スズと白髪の少女
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
スズは他の生徒たちに混じって、生徒玄関に向かって行った。
ハルトに言われた先ほどの言葉が、まだ耳に残っているのだ。頑張ったな——なんて、トシヤさんたちにも言われたことはあるけど……なんでだろう? さっきの言葉で、心がちょっとだけ軽くなった気がする……。
「あの子、迷ってない?」
スズには、他の生徒に混じり、白髪の少女が目に付いた。
だが、彼女は、一瞬だけ立ち止まるが、また歩き出す。
「でも、あの子……なんか空気が張り詰めている、っていうか——」
彼女が再び歩きだしたので、スズは、ふいに口を閉じる。
スズが四階の廊下を歩くと、履いている新しい上履きが生徒のざわめきとともに響く。校舎は四階まであり、窓ガラスに自分の姿が映る。
だが、スズは、ふいっと目をそらす。嫌な思い出……。
大きな窓ガラスに手をつける、小学生の頃の自分————。
スズは、少し険しい表情で唇を結ぶ。
そのとき、教室の引き戸が開けられ、スズは横を見る。
肩と胸まである白い髪に、制服姿の少女が、スズの瞳に映る。
他の人よりほんの少し白い肌が陽に照らされ、前髪は、真ん中と横髪に分けられている。
「どうしてここに?」
スズは、もう一人の少女を驚きながら見つめる。あ……ハルトから聞いてるのかな?
その少女の両側、横に分けられた前髪から見える少し長いまつげの赤い瞳は、スズを惹きつける。
少女は、けがをしているのか、腕には固定器具をしており、頭にも包帯を巻いていた。
スズは、先ほどの驚きよりも、心配する気持ちが口をついて出た。
「真白さん、けがは大丈夫? 平気なの?」
彼女は、こくりとうなずき、それから、抑揚のない声で、平気、と応える。
「ていうか、学校来られるんだね。よかった」
「学校は行っていいって、許可が出ているから平気」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




