魔法の切れた夜と、女の子のヨウ
八月の中旬。
小樽の街が深い眠りにつく深夜。
運河から吹き込む涼しい海風も、安アパートの八畳の居間の熱気を冷ますことはできなかった。
オレンジ色の常夜灯が照らし出す畳の上には、汗でシーツが体に張り付くほど濡れそぼった、三人の絶世の美女たちが絡み合っていた。
「ハァ……ハァ……お前ら、ちょっと待ってくれ……俺、もう……」
大暮ヨウは、仰向けに倒れ込みながら荒い息を吐いた。
金髪美少女勇者の身体。その下腹部には、アイリーンの魔法によって顕現した『男の象徴』が、まだ熱を持って脈打っている。
しかし、ヨウの顔には、男としての余裕よりも、快感に追い詰められた悲鳴のような色が浮かんでいた。
なぜなら今、ヨウの左右には、二人の女がぴったりと張り付いているからだ。
「陽、どうしたの? まだまだこれからでしょ?」
右側からは、深夜のバイトから帰還し、若返りの魔法で十代の輝く肌を取り戻した妻の祭が、妖艶な笑みを浮かべてヨウの胸元に舌を這わせている。
豊かな胸がヨウの腕に押し付けられ、熟練の妻の指先が、勇者ボディの敏感な胸の先を的確に弾いていた。
「ハイ、ゴシュジンサマ。夜ハ長イデス。タップリ、愛シアイマショウ」
左側からは、アイリーンが、赤い髪を揺らしながらヨウの下半身に顔を埋めていた。
ちゅっ、ちゅぷっ、と湿った音が、ヨウの腰のあたりから立ちのぼる。
「ひゃうっ……! や、やめろ祭、そこ弱いんだって……! アイリーン、上と下、同時に責めるな! 頭おかしくなるっ!」
ヨウの口から、おっさんらしからぬ甘く甲高い嬌声が漏れる。
「ふふっ。陽の声、本当にエロくて可愛い。私がバイトで疲れてる間、アイリーンと二人で楽しんでた罰だよ。たっぷり私にも奉仕してもらうんだから」
「マツリサマト私デ、ゴシュジンサマヲ、天国ヘお連レシマスゥッ!」
祭の指がヨウの脚の間に滑り込み、くちゅくちゅと水音を立てる。同時に、アイリーンの唇が、男の身体のほうを深く包み込んで吸い上げた。
上からは胸を責められ、下では男と女の両方の弱いところを同時に攻め立てられる。
勇者クレアの超絶感度ボディと、魔法で作られた男の身体の感覚がショートし、ヨウの頭の中は真っ白に染まった。
「あ゛ぁ゛ぁ゛っ! ダメだ、ムリ、ムリっ! 俺、イクッ! 両方でイクゥゥゥッ!」
ビクンッ! ビクビクビクッ!!
ヨウは白目を剥いて背中を反らせ、ガクガクと激しく痙攣した。男としても、女としても、同時に果てたのだ。
「んむっ……ぷはっ。ゴシュジンサマノ、オイシイデス」
「ふふ、陽、すごい声だったね。でも……まだ休ませないよ」
絶頂の余韻で意識が飛びそうになっているヨウを、祭が優しく抱き起こした。
「次は、私が陽をいっぱいに感じる番。……来て、陽」
祭は、自ら仰向けに寝転がると、美しく形の良い両脚を広げ、ヨウを誘った。
愛する妻の誘う姿に、ヨウのおっさんの魂に再び火がつく。アイリーンのバフ魔法のおかげで、男の身体はすぐさま元気を取り戻した。
「……おう。愛してるぜ、祭」
ヨウは祭の上に覆い被さり、ゆっくりと、己の全てを妻の奥へと沈め込んだ。
「あぁっ……! 陽っ、大きい……奥まで、いっぱい……っ!」
「祭……お前の中、すげぇ熱いし、柔らかい……っ」
二人は深く息を吐き、唇を重ねた。
勝ち負けではない。互いを慈しみ、愛おしむような、ゆったりとした動きが始まる。
しかし、今日はただの夫婦の営みではない。
「マツリサマ。私モ、お手伝い、シマス」
アイリーンが、繋がって愛し合う二人の背後にすっと寄り添った。
彼女は、ヨウの下で喘ぐ祭の豊かな胸を、後ろから両手で優しく包み込んだ。
「あっ……アイリーン……っ」
「マツリサマノお胸、トテモ柔らかクテ、綺麗デス……。ココモ、気持チイイデスか?」
アイリーンの長い指が、祭の胸の先を摘み、コリコリと優しく転がす。
さらに、彼女の顔が祭の耳元に寄り添い、赤い舌で耳をペロリと舐め上げた。
「ひゃんっ! あ、ダメ、そこ……陽が奥に当たってるのに、上からも責められたら……っ」
「祭、すげぇエロい顔してるぞ。……アイリーン、もっとやってやれ」
「ハイ! ゴシュジンサマ!」
ヨウは、アイリーンの愛撫で感度が高まった祭の奥を、ドスッ、ドスッとリズミカルに突き上げる。
前からは夫の熱が深く届き、後ろからは絶世の魔王の指先と舌が、祭の弱いところを容赦なく探り当てていく。
「あ゛ぁ゛ぁ゛っ! 陽ゥッ! アイリーンッ! スゴイ、二人に愛サレテ、私、おカシクなっちゃうぅぅっ!」
「マツリサマ、トテモ美シイデス……! 私、感動シテイマス……!」
アイリーンは、祭の愛らしい顔が快楽に染まるのを見て、感極まったように限界オタクの涙を流しながら愛撫を続けた。
やがて、ヨウの腰の動きが限界に達する。
「祭っ! 俺、もう……っ!」
「来て、陽ッ! 全部、私の中ニィィィッ!」
ヨウの熱が祭の奥で弾けると同時に、祭もまた白目を剥き、激しい絶頂の波に飲まれてガクガクと震えた。
「はぁ……はぁ……陽……アイリーン……最高、だった……」
祭は、ヨウとアイリーンに挟まれたまま、幸せそうな笑みを浮かべて脱力した。
「お疲れ、祭。よく頑張ったな」
ヨウが祭の額の汗を拭ってやると、今度はアイリーンが、期待に満ちたオッドアイでヨウを見上げてきた。
「ゴシュジンサマ……。次ハ、私ノ番、デスヨネ?」
「……お前も、ほんと体力おばけだな」
ヨウは苦笑しながら、今度はアイリーンを仰向けに寝かせた。
180センチの魔王ボディが、畳の上に艶かしく横たわる。
「いくぞ、アイリーン」
「ハイッ! 全テ、受ケ止メマスゥッ!」
ヨウは、アイリーンの長い両脚を肩に担ぐと、一気に腰を沈めた。
「ひぎぃぃぃっ! ゴシュジンサマァァッ! 奥ッ、奥ッ!」
魔王の異常な超絶感度が、一瞬にしてアイリーンを絶頂の淵へと追いやる。
ヨウは、アイリーンの腰をガシッと掴み、荒々しく、野生的に腰を打ち付けた。パンッ!パンッ!
と肌がぶつかる音が部屋に反響する。
「アイリーン、お前の中、ヤバすぎだろ……っ! どんだけ締めてくんだよ!」
「ア゛ァァァッ! モット、モット壊シテクダサイィィッ!」
激しく交わる二人。
そこに、少し休んで体力を回復させた祭が、ふらふらと起き上がって近づいてきた。
「ふふっ……アイリーン、すっごく気持ちよさそう」
祭は、ヨウに突かれて激しく揺れるアイリーンの背後に回り込み、彼女の豊かな胸を後ろから抱きしめた。
「マ、マツリサマ……っ!」
「アイリーン、陽の、熱いでしょ? すっごく奥まで届いてるの、外からでもわかるよ」
祭の手が、アイリーンの平らなお腹を撫で、それからもう片方の手が、そっと下のほうへ滑っていった。
「ヒィィィィッ!? マツリサマァァッ! ソコ、ソコダメェェェッ!」
「いい声。アイリーン、魔王なのにすっごく可愛くて、エロいよ」
夫と深く繋がりながら、本妻である祭に弱いところを愛撫される。
その背徳感と、大好きな二人から同時に愛される幸福感で、アイリーンの魔王としての理性は完全に崩壊した。
「ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ!! ゴシュジンサマァッ! マツリサマァァッ! 私、死ニマスゥゥゥッ!」
「いくぞ、アイリーン! 一緒に飛ぶぞ!」
ヨウが最後の一撃を奥に叩き込み、熱を魔王の中へと解き放つ。
アイリーンは、目と口を大きく開けたまま、声にならない絶叫を上げ、全身を跳ねさせて絶頂した。
祭も、アイリーンの震える身体を抱きしめながら、その熱にあてられて小さく身を震わせた。
「はぁ……はぁ……終わった……。さすがに、もう俺は限界だ……」
ヨウは、アイリーンの上に倒れ込み、完全に燃え尽きたように動けなくなった。
すると。
ポワンッ。
微かな効果音と共に、ヨウの下腹部を包んでいた紫色の魔力の光が、スッと消え去った。
「……あ」
ヨウは、自分の身体から、確かな質量のあった『男の象徴』が、跡形もなく消滅したのを感じた。
「……消えちゃった」
祭が、少し残念そうに呟く。
下敷きになっているアイリーンが、ハァハァと荒い息を吐きながら、申し訳なさそうにオッドアイを瞬かせた。
「ス、スミマセン……ゴシュジンサマ。連続絶頂シ過ギテ……私ノ魔力、切レテシマイマシタ……。今日ハ、モウ、エッチ魔法ハ、使エマセン……」
アイリーンの魔法が切れたことで、ヨウの身体は、再び完全な「金髪美少女勇者・クレア」の肉体へと戻ってしまったのだ。
「ハァ……よかった。これでやっと寝れるぜ。お前らも満足しただろ? もう寝るぞ」
ヨウは、ホッと安堵の息を吐き、畳の上にゴロンと転がって目を閉じた。
四十九歳のおっさんの体力は、とっくに限界を超えているのだ。
しかし。
ヨウの身体に、柔らかく、そして熱を持った二つの影が覆い被さってきた。
「……ん? おい、祭? アイリーン? 何やって……」
ヨウが目を開けると、そこには、ギラギラとした肉食獣のような瞳をした妻と、それに同調して恍惚とした笑みを浮かべる元魔王の顔があった。
「ふふっ。陽、何言ってんの。男の陽は限界かもしれないけど……」
祭の指先が、ヨウの首筋から鎖骨、そして豊かな胸の谷間へと、蛇のように滑り降りていく。
「『女の子の陽』は、まだまだ元気いっぱいじゃない」
「ハイッ! 今度ハ、私タチガ、ゴシュジンサマノ本当ノお身体、タップリト可愛ガリマスゥッ!」
アイリーンが、ヨウの太腿をガシッと掴み、大きく開かせた。
「お、おいっ!? 冗談だろ!? 俺は中身はおっさんなんだぞ! 女同士でエッチなんて、俺の精神が崩壊する!」
「大丈夫だよ、陽。陽のこの身体、すっごく感度いいの、私たち知ってるもん。ね、アイリーン?」
「ハイ! マツリサマト一緒ニ、ゴシュジンサマヲ、女ノ子ニシチャイマス!」
祭とアイリーンが、悪魔のような笑みを浮かべてヨウに迫る。
「や、やめろぉぉぉっ! そこ、舐めるな! 祭、指……あひぃぃぃぃぃっ!!」
ちゅぷっ、くちゅっ、ちゅるるっ……。
ヨウの抗議は、すぐに甘く甲高い悲鳴へと変わった。
勇者の超絶感度ボディは、妻と魔王の執拗な愛撫の前に、一切の抵抗を許さなかった。
「あ゛ぁ゛ぁ゛っ! イクッ! 俺、女でイッちゃうぅぅぅっ!!」
「フフッ、いい声。もっと鳴いて、陽」
「ゴシュジンサマ、カワイイデスゥッ!」
小樽の夏の夜は、まだ終わらない。
男としての役目を終えたヨウは、今度は完全な「女の子」として、愛する二人の女たちによって、朝の光が差し込むまで徹底的に可愛がり尽くされるのだった。




