一緒の生活
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
シュコンッと、部屋の扉が開く。彼女たちの目の前には、ふたつのベッドがあった。
スズは、不思議そうな表情をしながら聞く。
「ここが部屋ですよね?」
「はい。そうですよ。スズさん」
のんきにサクラが答え、彼女は話を続ける。
「でも、ベッドがふたつなんですけど……」
サクラは、先ほどよりも、真剣な声で内容を伝える。
「スズさんとカエデさんのお二人には、これから七日間、この部屋で一緒に生活をしてもらいます」
スズは、面食らったような表情をしていた。
「え? 一緒にって、それ本気なんですか?」
カエデは不思議そうな表情で、会話を聞いていた。
ユキはあまり表情を出さないが、頭の中では疑問が浮かび上がっている。
「ちなみに、あと七日しか時間がないから——」
二人は、サクラに爽やかな微笑みで言われる。
「これは命令だよ♪」
スズは内心、緊張でいっぱいいっぱいだった。く、久遠さんと……?
カエデが、主任、と呼びかけると、三人はサクラを見る。スズは、カエデの、その凛とした声に肩を震わせたから、よほど緊張していると思われた。
サクラは、カエデに問いかける。
「どうしたの?」
「この部屋で過ごすのは、私たちだけなの?」
サクラは、左手でファイルを持ち、もう片方の手で二人を手のひらで指しながら言う。
「ええ。あ、大丈夫だよ。ユキにも、部屋を用意してるから」
カエデは、ユキにちらとでも目線を送らずに、話を続ける。
「彼女もだけど、スズは、私たちとは初対面なのよ?」
スズはユキを見る。……真白さんも、大丈夫なのかな?
少ししてユキが、こちらを見返す。ユキの、きょとんと、不思議そうな表情が彼女の目に映る。
サクラは、彼女たちを見つめる。
「一緒に寝起きして、ご飯を食べて、一緒にダンスをするだけだって」
カエデの黒い瞳には、スズが少し不安そうな顔をしているようだったが、うなずく仕草が見えた。スズは、わかりました、とサクラに返事をする。
「そう。もう私は、先に行くわね」
そう言ったカエデは、早速と言わんばかりに、洗面所に姿を消した。
「あ……うん。久遠さん」
律儀に返事を返すスズに対して、ユキは無言で、カエデの背中を見送っていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




