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リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
第二戦 ステップを合わせて
92/260

スズが望むもの

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



 スズの目の前には、白髪の少女がいる。白い髪……。スズは目の前の少女を見たとき、ふとそう思った。

 白髪の少女は無言で、しゃがみ込んでいた。

 スズが地面のように思えた白いものは、彼女が手を動かすたびにゆらゆらと揺れた。

「え? 地面が揺れてる? というか……これは何? 水、なのかな? もしかして、ここって海?」

 彼女は、ただ、名前をひと言呼んだ。

「スズ」

 だが、スズが知っている眼前の彼女からは、いつもの静かな声だった。スズは、え? と戸惑った。

「誰?」

 でも、この感じ……知ってる? 

 スズの思考を感じ取ったように彼女は立ち上がった。

 水面みなもも揺らぐことがなく、静まった。

 両腕をだらりと下げた彼女が、くるりと、こちらを振り返る。

 すると、彼女の赤い瞳が、スズを槍で射抜いたときのように見つめる。

 え、なんで……。スズは彼女を見た途端に、息を飲んだ。

「リリムはユキなんだ……」

 彼女はもろ手の(こぶし)を握った。彼女は、自暴自棄になっていたのだ。

「なら、あのとき、私のとこなんて助けてくれなくてよかったのに。あのとき、私も一緒に巻き込まれればよかったんだ」

 スズに、リリムと呼ばれた彼女は、首を小さく左右に振ると、スズの肩に手を添える。

「いいえ。スズ。あなた自身が、生きることを望んでいるから」

 スズはユキから逃げるように目をそらして、白い地面を見た。

 彼女は激しく、首を横に振る。

「ううん、違う、違うよ。そんなこと私、望んでいないよ。私は、ただ……‼」

 スズは、急に体にだるさを覚え、よろける。え……。 

 だんだんと目の前が暗くなり、立てなくなると、その場に座り込む。ひゅうひゅうと、自分の喉が嫌な音を鳴らし、頭と肺が痛くなる。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

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