衝突
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
スズが、上に広がった大きな影に気づいた。
「ん? え? あれ、2号——」
そのときには、2号機の黒い巨体が5号機に向かっていた。スズの驚きを隠せない顔と大声が、コックピットに響く。
「わぁああ⁉」
ユキも、表情には出さなかったが驚いた。
2号機と5号機が、激しくぶつかり合う。
2号機の腰の部分を受け止めるようにして5号機は下になり、2号機の左足を絡めるようにして抜けなくなった。
震度二のような揺れが起こると、2号機のコックピットに座るカエデは、顔を歪めながら強打した背中に感じる痛みに耐えていた。
『……いったた…………』
高機能なフィードバック——つまり、思考を返す力の強さは、ウーゼの感覚を全てパイロットに伝える伝達により、ウーゼが物をつかむ感覚や痛みも感じることができる。その力は強ければ強いほど、よいとされている。
CPOは、パイロットを直接の保護ができる酸素補給も可能な液体ガス、正式には、パイロット接続専用液体酸素だ。
ただ、空気と同じように循環をしなくてはいけない。
コックピット後方にあるCPO循環器が稼働を止めてしまうと、肺が酸素不足になり、息が苦しくなったりする。ほかの可能性としては、脳内に充分な酸素がいかなくなり、頭痛と、倦怠感が襲ってきたりする。
また、酸素不足が長時間続いてしまうと、パイロットが気絶をしてしまう。
たとえ、どんなにパイロットが泣き叫ぶ激痛や、我を忘れそうになりそうな激しい感情でも、そのパイロットの状態に合わせた思考を解析し、反映させる。
そのための、戦闘に特化した服装と、パイロット接続専用液体酸素だ。
スズは、強く目をつむっていたが、薄目を開ける。
「ねえ、二人とも、大丈夫?」
すると、カエデから返事が来た。
『ええ……平気よ』
スズの左隣から、ユキの声も聞こえる。
「私も平気。あなた、けがは?」
そう言ったユキは、スズのほうを振り向く。スズはそんなユキに戸惑いながら答える。
「うん。平気だよ。大丈夫」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




