厳命
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
桜色のジャンパーを着た女性は、きっと上層部か、もしくは、ノヴァ日本支部よりも立場が上位の方が電話の相手だろうか、と感じた。彼女は、彼に問いかける。
「室長。どなたですか?」
「ああ、菅原大臣からだよ。林主任」
「すがっ……」
サクラは思わず、語尾を失った。菅原大臣——そんな人物は一人しか思い当たらない。
そして、桜色のジャンパーを羽織っている彼女は、室長の青年に目配せをした。
「え!? 菅原内閣総理大臣からの厳命ですか?」
ウーゼ開発研究主任の林サクラは、やはり驚いて、両手で口を覆った。
「本当に、内閣総理大臣から直接なんですか?」
この日本国を担う、国家のピラミッド、そのの頂点の椅子に座る男性——それが菅原大臣だ。人当たりがよい人物として、たびたびニュースで報道されている。だがしかし、国家の安全のためには、大臣はノヴァ日本支部の青年に権力を行使しなければならないときがあるのだ。
ハルトは、肩までのボサボサとした黒髪をかく。ボサボサというよりも、ふわふわしている印象が、彼の黒髪に近しい。
彼は菅原大臣から要求されたことを、簡潔にまとめる。
「そうだ。林主任。ウーゼでエンジェルのせん滅を行うように急かされた」
すると、それにサクラは反論した。
「マスコミへの情報規制は行われているはずです。なのに、なぜですか?」
「情報は筒抜けなんだよ。ったく……」
ハルトからすれば、マスコミは、情報を得るためなら裏工作も行なう集団だと認知していた。ただし、それは、一部の新聞や週刊雑誌の記者にすぎない。
どこの組織にも、厄介な人間はいるのだ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




