リリムではない彼女
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
部屋の自動扉から廊下に出た彼女たちは、カエデを先頭に二人でしばらく歩く。
少しカエデの後ろを歩くスズは、また言葉を探す。脳裏に、昨夜の夢に出てきたリリムを思い出してしまったせいで、顔を少しうつむかせたが、思い切ってカエデに問いかけた。
「なんで、真白さんは、リリムに似てるの?」
カエデは、波に言葉がかき消される海辺にいるように何かをつぶやいた。だが、彼女は、カエデの言葉を聞き返すためにピタリと立ち止まる。雰囲気から、カエデが自分の知らない何かを知ってるような気がした。
カエデは、初めて出会ったときのように、スズを見なかった。
スズには、今のカエデの表情は見えなかった。
「彼女は、そのリリムではないわ」
だが、スズには、聞いてはいけない秘密を知ってしまったような気がした。しばらくの間、二人は、会話を交わさなかった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




