2号機 起動
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
金属音がケージ内に鳴り響くと、2号機と5号機が発射位置に固定された。
『2号機・5号機は、射出ターミナルに固定完了』
主任からディスプレイ越しの声を、三人は聞く。
スズはうつむき、髪の後ろを少しかく。心配させちゃったな……。
シャコンッと、2号機からのディスプレイが閉じられるが、すぐにディスプレイに切り替わる。
カエデの声が聞こえた。
『2号機、起動』
ヴヴンッと鈍い起動音がケージ内に響き、2号機が固定され、激しく火花を散らしながら射出をされる。
凄まじい速度で加速をし続け、地上へと向かって行った。
びっくりしたな……真白さんに心配させちゃったし、久遠さんにまで……。先ほどより落ち着いていたが、内省しているスズは、ユキを目で追う。
「あのさ、真白さん?」
ユキは、先ほどの無表情とは打って変わって、少しきょとんとした表情になる。
「……どうしたの?」
「さっきの、私が死なせないって、あれ、聞いてもいい?」
ユキは一度、うつむいたが、決意を含めたような声を発する。
「……私、あなたを死なせたくない」
しかし、2号機からディスプレイが開かれる。
『あれは……? きゃあっ⁉』
砂嵐のあと、ブツッ、と接続を強制的に切られ、2号機のディスプレイが映らなくなった。
スズは、久遠さん? とディスプレイに呼びかけると、ユキもまた、彼女と同じく、ディスプレイに呼びかけている。
「カエデ? カエデ? ——返事がない。さっきの様子からして、何かあったのかも……」
そのあとのユキは少し考えていたが、5号機ディスプレイのコマンドを立ち上げにかかる。
その作業中のユキを、スズは見ながら、少し不安そうに唇を噛みしめる。
「それって大丈夫じゃないよね? 早く行かないと」
その一方で、スズは、ユキがディスプレイを押す仕草を見て、不安な気持ちとは裏腹に、再び安堵していた。ホントに人間なんだ……ああ、いやいや、こんなこと思ってたら失礼だよね?
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




