神は曲げない
「やぁみんな。さっきぶりだね」
ゼウスの言う通り、時間にすればほんの一時間程度のことであり、「さっきぶり」というのもおかしな話ではない。
だが、久しぶりに会った気がするのは、それほど濃い時間を過ごしたからだと思う。そのせいか、ここにいるほとんどは、「さっきぶり」という発言が、なんだかおかしな言葉に聞こえた。
「戦いが終わった直後だけど、早速、閉会式といこう」
ヘラヘラとした態度は相変わらずだったが、どこか奇妙だ。どこかと言われれば、恐らく顔。笑っているのに、作り笑いな感じがして、嫌な気持ちだった。
「と言っても、特にやることがあるわけじゃない。勝った惑星、負けた惑星を明確にして、今後の話でもしようってだけだよ」
ゼウスの目配せが、ラキア、ネリム、そして、ゼウスの力でいつの間にか完治していたシヨクに向いた。
「クソッ!」
その言葉を聞いた三人の内一人は、悔しそうな顔をしていた。それもそのはず、惑星の存亡を掛けた戦いに敗れ、すべてを奪われようとしているのだから。当然の反応である。
「……」
一方で、他の二人は若干の不安を抱きつつも、微かな希望を見出していた。空である。
ラキアとネリムは彼と約束した。助けてもらうと。
方法は不明だ。だが、敗北が決まってしまった今、命運を空に託すことしかできなかった。
「……」
不安に駆られ、ラキアは空の方に目を向ける。すると、空もラキアの方を向いていた。
力強い目である。そして、力強い頷きを見た。
それを見ては、疑うことは失礼とさえ思った。
「まず勝ったのは、惑星地球。これはもう疑う余地はないし、君たちの見た通りだ」
三人の顔色をチラ見しながら、ゼウスは確認のために状況を整理する。これを聞いて、絶望する者、喜ぶ者がちらほらいた。
「そうなると、負けたのは君たち三つの惑星にことになるんだけど…… 覚悟はできてるよね?」
それは、死の宣告に近いものだった。
「君たちは負けた。負けたものは勝ったものにすべてを奪い取られる。だから、すべてを捨てて、従属せよ」。短い文章にこれだけの言葉が詰められているのだ。
それ以上に、ゼウスの言葉には圧があった。有無を言わさない。反抗は許さない。抵抗さえさせない。圧倒的強者としての圧。あのシヨクでさえ、ゼウスの言葉を聞いては、動くことさえままならなかった。




