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変貌する知識

「アホの相手は終わりにするぞ。いい加減本題に入ろう」


 ムアは、ギアの出現させた炎によって、黒竜というか、炭竜というか、焦げ竜みたいになってはいるが、放心して煙を吐いているだけで、一応問題は無いらしい。フィクターは無事を確認すると、なんかもう、どうでも良いやとばかりに無かった事にする。


「それもそうだ。ギア、そろそろ話してくれないか?」


「先ずは、そうだな。俺達の使う力<権限>について話しておこう。俺の炎を発生させる力や、ムアの姿を誤魔化す力が該当する。後は、悪魔の持っている力も<権限>に依るものだ」


 ギアの解説は続く、ムアは何か言いたげにしているが、フィクターはあまり関わらない方が良いと判断して放置している。それにしても、思いっきり炎で焼かれたにしては元気そうである。


「それを言い出すという事は、俺に何か関係があるのか?」


「無論だ。完全では無いが、最早ドラゴンの一種と化している。お前にも〈権限〉を扱う事が出来るはずだ。先ずは理解しろ。人間から変貌した存在は、大概〈権限〉を扱いきれず自滅する」


 〈権限〉というものは、世界を改変する資格と言えばいいだろう。ギアであれば、そこに炎があるという事にすることが出来る。だが、それは一つ間違えば、自身を燃やす事にもつながる。自身が生み出しているというよりも、そこにあるという事にしているのだ。ムアの姿を誤魔化す力も例外では無く、これも誤認するように改変しているようにしているに過ぎないのだ。


「どうすればいい?」


「先ずは、目を閉じて、世界をイメージしろ。それと同時に、自分の中にあるパズルを見つける。このパズルは世界に対する報告書のようなものだと思えば良い。自身の起こしたい改変を、想像の中の世界に届けるんだ。そして、想像の中の改変を、現実に映し出す」


「おいおい。抽象的かつ、超難易度というか、それはどういう事なんだ?」


 フィクターは言われた通りにしてみる、そして何故かそれを理解できることに驚く。だが、世界を想像する事も、何故か頭に浮かぶ文字を形として想像する事も出来た。しかし、その両方を想像しつつ、パズルと化した文字を組み上げる事が出来ない。これでは、何も出来ない事も把握出来てしまっている。


「この一連を、目を閉じず、瞬時に、動きながら、出来た時に、力を自在に使えるようになる」


「なんて事を言ってくれるんだ。出来る気がしないぞ」


「そうだ。それは難しい。だから俺達は、特定の力しか使わない。とにかく、一つだけで良い。覚えるんだ。そうしたら、その一連の流れに、咄嗟な改変を加えれれるようになれ。一つの力に応用力を付けろ」


 その場、その瞬間にパズルを組むのは難しい。だからこそ、この一連の流れを覚えておく。完全に記憶に叩き込んで、無意識でも出来るようにしておく。故に、ギアは炎を発生させる力しか使わないし、ムアは自身の姿を誤魔化す力しか使わないのだ。もちろん、ただ一連の流れを覚えれば良いというだけの話ではない、炎を発生させる位置情報、どんな姿に誤魔化すのかの情報、そういったものを組み込む必要もある。それは尚更に、一つの力に絞らせる要因になっている。


「これは、頭痛くなるな」


「先ずは、出来る事を理解する事だ。〈権限〉によって得意不得意がある。どうせ一つの力しか使えないなら、一番合うものを選んだ方が良い」


 フィクターはギアの話を熱心に聞きながら、それはそうと、ムアはどうしたのか、少し意識を向けると、同じく話を熱心に聞いていた。うんうんと頷きながら納得したような表情になっているが、そもそも〈権限〉を扱う当事者であるドラゴンが、何をそんなに熱心に聞いているのか。


「なるほどー、ギアの話は分かりやすいね! 私は天才だから何にも考えないで〈権限〉を使ってたよ」


「お前が天才なものか、本能で使っているだけだろ。理解できていないから、何時まで経っても日の当たらない所でしか使えないという制限が付くんだ。もっと勉強しろ」


「私、天才だから勉強する必要なんてないもん。嫌とかそういうのじゃなくて、必要ないんだもん」


 駄々っ子になるムアに、青筋立てるギア。どう考えてもこの二人が仲良く見える事は無いだろう。フィクターは念のためにこっそりと後ろに下がっておく。起爆した怒りに好き好んで飛び込む趣味は無い。


「はぁ、今更と言えば今更か。フィクター、先に帰ってろ。俺はこいつと話すことがある」


「えっ、私は無いんだけど」


「俺は構わないが、ステーキにしてくれるなよ?」


 ため息で怒りを吐き出すギアだが、それはそう見えているだけだ。フィクターは念を入れておく事にした。ムアは帰りたがっているが、それを赦す守護竜では無いだろう。つまり、抵抗は無駄である。


「安心しろ。焼くことになったとしても、ステーキにはしない」


「ねぇ! にはってなに!? 私に何する気!? いや、焼くのは解ってるんだけど、焼くのは解ってるんだけど、なんで焼くの!?」


「焼く事自体をやめてやってくれ」


 結局、ムアは残る事になった。ギアは焼いてやるとか言っているが、約束を破って焼くことは無いだろう。いや、焼いてはいたが、多分害する事は無い、と思う。フィクターは少し心配になってきたが、楽観的思考でそれを放棄する。どうせ自業自得だろう。

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