非常招集2
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
そのとき、ユキの携帯電話から着信がなると、彼女はそれを小さな耳に当てた。
「ハルト。はい。わかった。スズも一緒。すぐ向かう」
彼女は携帯電話を切った。
「グラウンドに来てるって、ハルトたち」
「うん」
うなずいたスズは彼女とともに、生徒玄関に向かったが、目に飛び込んできたその光景に驚いた。
「ねえ!」
スズは乱れる横髪を押さえながら、ユキに声を張って話す。
「これ、ヘリ?」
ユキは、こくりとうなずく。
校庭では、一機のヘリコプターがホバリングをしていた。回転翼が、校庭の砂塵を巻き上げる。
黒スーツに身を包んだ青年は、ヘリコプターのドアを勢いよく開けた。
「乗れ。二人とも。緊急招集だ!」
スズとユキは、縄ばしごをつかんで上ると、ハルトに手を引き上げられる。
「ありがとう」
アオは後頭部に組んだもろ手を当てる。そして、彼は眉をひそめた。
「ちぇっ。その役、僕がやりたかったのに……」
彼は、ハルトが二人の手を引き上げる様子が面白くないらしい。まるで、ハルトが、童話の王子様のようだからだ。
「じっとしてろ。アオ。あまり動くと危ないからな」
ハルトに忠告されたアオは、おとなしく首肯した。
「うん」
スズは奥の椅子に座ると、シードベルトを閉めた。ユキの代わりにアオが縄ばしごを回収する。それから、ユキはスズの隣の席に座り、それからシートベルトを閉めた。
ハルトは、ヘリコプターの扉を閉めてから、パイロットに言う。
「最大全速で出してください」
ヘリコプターのパイロットは、了解、と意気揚々と応えた。
スズは黒いリュックサックの中から、B5サイズの深緑色の本を取り出すと、ハルトは思わず声を上げる。
「あ。それ……」
「ハルト。知ってるの? このパンフレット」
スズは、パンフレットを彼に見せながら問いかけた。
「知ってるけど……面白いのか?」
彼の灰色の瞳は、左を向いた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




