スズが望むもの
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
スズの目の前には、白髪の少女がいる。白い髪……。スズは目の前の少女を見たとき、ふとそう思った。
白髪の少女は無言で、しゃがみ込んでいた。
スズが地面のように思えた白いものは、彼女が手を動かすたびにゆらゆらと揺れた。
「え? 地面が揺れてる? というか……これは何? 水、なのかな? もしかして、ここって海?」
彼女は、ただ、名前をひと言呼んだ。
「スズ」
だが、スズが知っている眼前の彼女からは、いつもの静かな声だった。スズは、え? と戸惑った。
「誰?」
でも、この感じ……知ってる?
スズの思考を感じ取ったように彼女は立ち上がった。
水面も揺らぐことがなく、静まった。
両腕をだらりと下げた彼女が、くるりと、こちらを振り返る。
すると、彼女の赤い瞳が、スズを槍で射抜いたときのように見つめる。
え、なんで……。スズは彼女を見た途端に、息を飲んだ。
「リリムはユキなんだ……」
彼女はもろ手の拳を握った。彼女は、自暴自棄になっていたのだ。
「なら、あのとき、私のとこなんて助けてくれなくてよかったのに。あのとき、私も一緒に巻き込まれればよかったんだ」
スズに、リリムと呼ばれた彼女は、首を小さく左右に振ると、スズの肩に手を添える。
「いいえ。スズ。あなた自身が、生きることを望んでいるから」
スズはユキから逃げるように目をそらして、白い地面を見た。
彼女は激しく、首を横に振る。
「ううん、違う、違うよ。そんなこと私、望んでいないよ。私は、ただ……‼」
スズは、急に体にだるさを覚え、よろける。え……。
だんだんと目の前が暗くなり、立てなくなると、その場に座り込む。ひゅうひゅうと、自分の喉が嫌な音を鳴らし、頭と肺が痛くなる。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




