問いかけ
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
カエデの後ろから来た青年は、スズに心配そうに駆け寄る。
「——って、どうした? なんかあったのか?」
「大丈夫よ。彼女、少しよろめいたみたい」
彼は安堵の表情を、その顔に浮かべる。
「そうか……よかった。大丈夫か?」
青年は、カエデに顔を向けた。
「先に戻っていてくれ」
「ええ」
病室の開き戸が、静かに閉まった。
スズは、青年が自分の背中に触れた手を認識していたが、振り払うこともできなかった。彼女はビクッと、体を震わせると、まだ肺が痛くなるほどに呼吸を繰り返す。
スズの呼吸がようやく落ち着いた頃、躊躇しながら、彼女の背中をさすっていた青年は問いかけた。
「平気か?」
スズはうなずいた。青年は、彼女の顔を覗き込むようにしながら、自己紹介する。
「俺は山田ハルト。呼び捨てでいい。橘スズだよな。うなずけるか? 無理しなくていい」
「えっと」
さっきの人? 酸素チューブが——って。スズは目をぱちくりさせる。ハルトは安堵していたが、彼は、スズに驚かれたことに不思議に思っていた。
「ん? どうした?」
スズは首を振り、その問いかけに遠慮がちに返す。
「もしかして、手紙をくれた人ですか?」
ハルトは口を開き、何かを言おうとしてやめた。
スズをまっすぐに——だが、なぜだか拳を少し強く握り、悔しそうな悲しそうな表情で彼女を見ていた。
彼女は内心、戸惑っていた。え? どうして、そんな顔……。
それから、その表情を消すように、彼は、ふっと肩を落とした。
「ああ。でも、なんで、あの場所にいたんだ? 警報が発令されてたのに」
何か、感情を押し殺してるような声を、彼は出した。
スズは、斜め下に顔を向ける。
「えっと、なんとなく行かないと、って思ったんです。それに、ここに山田さんに招集されたので」
スズは、うなじに触れる。なんでかわからないけど、あの白い髪の女の子に助けられたな。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




