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リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
第二戦 ステップを合わせて
68/260

インサートスーツ2

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



 ユキが、静かな声で話す。

「私はウーゼには乗るな、って言われているの」

 その彼女の横で、カエデは静かに話を聞いている。

 無言のままのカエデは、自分から一歩を引くスタイルを今も貫いているのだ。

 スズは首をかしげる。

「えっ? どうして? 確かに、ハルトに説明されたけどさ……なんか納得できないよ」

 戸惑(とまど)うスズを彼女が説明をする。彼女のくるんとした毛先は、(ほお)にかかっている。

「私が乗っていた0号機は、まだ強制停止中だから」

 スズは、聞き慣れない単語に疑問を持つ。

「強制停止中? その0号機は動かせなかったの?」

「うん。起動実験中に破壊再生したから」

「破壊再生? それって——」

 スズはユキを見るが、再び視線をそらす。彼女は頭の奥で嫌なことをまた思い出してしまい、ひとつ浅いため息をついたが、すぐにユキに尋ねた。

「教室で会ったときのけが? 大丈夫なの?」

「それはあなたに会う前だから、もう平気」

 今度はカエデが、説明の補足をする。

「彼女のけがは回復してるわ。安心して」

「そうなんだ。よかった」

 カエデの影のシルエットが、くるりとスズに背を向ける。

「あ、待って、今行くよ。久遠さん」

 カエデの足音が遠ざかって行くと思われたが、突然、彼女は止まった。

「どうしたの?」

 カエデが(こぶし)(にぎ)ると、ギチッと、インサートスーツの衣擦れの小さな音がする。

「いえ。なんでもないわ」

 少しかぶりを振ったカエデは、そのまま先を行き、自動扉が、シュコンッと閉まった。

 行っちゃった……何か言おうとしてたのかな?

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

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