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リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
第二戦 ステップを合わせて
99/260

記憶の中

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



 スズは、なんとなく気まずくなり、話題を変えた。なんか、話題……。 

「カエデさん、体調は大丈夫?」

 スズは昨日のことを聞くと、カエデは、こくりとうなずいた。

「よかった……」

 ホッと安堵(あんど)したスズは、ふとカエデを見つめる。

 健康的な自分の肌よりも、少し白い肌。

 鼻筋はユキと同じく通っており、鼻先は少しつんと、上を向いている。黒い瞳がうつむき加減のまま、ぼうっと、前を向いている。黒は黒でも、カエデの瞳は墨のような色に、スズには見えた。それは最初、彼女が思った(たか)のような目ではなかった。

 ぼんやりと電光に照らされた、胸までの美しい黒髪。それは手入れされ、艶々(つやつや)としている。前髪は、分けられていない。長髪の毛先は、ユキのようにくるんと内側に巻いておらず、さらさらと白砂のように、流れるばかりだ。

 カエデの印象は、(りん)と静かな雰囲気だ。だが、スズには、ユキと同じように、どことなく見覚えがあるカエデの顔が、スズの瞳に映る。

 カエデは、なぜスズが見つめるのかわからなかったが、スズはカエデの黒い瞳を見る。

「きれいだね。その目」

 カエデは、どことなく嬉しそうなスズの言葉を、繰り返し確認をするように返す。

「きれい?」

 カエデは、きょとんとしているらしい。

 あれ? また変なこと言ったかな? とスズは、一瞬、間の抜けたなんとも言えない表情をしながら、自信がないように言葉を探して答える。

「うん。そうだと思うけど……」

「そう? 考えたことも——」

 そこで、カエデの凛とする声が止まった。

 彼女自身、記憶の中にある、男女が優しげに微笑んだときと、目の前のスズが一瞬だけ重なり、驚いた。

 スズが、慎重に尋ねる。

「どうしたの? 久遠さん?」

 カエデは、ゆっくりと、首を横に振った。

「……いえ」

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

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