五人目のパイロット
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
「いつか、再び、私はスズに会う」
スズが憶えていた、記憶の中にいるリリムは、赤い瞳を、再びスズに向ける。
そこで、スズの記憶は途切れた。
次々と聞こえてきたその声に、スズの頭は混乱をする。え? なんで、今さら思い出したんだろ?
「え?」
スズが無意識に疑問を投げかけたサクラの声は、だんだんと聞こえてきた。
「ねえ、スズちゃん? スズちゃん、大丈夫?」
「あ、はい……大丈夫です。林さん」
「よかったー……びっくりしちゃったよ」
サクラは彼女の肩を撫でたが、すぐにその手を離した。
「あ、ごめんね。スズちゃんの制服、汚しちゃったかも」
「いえ。すみません。ありがとうございます」
アオは無言で、彼女の背を支える。スズが体を震わせて、青ざめた顔で彼に顔を向けると、彼は首を横に振った。彼は、何も言わなくていい、と言っているみたいだった。
サクラは、目の前の人型のものに目を向ける。
「私たちは、人型戦闘兵器ウーゼと呼んでいます。これはその5号機」
「5号機……」
「そう。スズちゃんと同じ、五番目の機体だよ」
サクラは持っていた、桃色と黒色の手袋を少し強くつかむ。
スズはそれを見たあと、同情と悔しい気持ちで彼女を見つめた。サクラは、そんなスズを横目で見る。
「さっきは、ウーゼが再起動するなんて信じられなかったな」
彼女は思い出すようにつぶやく。
スズは、少しの間を置く。
「とにかく、やらないとって、思ったんです」
スズがまたうつむくと、サクラは疑問に思った。
彼女には、目の前の少女が何か思い詰めているように見てとれたのだ。
「どうかしたの?」
サクラはスズに気にかけて、少し小首をかしげてから微笑む。
「あなたはウーゼに乗ることができる、五人目のパイロットなんですよ」
「ウーゼに?」
サクラは、こくっとうなずくと、サムズアップをした。
「うん。このかっこいいロボットにね」
スズは、その決定を迷っていて、また、ふいっと、表情を見えなくさせた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




