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リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
第二戦 ステップを合わせて
75/260

エンジェルのくせに

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



 再び、シャコンッ、とディスプレイが開かれると、サクラの声が二機のコックピットに響く。

『皆さん、退却してください!』

 カエデの悔しそうな声が、2号機のディスプレイから聞こえた。

『今のなんなのかしら……エンジェルのくせに』

 スズは疑問に思いながら、カエデに少し萎縮いしゅくして、ふと考えてしまう。もしかして、エンジェルが苦手なのかな? ……でも、敵——。

 ふいに、ユキがスズに尋ねた。

「スズ、5号機を動かせる?」

「あ、うーん。多分だけど……やってみるよ」

 途端、金属音がコックピットに響く。

 スズが急に動かした5号機は、2号機とがんじがらめになり、身動きが取れない状況になっている。

 スズは座ったままだったが、前方に体を大きくのめらせそうになった。

「わっ」

 彼女の一本にまとめられた黒髪も揺れ動く。その黒い瞳は、驚きで見開かれていた。5号機が、ヴヴンッと、動きを止める。

「あー、危なかった……」

 スズは大きく息をついたが、ユキに尋ねられる。

「平気?」

「うん。大丈夫」

 カエデからも、ディスプレイで返答がきた。

『二人とも、平気? 今度は私のほうからも動かしてみるわ』

 カエデは操作を続け、5号機の上となった2号機を動かそうとするがダメだった。

 ディスプレイ越しのカエデは、ため息をついた。

『あなたたちからも動かせる?』

「え? これは、できないと思うよ。助けって呼べるかな?」

『ええ。少し待って』

 カエデは2号機の上半身を起こすようにすると、プログを射出し、ハッチを開けると外に出る。

 スズは、ズームされた彼女を視認する。

 彼女は日本語で『ノヴァ日本支部・2号機パイロット』『久遠カエデ』と名前を識別されていた。彼女が動きを見せるたびに、左側に表記をされている丸いオブジェクトは追う。

 カエデは、ウーゼに付属されている固定電話で助けを呼んだようだ。彼女は受話器を置くと、5号機をちらりと見る。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

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