりに、戦闘においては絶対的な自信を持っている。余程、腕に自信があるのだろう。あるいは、なにも考えずに本当に頭が緩いだけかもしれないが、真相は彼女だけが知っている。
「……なるほど。なら、その結末が変わるよう、できるだけ足掻いてみましょうか」
「お兄さん、見た目に反してワイルド系だねー。うち、そういうの好きだけど、縁がなかったってことで諦めるわー」
臨戦態勢のライナの前に、彼女はずらりと体を並べた。こんなところで無ければ、ギャルハーレムを喜ぶものもいたのだろうが、生憎ライナは戦闘の空気感でそのような気分にはならなかったし、彼の守備範囲外だった。
「やるかの」
「……」
「いきます」
「シクヨロー」
四人は準備万端。次の瞬間、全員が一斉に飛び出した。




