ウーゼ 出撃要請
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
サクラが少し懸念した表情で、ハルトに話しかけた。
「室長。5号機の熱エネルギー反応が、二から三に——」
だが、彼女は続けて報告した。
「いえ、消失、消えました」
彼女は、自分よりも年下である青年をちらりと見る。
「心配ない。それより、今聞かされたことを伝達する」
青年の前髪は、眉上で切られている。
灰色の瞳で、今は警告が止められており、ユキのパルスと適合率が映っているメインディスプレイを凝視している。
青年は、いつもどおりワイシャツの一番上のボタンを開け、黒色の制服を着ている。
胸ポケットには、サクラと同じIDカードホルダーがつけられているが、彼の首元には、銀の襟章が鈍く光っていた。
指令室を束ねている青年は、左足を上に組んでいたが、足を下ろして背筋を正す。
ハルトは立ち上がりざま、続けて一同に呼びかける。
「日本政府からウーゼ出撃要請だ。2号機パイロットを動かせるか?」
若い男性オペレーターが応答をする。
『了解。5号機の起動準備、開始します』
報告を終えた途端、ハルトは、またいつものか、とでも言いたげに眉をひそめ、呆れた表情になる。
「どうせ、こっちに任せるのに……。言われなくても、こっちから出撃させてやるよ」
ハルトはため息をつきながら、髪を乱暴にかく。彼の脳裏に浮かんだのは、あの三名の軍人だった。
彼らが属しているのは、ノヴァ日本支部の上層部組織。
なので、逆らうことは許されなかった。しかし、逆に彼らが許可したことは、作戦立案でも、一個人の考えでも、それを実現できる権力があり、そのためには、『ノヴァ日本支部』への資金や、ウーゼの専用武器を惜しみなく用意してくれるのだ。
ハルトは、なんとも言えない瞳でメインディスプレイを見上げる。
「理由をつけては呼びつけるんだよな、あの軍人ども……。でも、結局は、失敗したら俺らの責任、てことだよな?」
サクラは、直属の上司であるハルトを少し心配そうな顔で見ている。 彼女たちには、今の彼の思考は読み取れなかった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




