自己紹介
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
二人が一年二組の教室に入ると、教師の柊アヤは、出席簿を教卓に置いて話し始める。
彼女は、肩までの黒髪を小さくまとめている。今日はグレーのパンツスーツ姿だが、大人らしくてそこが凛々しいと、一部の生徒たちから好評を受けている。授業の教え方や解説もわかりやすく、さらに、男女問わずして生徒たちから人気の教師らしい。
「では、早速、皆さんに自己紹介してもらいます。まずは真白さんから、よろしくお願いします」
彼女に名前を呼ばれたユキは、制服のスカートの横に手を下げて、ぼうっと静かに教室を見回していた。
彼女は、深紅色の細長いネクタイがワイシャツの襟首を彩り、薄灰色のスカートが白髪に映えている。
「真白ユキ」
よろしく、とも、何も挨拶を言わず、彼女はひと言そう答えた。スズは、隣で両手を下げ、立っているユキを盗み見た。あのとき、助けてくれたよね。でも、見たことあるような?
柊が、また司会進行を続けた。
スズは、ぼんやりとしていて、彼女の指示を半分聞いていなかった。どこでなんだろう……?
スズはユキに、こっそりと言われた。
「——スズ」
真白さん、だっけ? また、名前で呼ばれた……。
スズはユキに、もう一度言われる。
「スズ。呼ばれてる」
「えっ?」
スズは、いつの間にかクラス一同が自分を見ているので、ユキに言われたことを実感したと同時に、少し緊張した。
「えっと……」
彼女は、うなじを触る。
「橘スズです。これからよろしくお願いします」
クラスメイトたちは、紺色のセーラー服に身をまとった、会釈をする〝彼女〟にどよめきを隠せなかった。
「転校生」という彼女のレッテルに追加されて、スズのはにかんだ笑顔がかわいらしいからだ。
クラス一同は大げさに、再び、どよめいた。
柊は皆を静かにさせる指示を出したあと、スズとユキに着席の指示を出す。
「では、真白さんは窓側の席、橘さんは、そこの席が空いてるので座ってくださいね」
柊は、彼女たちに微笑みながら話し続けた。
教室内は、二人の転校生に興味津々の生徒たちで、まだざわついている。
スズは席に座るが、彼女は、窓側で頬杖をついて、ぼうっとしているユキを見つめる。真白ユキさんか……。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




