カエデの問い
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
サクラは、着信が鳴った携帯電話の液晶画面を見ると、驚いてつぶやく。
「室長からですね。そういえば、何かファイルを届けるのあったような……」
サクラは、あごに手を当てる。
「あ……じゃあ、皆さん。頑張りましょう」
だが、彼女が、慌てて出ていくと自動扉は閉まった。
様子がいつもどおりではないようなスズを、カエデはチラ見する。
カエデは、なぜスズの様子が違うのか、彼女にその理由を聞きたいだけだ。
「スズ?」
「え? 何、久遠さん?」
「顔色悪そうだけど、今朝のことで、何かあったの?」
今朝……、とスズの回想は、彼女自身が脳内で強制的に消し去ったことにより、中断される。
「いや、あの、ないよ! ホントに何もないから!」
カエデは、少し無事そうな表情をした。
「あ……そう?」
その一方で、スズは内心焦っていた。ど、どうしよう。あ、そうだ スズは慌てて、カエデに顔を向けて見る。
カエデは左手をあごに当て、何か考えていたようだったが、また不思議そうな表情をした。
「スズ。あなた、私のことを、きれい、って言ってたわね」
スズは首肯する。
「うん。それは言ったけど……あの、久遠さん?」
彼女は三度、唇を引き締めた。なんでそんなこと、言うのかな?
「スズ、あなた熱でもあったの? そういえば、顔が赤かったけど……」
カエデは腕を組みながら、不思議そうな表情をした。
「平気なの?」
今のスズは、確かに顔は赤いが、熱はないようだった。再び、スズは両手を、ぶんぶんと振りながら否定する。
「あー……いや、だから、それは、その……久遠さんと距離が近かったからで……」
スズが困ったように言葉を詰まらせた。そのとき、カエデもスズを見る。
「多分、あなたが言いづらそうにしてたのは、私の裸を見たから? でも気にしないで。私は平気よ」
「久遠さん⁉ あれは……その……そう、ホントに事故なんだよ!」
スズは胸の前でもろ手を振りながら、顔を青ざめていた。やっぱりまずいよね? でも、久遠さん、気にしてないみたいだけど、心の中では〝最低ね〟とか? どうしよう……。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




