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リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
初戦 出会い
55/260

ハルトの応援

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



「あ、ハルトは行かないの?」

 スズは、少しいぶかしげにハルトを見る。

「ああ、俺は行けないんだ」

「え? どうして?」

 少し迷っていたようだったが、スズの何かに負けたようだった。

 彼は、ぽつりと答えた。

「俺の個人的な事情」

 スズは思わず、ハルトの顔を少し(のぞ)き込むが、あまり深くは聞かないでおこうと思った。

 サクラは先ほどの穏やかな笑みより、真剣な表情になる。

「スズさん。何か問題が発生したときは、すぐに報告が入りますので、あしからず」

 スズは、何かよくわからないまま、それを繰り返して尋ねる。

「問題って、たとえば、どんな問題なんですか?」

「たとえば、クラスメイトとのいさかいから、退学などです」

 スズは、目を丸くした。

「た、退学、ですか?」

「スズさんは真面目だとうかがいました。なので、ありえないと思います」

「あ、そこまで調べてるんですね」

 スズは、右下に視線を向けた。

「知ってたんですか」

 ハルトは、ああ、と答えて言う。

「スズ。今まで頑張ってきたよな。これからは少しでいいから、肩の力抜いてくれ」

 そして、青年は、左手を()げた。

「気をつけて帰れよ」

「ありがとう、ハルト。サクラさん。あ、他の皆さんにも、よろしくお伝えください」

 スズがそう言って会釈すると、サクラは微笑(ほほ)んだ。

「はーい、気をつけて、スズちゃん! 授業楽しんで!」

 ハルトも手を振って、彼女に応える。サクラは、ハルトが乗り込んだ銀色のハイブリッド車を走らせた。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

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