5号機 出撃準備
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
5号機プログ内のコックピットでは、開かれたディスプレイから、次々に、ウーゼ開発研究主任のサクラや、オペレーターなどの声が聞こえる。
『プログ、固定完了しました』
スズは、コックピットに両足を伸ばして座り、ユキは左隣で、その背もたれに手を添えて立っていた。
スズは、ちらりと彼女を見上げるが、ユキは正面を瞳に捉えている。真白さん、やっぱり、どこかで会ったことあるかも……? いや、気にしすぎか……。
ディスプレイから、若い女性オペレーターの声が聞こえる。
『5号機の思考言語を日本語に固定』
それに応えて、主任の声が聞こえた。
『了解。CPO注入開始』
スズは彼女の声に反応をする。
「え……?」
だが、彼女が、視線を下に向けたときには、薄赤いCPOが噴射される。
「うわっ⁉」
スズが息を吸おうとしたが、CPOは容赦なく口の中に押し寄せてくる。
彼女はそのたびにせき込む。これって、CPO⁉ もしかして、久遠さんも溺れる⁉
そのとき、優しい声色が、パニックになっているスズに声をかけた。
「平気」
スズの目の前に、吐き出された大きな泡が、ごぼりと立つ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




