『A2爆弾による攻撃報告』
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
アカネは、国連軍会議室に直通している固定電話の受話器を置き、次々に、部下の名前を呼び始める。
「山田室長、林主任も、今から私と一緒に来て」
ハルトは、背筋を正しながら立ち上がる。
「はい。司令」
パイロットたちと一緒に戻ったサクラも、承知しました、とアカネに向かって、立ち上がりざまに敬礼をする。そして、アカネは横目で、ハルトの隣を見る。そこには黄色いウインドブレーカーを着用している少年がいた。
「……一色パイロットも、興味があるのなら来て」
ワーキングチェアであぐらを組んでいたアオは、微笑んで敬礼する。
「ぜひ」
部下を引き連れたアカネは、作戦会議室の扉を開ける。
暗い部屋だったが、彼女が部屋の電気をつけると、パッと明るくなる。一同は一瞬、目が眩んだ。同時に、ちょうど電源がついたテーブルディスプレイが稼働し、フォンッと、映像が切り替わったと同時に、きりかえのため、画面が暗くなる。
アカネは、テーブルディスプレイから目を離すと、部下たちを見つめる。
「エンジェルは?」
「はい」
ハルトは、『A2爆弾による攻撃報告』の分厚い資料を見ながら、アカネの質問に答える。
「約三十分前、A2爆弾で十五パーセントの攻撃に成功しました。しかし、完全に殲滅させるには、やはり、ウーゼが必要です」
アカネもほかの書類を見つめながら、部下たちとともに確認をする。もちろん、部下だけではなく、パイロットもいるのだが。そのパイロットである、一色アオが口を開いた。
「汐波司令。このA2なんとかで、エンジェルを十五パーセントだけ攻撃出来ただけなのに、ウーゼって必要ですか?」
「そうよ。足止めには成功。A2爆弾では効かなかったと言いたいのね。室長」
アカネが艶のある茶色い瞳を室長に向けると、ハルトは、はい、と首肯する。
「多数の抗議の公文に、国連上層部からも正式な文書が届いています。また、日代大尉から、司令宛てに文書が届いています。ご覧になりましたか?」
「ええ。いざとなれば、私たちのせいということね」
アカネは目を細め、ため息をついた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




