扉の奥2
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
それから、彼女は、自分の胸を、ぎゅうっと強く押さえると、頭を抱えて、ずるずるとその扉に背を引きずって、嘆息とともに座り込んでしまった。
まずい、まずい、まずいって⁉ いや、いくら女の子でも、いや、真白さんは女子で、私も女子だけども……。これは、ダメなイベントだってー⁉
スズの頭の中は、ぐるぐると渦を巻きながら困惑をし、大きく早鐘になっている自分の心臓の動悸と、いつもより少し荒い呼吸が耳に聞こえる。
頭の中に、先ほどのカエデが思い出された。当然、全裸のカエデだ。
スズは、ゴクリと唾を飲み込むが——しかし、すぐに頭を左右に激しく振る。あんな、きれいな人間を、スズは見たことがなかったのだ。
厚さが薄い唇に、少し先が尖った小鼻。黒い、まるで墨のような色をした瞳。それに、鷹のような凛々しいまなじり。手足も鼻と同じく小ぶりだ。彼女は同じ年頃の若い女性にしては、すらりとした四肢と、ふくよかな胸を持っていた。
そして、彼女の腰の位置は、スズよりも少し高かった。聞くところによると彼女は、身長が百六十センチメートルあるらしい。
と、とりあえずさっきのは、考えないようにしよう。うん、そうだよね。スズが、自分を落ち着けるために深呼吸をした、そのとき、脱衣所から鈍い物音がすると、彼女は声をかける。
「久遠さん?」
最初からカエデの返事がなかったので、気になったスズが扉を開けると、ワイシャツ姿のカエデが床に倒れていた。
「ねえ、久遠さん、大丈夫?」
スズはカエデの細い両肩を揺すると、背中に自身の手を差し込んで、抱き抱えるような体勢にさせる。
カエデは、一瞬だけまぶたを開け、再び閉じた。
「よかった……」
でも、これ、どうしよう……。少し唇を結んだスズは、慎重に立ち上がると、そのままベッドに運び、カエデに羽毛布団をかける。
「びっくりした……。でも、久遠さんが無事でよかったよ」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




