シナプス汚染
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
スズは、シナプス汚染という言葉に、少しドキリとする。シナプス汚染って、確か、パイロットへの精神的異常——だよね? スズは顔を曇らせた。
昨日、サクラが説明してくれた言葉の数々が、彼女の心を曇らせたのだ。ウーゼは私たちの適合率が高いほど動かしやすい。だけど、最悪の場合は——死亡する可能性が高い、って……、とスズは少しうつむく。私もいつか、そうなるのかな?
「平気よ」
スズは、ふとカエデを見る。
なぜ彼女がそう言ったのか、わからないからだ。
「大丈夫ですよ、スズさん」
サクラは人差し指を立てる。
「そんなことが起こらないように、今日も2号機を修理したら検査しますし、5号機もちゃんと動いていますよ」
ユキも、まっすぐ彼女の顔を見て、静かな声で答える。
「平気。護るから」
彼女はとっさに返事ができなかった。言葉を考えながら、腕時計のベルトを調整する。
「あ、すみません。暗い話しちゃって……」
スズは髪の後ろをかく。
サクラが言う。
「ううん。心配してるだよね? 二人のこと」
スズは、少し目を見開いて驚き、うなずいた。
「……はい」
カエデの表情からは読み取れないが、彼女も少し心配そうにする。彼女は腕を組んだ。
「でも、2号機に損傷を負わせてしまったわ」
カエデは唇をぎゅっと結ぶと、呆れたようにひとつため息をつく。
「あいつらは、のうのうと生きてるというのに……」
やっぱり、嫌いなのかな? とスズは、カエデに対してそう思うが、話題を変えようと、彼女に話を振る。
「ねえ、久遠さんって、ダンス得意?」
スズに聞かれたカエデは、どうして? という顔をする。
「なぜ突然、そんなことを聞くの?」
スズは、しまった、という表情をする。
「私、ダンスやったことなくてさ」
「そうなのね」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




