『エンジェル戦闘報告書』
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
メインディスプレイには、エンジェルが拡大され、端には、CPO循環器やウーゼのシステムが映っている。
室長がそれを見ると、CPO循環器は正常に稼働していた。彼は、アオの1号機(改2)以外は、ウーゼも三機とも起動できるようだと確認を終えると安心した。
ハルトは、平和もいいが、指令室の室長としての仕事が忙しいと、考える間もなく、気が紛れると考えている。
そして、何より、学校で過ごすときよりも、仕事をしているほうが目が回るほどに忙しいが、それだけで一日があっという間に終わってしまう。
あくびをしながら廊下を歩き、休み時間に次の授業を考えることよりも、目が回るほどに忙しいが、指令室でこの都市の平和を維持しているほうがよっぽどいい、と彼はたまに思う。
彼はまたパーソナルコンピュータに向き直ると、曲げた指の節を唇に当てた。
そして、過去の戦闘をまとめたファイルをマウスでダブルクリックして、その中にある『エンジェル戦闘報告書』を開く。しかし、彼の目に飛び込んできた情報は、まったく違ったものだった。つまり、職員が、報告書の電子化を終わらせていないらしかった。
彼は脳裏に、今日は、悪運でもついているのか、とそんな思いをよぎらせた。
パーソナルコンピュータの液晶画面には、ハルトの報告書が映る。それはハルトが自分で示唆していた、ウーゼの点検のために搭乗した後日に作成されたものだ。
——なお、被験者・第XX号、Y・Hは、イレギュラーな存在と思われる——
ハルトは内心、ため息をついた。イレギュラー、か。それは俺も知りたいよ。
アオも、パーソナルコンピュータの液晶画面を覗き込む。そして、右手の曲げた人差し指をあごに当てる。
「ふうん……なんだ、内緒話って言うことか」
「おまえ……どこまで知ってる?」
アオは、パーソナルコンピュータの画面を指さす。
「これは、今知ったよ。ていうか、この試験やったことないな。僕は直接、乗り込んだから」
ハルトが何かをひらめいたように灰色の瞳を見開くと、アオは不敵に笑った。
「ね? 室長。君のためになった?」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




