護送ヘリ
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
映像が自動的に切れ、勝手に切り替わった外部スピーカーで、カエデは二人に呼びかけた。
『ハルトに助けを呼んだわ。これから、護送ヘリが来るそうよ』
再び、スピーカー越しに、主任の声が聞こえる。
『2号機・5号機を確認。これより、回収します』
上空には、二機のヘリコプターが回転翼で突風を吹かせていた。
ヘリコプターに乗り込むときのユキは、三人の黒スーツの男女に付き添われていた。
だが、スズとカエデも、別なヘリコプターに乗り込む。
その三人とは別に、こちらに近づいてきた女性職員は、スズとカエデに気づくと、女性職員は、親しげに会釈する。
ユキは連れ立っているほかの支部関係者らしき人物ともに、ヘリコプターに乗り込んだ。
女性職員は柔らかな笑みを浮かべたまま、スズたちに話しかける。
「お疲れさまー。スズちゃん。カエデさんも」
「え? サクラさん? どうしたんですか?」
スズが締めようとしたシートベルトは手が離されると、座席に金属音を鳴らして置き去りにされ、まるでヘッドホンの形をした航空機用ヘッドセットも、脇に置かれた。
そして、彼女は、開け放たれているヘリコプターの横開き扉に近づいて屈んだ。
スズにとっては、サクラがいつもより頭半分ほど低く見える。
「ちょっと、仕事のついでに足を延ばしにきたんだ」
サクラは笑顔でそう言いながら、ヘリコプターに乗り込んだ。
「突然すみません。林です。一名追加でお願いします」
彼女は後ろを振り返ると、ヘリコプターのパイロットに、出発時間を少し遅らせることを了承してもらう。
「すみません、カエデさん。確認をしてもいいですか?」
「ええ」
サクラはカエデの頚部に着けられたチョーカーの確認を、持っていたタブレット端末に打ち終えた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




