ハルトの応援
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
「あ、ハルトは行かないの?」
スズは、少し訝しげにハルトを見る。
「ああ、俺は行けないんだ」
「え? どうして?」
少し迷っていたようだったが、スズの何かに負けたようだった。
彼は、ぽつりと答えた。
「俺の個人的な事情」
スズは思わず、ハルトの顔を少し覗き込むが、あまり深くは聞かないでおこうと思った。
サクラは先ほどの穏やかな笑みより、真剣な表情になる。
「スズさん。何か問題が発生したときは、すぐに報告が入りますので、あしからず」
スズは、何かよくわからないまま、それを繰り返して尋ねる。
「問題って、たとえば、どんな問題なんですか?」
「たとえば、クラスメイトとのいさかいから、退学などです」
スズは、目を丸くした。
「た、退学、ですか?」
「スズさんは真面目だとうかがいました。なので、ありえないと思います」
「あ、そこまで調べてるんですね」
スズは、右下に視線を向けた。
「知ってたんですか」
ハルトは、ああ、と答えて言う。
「スズ。今まで頑張ってきたよな。これからは少しでいいから、肩の力抜いてくれ」
そして、青年は、左手を挙げた。
「気をつけて帰れよ」
「ありがとう、ハルト。サクラさん。あ、他の皆さんにも、よろしくお伝えください」
スズがそう言って会釈すると、サクラは微笑んだ。
「はーい、気をつけて、スズちゃん! 授業楽しんで!」
ハルトも手を振って、彼女に応える。サクラは、ハルトが乗り込んだ銀色のハイブリッド車を走らせた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




