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リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
第二戦 ステップを合わせて
89/260

扉の奥2

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



 それから、彼女は、自分の胸を、ぎゅうっと強く押さえると、頭を抱えて、ずるずるとその扉に背を引きずって、嘆息とともに座り込んでしまった。

 まずい、まずい、まずいって⁉ いや、いくら女の子でも、いや、真白さんは女子で、私も女子だけども……。これは、ダメなイベントだってー⁉ 

 スズの頭の中は、ぐるぐると渦を巻きながら困惑をし、大きく早鐘になっている自分の心臓の動悸と、いつもより少し荒い呼吸が耳に聞こえる。

 頭の中に、先ほどのカエデが思い出された。当然、全裸のカエデだ。

 スズは、ゴクリと唾を飲み込むが——しかし、すぐに頭を左右に激しく振る。あんな、きれいな人間を、スズは見たことがなかったのだ。

 厚さが薄い唇に、少し先が尖った小鼻。黒い、まるで墨のような色をした瞳。それに、(たか)のような凛々(りり)しいまなじり。手足も鼻と同じく小ぶりだ。彼女は同じ年頃の若い女性にしては、すらりとした四肢と、ふくよかな胸を持っていた。

 そして、彼女の腰の位置は、スズよりも少し高かった。聞くところによると彼女は、身長が百六十センチメートルあるらしい。

 と、とりあえずさっきのは、考えないようにしよう。うん、そうだよね。スズが、自分を落ち着けるために深呼吸をした、そのとき、脱衣所から鈍い物音がすると、彼女は声をかける。

「久遠さん?」

 最初からカエデの返事がなかったので、気になったスズが扉を開けると、ワイシャツ姿のカエデが床に倒れていた。

「ねえ、久遠さん、大丈夫?」

 スズはカエデの細い両肩を揺すると、背中に自身の手を差し込んで、抱き抱えるような体勢にさせる。

 カエデは、一瞬だけまぶたを開け、再び閉じた。

「よかった……」

 でも、これ、どうしよう……。少し唇を結んだスズは、慎重に立ち上がると、そのままベッドに運び、カエデに羽毛布団をかける。

「びっくりした……。でも、久遠さんが無事でよかったよ」

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

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