得体の知れない不安
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
「失礼します」
一度、サクラがチョーカーに触れると、ピピッと、作動音を小さく鳴らした。
そのあとは、ピ——ッと、作動音を鳴らしたりしたが、タブレット端末を彼女が操作したりすると、その音はやんだ。
確認をされている間は、カエデは無言で彼女に従った。
サクラはそのあと、ヘリコプターのパイロットに、出発の指示をそれとなく出した。
それぞれのヘリコプターのパイロットが支部に報告をし、二機のヘリコプターが出発する。
2号機と5号機が、小さく遠くなっていく。
その後、二機は、ルート147に回収をされた。
八本のボルトが回転しながら、ルート147の重厚な扉を、バシュウウッ、と閉じる。
スズは、心に晴れない不安感を持ちながら、カエデの頚部に装着されているチョーカーを見た。
それは黒光りしていて、差し色に入っている赤いラインが、妙に艶めいている。
それを見ているスズは、得体の知れない、心臓の鼓動が早まるような不安に襲われるばかりだった。
彼女は無意識に、握った拳を、胸の辺りに当てた。
だが、それは、彼女の心臓の鼓動が、体の内側から太鼓を鳴らしているように感じられるだけだった。
その不安を言葉にしようものなら、スズは今ここで言ってはいけない言葉を吐きそうになるのだ。
得体の知れない不安感ばかりが、彼女の体に掛けられた布団のように、重く、重く覆っていく。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




