魔王陥落!絶頂合気とフタナリ勇者の逆襲
ズドゴォォォォォォォォォォォンッ!!!
魔王城最深部。玉座の間を守る、分厚く重厚な黒曜石の扉。
かつていかなる攻城兵器でも傷一つつけられなかったその堅牢な扉が、たった一蹴りで木端微塵に吹き飛んだ。
舞い散る粉塵と漆黒の瘴気を切り裂くように、四つの影が堂々と足を踏み入れる。
「……はぁ。また来ちまったよ、この悪趣味で陰気な玉座の間に」
先頭を歩くのは、大暮陽。
だが、今の彼が纏う空気は、数日前にこの部屋で無様に敗北した時のものとは完全に異なっていた。白銀の鎧の下に包まれた、絶世の美少女の肉体。
そこには地獄のような『快楽耐性・乱交特訓』を経て完全にコントロールされた、桁外れの生命力と、底知れぬ魔力がとぐろを巻いている。
陽の背後には、同じく数日前の絶望から完全に生まれ変わった三人の仲間たちが並び立つ。
シンディは、身の丈ほどもある巨大な両手斧を軽々と肩に担ぎ、その紫の瞳に獰猛な肉食獣の光を宿していた。
その身体からは、戦意と情欲が入り混じった熱気が立ち昇っている。
ピリカは、分厚い魔導書を片手に、瞳の奥で恐ろしい速度の戦闘演算を繰り返していた。
銀髪が静電気を帯びたように広がり、彼女の周囲には高密度の魔力が火花を散らしている。
そしてライラ。純白の法衣を纏う彼女は、一見すると神聖そのものだ。
だが、その黒い瞳は、陽の頼もしい背中をねっとりと舐め回すように見つめ、己の内に秘めた情欲を聖なる力へと変換させていた。
「あらあら……フフッ、アハハハハッ!」
玉座で優雅に頬杖をついていた魔王アイリーンは、漆黒のドレスを揺らし、妖艶な笑い声を響かせた。
「また懲りずにいらっしゃったのね。学習能力の欠如した、哀れな勇者サマご一行。少しはお行儀よくなったのかしら? それとも、あの快感が忘れられなくて、また私に徹底的に犯されたくてウズウズして来ちゃったの?」
アイリーンは無邪気な子供のように笑いながら、玉座からゆっくりと立ち上がった。
そして、白魚のような指を高く掲げ、パチンッと軽快に指を鳴らした。
プシュゥゥゥゥゥゥッ……!!
その合図と共に、玉座の間に仕掛けられていた特殊な罠が作動する。
以前、最強パーティをわずか数秒で快楽の濁流に沈め、全滅に追いやった悪夢の兵器。伝説の霊薬『フタナリンドリンク』の原液を気化させた、極めて高濃度の魔力異常体だ。
淡いピンク色をした究極の淫靡結界が、瞬く間に玉座の間を埋め尽くしていく。
甘く、とろけるようで、吸い込んだ瞬間に脳髄の奥を直接撫で回されるような凶悪な香りが、陽たち四人を包み込んだ。
「さあ、啼きなさい! 抗えない快楽に溺れて、また私の足元で無様に這いつくばるといいわぁっ!」
アイリーンは完全な勝利を確信し、両手で自らの凶悪に膨れ上がった股間を強調するように撫で上げながら高笑いした。
――しかし。
数秒が経過しても、数十秒が経過しても。
四人は誰一人として、床に崩れ落ちることはなかった。嬌声を上げることも、痙攣することもない。
ただ静かに、魔王を見据えて立っている。
「……は?」
アイリーンの高笑いが、ピタリと止まった。
絶世の美女である魔王の顔に、初めて『困惑』の色が浮かぶ。
「……ふぅん。なんだか、特訓の時に毎日吸い続けたピリカの特製ガスの匂いに比べたら、ずいぶん薄く感じるわね。全然刺激が足りないわ」
シンディが、本来なら致死量であるはずのピンク色のガスを深く深呼吸しながら、退屈そうに首をポキポキと鳴らした。
「データ通りね。脳の快感中枢への干渉レベルは想定内……いえ、想定以下だわ。この程度の濃度では、もはや私の強固な知性は一ミリも揺るがない。陽の指先のテクニックのほうが、何百倍も私の脳を甘く焼き切ったもの」
ピリカが丸眼鏡をクイッと押し上げ、冷たく言い放つ。
「ええ。私たちは陽との深くて激しい愛の特訓によって、すでにこの程度の快楽は完全に克服しているんです。……陽の、あんなところやこんなところの熱さに比べたら、ただのそよ風に等しいですね」
ライラがうっとりと自らの頬に手を当て、法衣の下で脚を擦り合わせながら熱っぽい吐息を漏らす。
「な、なんで……!? ば、馬鹿な! 私の、神話級の呪物である究極のフタナリ結界が、全く効いてないだと!?」
アイリーンが玉座から身を乗り出し、信じられないというように目を剥いた。
「効いてないわけじゃねぇよ」
陽が、ふっと不敵な笑みを浮かべた。
「お前が喰わせた地獄以上の地獄を、俺たちは何日も徹夜で味わい尽くしてきたんだ。毎日毎日、限界を超えてイかされて、快楽を力に変える術を叩き込んだ。これしきの波じゃ、俺たちの腰はもう砕けねぇってことだ。――ライラ、やれ!」
「はい、陽!」
ライラが一歩前へ踏み出し、両手を高く掲げた。
「神の御名において、全ての淫靡なる不浄を打ち払わん! 『清浄なる絶対領域(アブソリュート・ピュリティ)』ッ!!」
ピカァァァァァァァァァァンッ!!!
ライラの身体から放たれた、目も眩むような純白の聖なる光。
絶対死の迷宮で手に入れた古代の聖魔法の力が、津波のように玉座の間を駆け抜けた。
その絶対的な浄化の波動は、空間を満たしていたピンク色のガスを一瞬にして中和し、完全に消滅させた。
それだけではない。
ガスが消え去った瞬間、魔王アイリーンの身体に劇的な変化が起きた。
「きゃあっ!? ひ、ひぃぃぃぃっ!?」
アイリーンが自らの股間を押さえて悲鳴を上げた。
彼女のフタナリ化は、あの気化ガスを常時展開し、その魔力を吸収することで維持されていたのだ。
ガスが完全に浄化されたことで、漆黒のドレスを不自然に盛り上げていた『凶悪な膨らみ』が、みるみると萎縮していく。
シュゥゥゥゥッ……。
数秒後。ドレスの腰の線はすっかり平らになり、彼女は本来の、ただの純粋な「絶世の美女」の肉体へと戻ってしまった。
「う、嘘よ……! 私の、私の自慢のモノが……消えちゃったぁぁっ!?」
アイリーンはガクガクと膝を突き、失われた自身の「武器」を探すように股間をまさぐって涙目になっている。
「お前の手品はもうタネが割れてんだよ! シンディ、ピリカ! 一気に畳み掛けろ!」
「オラァァァァァァッ!!」
陽の号令と共に、シンディが床を砕いて跳躍した。
その巨体が、文字通り砲弾のように魔王へと迫る。
「陽さんのために、おじさまのために、ここで叩き斬るわッ!」
ギィィィィィンッ!!!
シンディの渾身の両手斧が、パニック状態のアイリーンが咄嗟に展開した漆黒の物理防壁を、まるで薄いガラスを割るように次々と粉砕していく。
「くそっ、この野蛮なメスゴリラがっ! 近寄るな!」
アイリーンが後方に跳躍し、迎撃の魔法陣を描こうとした瞬間。
「遅いわよ、武器を失った哀れな魔王」
ピリカの冷徹な声が玉座の間に響いた。
「喰らいなさい。快楽に溺れたのはどちらか、教えてあげる。『感覚拡張(ハイパー・センシビリティ)』!」
ビビィッ!!
ピリカの杖から放たれた不可視の魔法波動が、魔王の身体に直撃した。
「なっ……!? なにも起きない……? ハッタリか!」
「ハッタリかどうかは、すぐに自分の身体で理解することになるわ」
「いくぞ、魔王ッ!」
ドドォォォォンッ!
陽が床を爆砕しながら、一瞬で魔王の懐へと入り込んだ。
「おっさんの意地、見せてやるッ!」
陽は、手にしていた聖剣を振るわなかった。
代わりに、現世で長年培ってきた合気武道の構えを取り、半身になってアイリーンの懐へ飛び込むと、その漆黒のドレスの胸元をガシッと力強く掴んだ。
「なっ……!? 剣を使わず、素手で……!?」
「ただの殴り合いじゃねぇ。俺たちが特訓で浴び続けた極限の快楽を、全部お前に叩き返してやる。……『絶頂合気』だッ!」
ズドォォォォォォンッ!!!
陽の掌底が、アイリーンの腹部に深々とめり込んだ。
乱交特訓で蓄積し、丹田で極限まで圧縮した「快楽のエネルギー」を、合気の浸透勁の要領で相手の経絡に直接流し込む、陽だけの究極の奥義。
さらに、ピリカの『感覚拡張』によって、アイリーンの全身の神経は通常の何万倍にも過敏になっていた。
「あ゛ッ!? ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッッ!?」
魔王アイリーンの口から、これまで誰も聞いたことのないような甲高い嬌声が弾け飛んだ。
打撃の痛みではない。全身の細胞を直接焼き焦がすような、致死量の快感が脳髄を直撃したのだ。
「あ、あぁっ……!? なに、これ……っ、おかしい、私が、私が快感で……っ!?」
アイリーンの美しい顔が、極限の快楽で一瞬にしてドロドロに蕩けた。
絶対的なドSであり、他者に快楽を与えて魂を喰らう「快楽食い」のバケモノが、逆に与えられる快楽の前に自我を保てなくなっている。
「まだまだァッ!」
陽の容赦ない連撃が始まる。
手首を極め、肘を落とし、肩をぶつける。合気道の円運動を用いた流麗な体術。その一撃一撃に、圧倒的な快楽エネルギーが乗せられている。
「あひぃっ! んおぉぉぉっ! だ、だめ、そんな、やめ、やめてぇっ! イく、イっちゃうぅぅっ!」
魔王の巨体が、陽の流れるような動きによって空中に舞い、床に叩きつけられ、その度にビクンビクンと激しく反り返る。
ズバァァァァァァァァァンッ!!!
陽の最後の一撃が、アイリーンの鳩尾にクリーンヒットした。
「あ゛がぁぁぁぁぁんっ……!!!」
アイリーンは完全に白目を剥き、凄まじい絶頂の波と共に床に崩れ落ちた。
ドシャァッ!と崩れ落ちた魔王の肉体は、限界を超えた快感によってガクガクと激しい痙攣を続けている。
「……よし、動きが止まったな」
陽が息を吐きながら構えを解いた。
しかし、ピリカが丸眼鏡を光らせながら、不敵な笑みを浮かべて前に進み出た。
「甘いわ陽。魔王はしぶといわよ。完全に精神を屈服させないと、またいつ反撃してくるか分からないわ。……ここは、目には目を、フタナリにはフタナリよ」
「……は? おいピリカ、お前なに言って……」
陽が嫌な予感を感じて後ずさった瞬間、ピリカが杖を陽の腰へと向けた。
「秘術・『性徴反転・偽根付与(ジェンダー・イリュージョン)』ッ!」
ポワァァァァァァンッ!!
「うおぉぉぉぉっ!?」
陽が悲鳴を上げた。
クレアの美しい身体の下腹部が、まばゆい光に包まれたかと思うと、そこにズシリとした『とんでもない質量』が顕現したのだ。
白銀の鎧の腰の部分が、内側からの凄まじい圧力でメキメキと音を立てて膨れ上がる。
「お、おい! なんだこれ! なんかスゲェことになってるぞ!? 現世のおっさんの頃より何倍もデカいじゃねぇか!!」
陽は自分の腰を押さえながら、パニックに陥って叫んだ。
見事な金髪美少女であるクレアの身体に、立派すぎる『男の象徴』が生えてしまったのだ。
「ふふっ……いいじゃないですか、陽。とても立派で、神々しいです」
ライラが、頬を赤らめながら陽のそれにそっと手を伸ばす。
「えへへ……陽さんの新しいお友達、おっきい……。これなら、魔王を完全に『わからせる』ことができるね」
シンディも鼻息を荒くして陽の背中に抱きついた。
「さあ、陽。魔王が私たちにやったのと同じように、その力で彼女を完全に堕としてみなさい。私たちも手伝うわ。徹底的に、愛撫と快楽でこの魔王の心をへし折って、下僕にしてやるのよ」
ピリカの提案に、陽は一瞬ためらい、足元のアイリーンを見下ろした。
「……おい、魔王。選ばせてやる」
陽は聖剣の柄に手をかけたまま、低い声で言った。
「ここで、この剣で終わるか。それとも、お前の得意な土俵――快楽の勝負で、もう一回だけ俺たちとやり合うか」
アイリーンは、まだ全身を小刻みに震わせていた。けれど、その瞳に、魔王としての矜持の火がもう一度灯った。
「……快楽で、この私と勝負ですって? ふ、ふふ……面白いじゃない。受けて立つわ。魔王が快楽で人間に負けるなんて、あり得ないもの」
「決まりだ。条件を言うぞ。負けを認める時は『参った』と言え。そこで止める。その代わり、お前は俺たちの下僕になれ」
「いいわ。でも、逆にあなたたちが先に溺れて、正気を手放したら……その時は、四人まとめて、魂ごといただくわ。あの勇者の時と同じようにね」
玉座の間の空気が、凍りついた。
それは脅しではなかった。ほんの数日前、この同じ床の上で、勇者クレアの魂は本当に喰われたのだ。三人の仲間たちの喉が、同時にごくりと鳴った。
「……上等よ」
シンディが、両手斧を黒曜石の床に突き立てた。
「今度は、負けない。あの日の分まで、まとめて返してあげる」
「勝率の計算は済んでるわ。特訓の成果を入れて、五分五分。……悪くない賭けね」
ピリカが、震える指で丸眼鏡を押し上げる。
ライラは黙って胸の前で手を組み、短く祈ってから、顔を上げた。
「クレアの仇を前にして、私はもう二度と堕ちません」
「乗った」
陽は、大きく息を吐いた。
「……はぁ。仕方ねぇ。毒を食らわば皿までだ。お前ら、現世の妻には絶対に内緒だからな!」
陽は、鎧を脱ぎ捨て、魔王アイリーンの上に跨った。
「……っ、そ、そんなモノで、この私が堕ちるとでも……っ」
アイリーンは目の前のそれに息を呑みながらも、逃げなかった。押さえつける必要はなかった。三百年以上を生きた魔王は、自分から漆黒のドレスの胸元を引き裂き、挑むように白い胸を反らしていた。
「来なさい、勇者ども。……命がけでね」
「逃がさないわよ、魔王。お胸、すっごく柔らかい……でも、陽さんのために、徹底的にイじめてあげるわ!」
シンディが、アイリーンの豊満な胸を両手で力強く揉みしだき、その先に唇を寄せる。
ちゅっ、ちゅうぅっ……。
「ひゃああっ!? だめ、そこ、そんなに強く吸わないでっ!」
「ふふっ……神聖なる舌の技術、とくと味わいなさい」
ライラは魔王の耳元に顔を寄せ、敏感な耳を甘噛みし、首筋から鎖骨にかけてねっとりと舌を這わせる。百合の悦びに目覚めた聖女のテクニックは、魔王の防壁を容易く突破する。
「あぁんっ! んくぅっ……! くすぐったい、熱い、変な感じぃっ!」
「文献によれば、魔族の快感帯は人間よりもさらに特定のツボに集中しているわね。ここよ」
ピリカは冷静な顔で、アイリーンの太腿の内側、最も神経が集中する柔らかな部分を指先で的確になぞり、微弱な雷魔法でチクチクと刺激する。
「ひぎぃぃぃぃぃっ!?」
三人の凄まじい百合愛撫によって、すでにアイリーンの身体はピンク色に染まり、汗に濡れて弓なりに反り返っていた。
そこへ、陽がトドメとばかりに腰を落とす。
「俺の絶頂合気と、この無駄に立派なアレの摩擦で、お前の理性を完全に削り切ってやる!」
陽は、中へは入れずに、己の『それ』を、アイリーンの熱く濡れた脚の間へ、外から強く押し当てた。
ぬちゅっ……!
「あッ!? ひ、あぁぁぁぁぁっ!」
陽は合気武道の円運動を応用し、腰を滑らかに、かつ強烈な圧をかけて擦り合わせる。
男の魂の経験値と、女の身体の超絶感度、そして魔法で作られたフタナリの質量。それらが完璧に融合した摩擦が、アイリーンの弱いところを容赦なく攻め立てる。
ぬちゅっ、ぬちゅっ、ぱちゅんっ……!
玉座の間に、濡れた音と、魔王の甘い悲鳴が響き渡る。
体勢を変えながら、陽たちは魔王を責め続けた。仰向け、うつ伏せ、シンディが後ろから抱え上げての愛撫。
「ひっ、あ、あぁっ……! 入れて、ないのに……っ、どうして、こんな……っ」
「入れなくても、勝負はつく。……合気ってのはな、力をぶつけるんじゃねぇ。相手の流れに、乗るんだよ」
陽は円を描くように腰を回し、アイリーンの一番感じるところを、ぐり、ぐりと押し潰した。同時に、丹田に溜め込んだ絶頂の気を、触れ合った場所から相手の身体へと流し込む。
「あ゛ぁぁぁっ!? なにこれ、触られてないのに、奥まで、熱いのが……っ!」
ピリカの『感覚拡張』が、その一撃一撃を何倍にも膨らませる。シンディがアイリーンの胸を両方同時に吸い上げ、ライラが耳の奥へ熱い吐息を吹き込む。
――だが、相手は魔王だった。
「……ふ、ふふっ。調子に、乗らないで」
蕩けきっていたはずの紅い唇が、にいっと吊り上がった。アイリーンの白い指が、胸に吸いついていたシンディのうなじを捕らえる。触れた指先から、桃色の魔力がとろりと流れ込んだ。
「ひぁっ!?」
シンディの背中が跳ねた。日焼けした太腿ががくがくと震え、腰が勝手にくねりはじめる。
「これは結界じゃないわ。私の肌そのもの。……触れているかぎり、あなたたちも同じ快楽の中よ。勝負なんだもの、受けてもらうわ」
「受けて、立つって……言ったでしょ……っ、んぁ、あぁぁっ、だめ、イく、イっちゃう……!」
シンディは歯を食いしばったまま、陽の背中にしがみついて果てた。一度、二度。三度目の絶頂で、半開きになった唇の奥に、ちらりと淡い光が揺れた。
あの日、クレアの口から零れたのと同じ光だった。
「シンディ!」
「……大丈夫、まだ、いける……っ、こんなの、特訓の、ガスより……ぬるい……っ!」
強がりだった。それでもシンディは、光を喉の奥へ呑み込むように唇を噛みしめ、もう一度アイリーンの胸に顔を埋めた。
「感覚拡張、私のぶんを切るわ。……陽、全部、あなたに回す」
ピリカが早口で詠唱を組み替える。銀髪の先から汗が滴り、細い指は自分の脚の間を必死に押さえていた。三百年の知性が、絶頂の波に呑まれまいと、計算式だけを唱え続ける。
「余剰の快感は、陽の丹田へ。……陽、受け止めて。あなたなら、それを弾薬にできる」
ライラは魔王の耳を舐めながら、空いた手で陽の手を握った。指を絡めた手のひらから、聖女の祈りと、三人の身体からあふれた快楽が、まとめて陽へと流れ込んでくる。
「……っ、ぐ、う、ぉぉっ……!」
陽の視界が、白く弾けた。
イった。一瞬で、二度、三度。腰が勝手に跳ね、熱いものがアイリーンの白いお腹の上に迸る。それでも陽は、腰を止めなかった。特訓の日々で、身体に叩き込んだ。イくたびに、強くなる。快楽は、弾薬だ。
「……返すぞ、魔王。お前の撃った分、利子をつけてな」
陽はアイリーンの両脚を大きく開かせ、いちばん敏感なところを押し潰すように、ぬちゅり、ぬちゅりと擦り上げた。丹田に溜まった三人分と自分の分の絶頂が、ひとつの奔流になって、触れ合った場所から一気に魔王の中へ流れ込んでいく。
「ひ、ぎ……っ!? あ゛っ、あ゛ぁぁぁぁっ! うそ、私の、魔力が、押し返されて……っ!」
アイリーンの指が、シンディのうなじから離れた。
体勢を変えた。アイリーンを四つん這いにさせ、後ろから腰を擦りつける。シンディが下にもぐりこんで胸に吸いつき、ピリカは指先で太腿の付け根をくるくるとなぞる。次は横向きに寝かせ、閉じさせた太腿の間に挟み込み、ライラが正面から唇を塞ぐ。そのたびに魔王の声は高くなり、玉座の間の黒曜石の床に、汗の水たまりが広がっていった。
「まだ……まだ、負けて、ない……っ、私は、魔王、なのよ……っ、あぁぁっ、イく、またイっちゃうぅっ!」
「参ったか?」
「ま、まだ……っ、まだよぉっ……!」
どちらが先に、魂を手放すか。
陽の膝も、もう笑っていた。シンディの目は焦点が合わず、ピリカの詠唱は途切れがちで、ライラの握る手は汗で滑る。それでも、誰も「やめる」とは言わなかった。三百年の矜持が、絶頂のたびに一枚ずつ剥がれ落ちていく。それでもアイリーンは、震える声で「まだ」と言い続けた。
「ああっ、ダメ、イくっ、もう、何度もイってるのに、止まらないぃぃぃっ!」
「まだまだァ! 俺たちがお前にやられた絶望はこんなもんじゃねぇぞ!」
陽自身も、フタナリ化による異常な快感と、三人の仲間たちが時折自分にも向けてくる愛撫のせいで、何度も絶頂を迎えていた。
「くそっ、俺もイく……! でも、こいつを完全に堕とすまでは止まらねぇぞ!」
シンディ、ピリカ、ライラも、魔王の美しい身体を愛撫しながら、互いの肌を擦り合わせ、百合の快楽に溺れていく。
「んぁっ、陽さんのアレ、すごく熱い……私も、擦れちゃって、イきそう……!」
「ふふっ、みんなで一緒にイきましょう! 聖なる絶頂を!」
極限の乱交状態。
その頂点に達したのは、やはり魔王アイリーンが先だった。
「あ゛がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ……!!!」
アイリーンは完全に白目を剥き、かつてない規模の大絶頂を迎え、身体をビクンビクンと跳ねさせながら、ぐったりと床に崩れ落ちた。
その瞬間だった。
ピキッ……ピキキキキッ……!
絶頂の余韻で震えるアイリーンの胸の奥から、ガラスが割れるような甲高い音が響き始めた。
「なんだ……!? 魔王の様子が……!」
陽が腰を止め、身構える。
アイリーンの口が大きく開き、そこから眩いほどの黄金の光が溢れ出した。
「あ……あぁ……私の、力が……喰らったはずの、極上の魂が……快楽に耐えきれなくて、吐き出され、るっ……!」
アイリーンが苦しげに喉を掻き毟る。
ポワァァァァァン……。
魔王の口から吐き出されたのは、光り輝く淡い黄金の球体だった。
それは、以前の戦闘でアイリーンに喰われ、この世から消滅したはずの本来の勇者――クレアの魂だった。
純真無垢で、世界で最も強大な力を持つ魂。それが、陽たちによる極限の『エッチな快楽攻撃』の衝撃によって、魔王の呪縛から解き放たれ、体外へと排出されたのだ。
「クレアの、魂……!」
ライラが両手を口元に当て、涙ぐむ。
黄金の球体は、宙をふわりと浮遊し、まるで自分の居場所を確かめるように真っ直ぐに陽の胸元――いや、元々の自分の肉体へと吸い寄せられていった。
「お、おい! 俺の身体に……!」
スゥッ……。
魂が陽の胸に溶け込んだ瞬間。
陽の脳裏に、あたたかく、澄み切った優しい声が響いた。
『……ありがとう、おじさま』
(お前……クレアか!?)
『はい。私の大切な身体を守ってくれて。私の仲間たちを、絶望から救ってくれて。本当に、ありがとう』
(おいおい、礼を言われる筋合いはねぇよ。俺はお前らの身体を使って、魔王相手にこんなとんでもないエロいことを……)
『ふふっ。全部、見ていました。……おじさまの、その泥臭くて、決して諦めない優しい心が……私は好きです』
(クレア……)
『さあ、一緒に……私たちの世界を救いましょう! 私の全力を、あなたに預けます!』
ドクンッ!!!
陽の四十九歳のおっさんの魂と、クレアの高潔な勇者の魂が、一つの肉体の中で完全に融合した。
途端に、陽の全身から溢れ出る黄金のオーラが、数十倍にも膨れ上がる。
おっさんの老練な経験と執念に、勇者の純粋な魔力と圧倒的な身体能力が、文字通り完璧にリンクしたのだ。
ピリカの魔法も解け、陽の身体に生えていた『ソレ』は光となって消え去り、再び元の女性の身体へと戻る。
「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉッッッ!!!」
陽の咆哮が、魔王城全体を激しく揺るがせた。
「ば、バカな……! 魂が戻り、融合しただと……!? そんな奇跡が、あってたまるかぁぁっ!」
アイリーンが、最後の力を振り絞って起き上がろうとする。
しかし、陽は静かに、しかし圧倒的な威圧感を持ってアイリーンを見下ろした。
その手には、黄金に輝く聖剣が握られている。
「終わりだ、魔王アイリーン。お前の敗北だ」
陽は剣の切っ先を、アイリーンの喉元に突きつけた。
「あ、あぁ……こんな、こんな四十九歳のおっさんに……私が……完全に、屈服させられるなんて……っ!」
アイリーンは、恐怖と、そして先ほどの快楽の余韻による熱い吐息を漏らしながら、ガクンと膝をついた。
「殺せばいいわ……。勇者に敗れた魔王の末路なんて、そんなものでしょ……」
だが、陽は剣をスッと下ろした。
「殺さねぇよ」
「え……?」
「俺は現世じゃしがない高校教師だからな。問題のある生徒でも、使えるところは使い倒す主義なんだ。……今日からお前は、俺の下僕だ。この世界を復興させるために、馬車馬のように働いてもらうからな」
「げ、下僕……私が、あなたのお情けで生き延びて、奴隷に……?」
アイリーンは呆然と陽を見上げた。しかし、その瞳には不思議と怒りはなく、どこか安堵したような、そして陽に対する絶対的な服従の光が宿っていた。
「はひぃっ……ま、負けましたぁ……陽様ぁ。私を、あなたの奴隷にしてくださいぃ……っ」
魔王アイリーンは、陽の足元に崩れ落ち、そのブーツに恭しくキスをした。
世界を恐怖に陥れた絶世の魔王は、一人の平凡なおっさんによって、心も身体も完全に調教され、下僕となったのだった。
「やりました! やりましたね陽! クレアの魂も戻って、魔王も下僕にして、大勝利です!」
ライラが陽に飛びつき、頬に何度もキスをする。
「データ通り……いえ、私の計算を遥かに超えた奇跡よ。あなた、本当に最高の男だわ」
ピリカが丸眼鏡の奥の涙を拭いながら、陽の胸に顔を埋める。
「大好き、大好き陽さん! おじさま! 私、ずっと陽さんと一緒にいるぅっ!」
シンディが陽を強く抱きしめる。
「わかった、わかったから! 苦しいっての! あと、俺には祭って妻がいるんだからな!」
陽はボヤきながらも、その美しいクレアの顔に、心の底からの清々しい笑みを浮かべていた。
* * *
その頃、天界の最上層「モニタリングルーム」。
壁一面の巨大モニターには、三人の美女と元魔王に囲まれ、困ったように笑う陽の姿が大写しになっていた。
「――はい、カーーーーットォォォォォォッ!!!」
上級天使グリセリアの、現場監督のような怒声にも似た歓喜の叫びが、部屋中に響き渡った。
「お疲れ様でしたァァッ! 全神界、全魔界が泣いた! 『天界どうでしょう!』歴史に残る超大作の完結だ!!」
「ええ、本当に素晴らしいラストでした」
最高位の女神エリシアが、ハンカチで優雅に目元を拭いながら微笑む。
「四十九歳のおっさんが、美少女の身体で世界を救う。フタナリ化からのドロドロの愛撫、そして最後は本来の勇者の魂と完全に融合して奇跡を起こし、魔王を下僕にするなんて……。予想を遥かに裏切る最高のエンターテイメントでした。スポンサーからの評価も満点。視聴率は前代未聞の天文学的数字を記録しましたよぉ」
「カッカッカ……」
上級天使ウレシリアが、死んだ目を少しだけ輝かせて不気味に笑った。
「人間の執念と愛、そしておっさんの底知れぬスケベ心は、時に魔王の快楽すらも完全に凌駕する。……彼のおかげで、私の今回のボーナスもかなり弾みそうですね。文句なしの、最高の実験体でした」
「さぁて、それじゃあ約束通り、最高のフィナーレとしてあの最高に面白いおっさんの願いを叶えてやるとするか!」
グリセリアがモニターに向かって親指を立てる。
エリシアが、マイクを取り、優しく、神々しい声でモニター越しに語りかけた。
「ええ。よく頑張りましたね、大暮陽さん。あなたの魂と、そしてクレアの魂に、最大級の祝福を。……あなたの願い、確かに聞き届けましたよぉ。さあ、愛する奥様の待つ、現世へとお帰りなさい!」
天界からのまばゆい光が、玉座の間を包み込む。
大暮陽の異世界での数奇でエッチな戦いが、今、大団円と共に幕を下ろそうとしていた。




