映像
この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。
目を細めたアカネは、メインディスプレイを見据えたまま、一同に指示をする。
「けが人の保護を最優先に。ユキは病院での検査ののち、〝クロス〟へと隔離して」
司令の指示に続いて、室長も指示を飛ばす。
「林主任。少し所用がある。あと頼んだ」
サクラは、ハルトのことを心配する。室長が指令室を離れることは時たまにあるのだが、きっとユキと接触をするのだろう、と考えたからだ。
「はい、了解しました。室長。気をつけてください」
サクラは、引き続き、メインディスプレイを見ていた。
熱エネルギー反応は、フェイトによって、諏訪市の周辺地図とともに、小さな赤い丸が動くように自動操作をされる。
今のスズとユキとカエデの三人は、微妙に重なり合っていて、少し判りづらい。
その三人は5号機の付近にいるらしく、そこに、小さな赤い丸があった。
「何も熱エネルギー反応の増加もない……住居指定区域にも、異常はないみたい」
今は避難をしている住民が住む、住居指定区域は、都市部中心から離れた地下にある。
その地上には、おとりのミサイルなどを発射する武装ビルや、ウーゼを射出させるためのビルに偽装をしている射出ポイントのルートが、いくつも取り囲んでいる。
「さっき、カエデさんが拒絶反応を起こしたとき——熱エネルギー反応が三になった」
カタタッ、とサクラは、パーソナルコンピュータのキーボードを叩いて、データベースを画面に映し出す。
確かに、カエデの心理パルスが不安定なときに、熱エネルギー反応が増えているみたいだった。
サクラは、またキーボードを叩くが、そこには何もなかった。
「そのときのプログの映像は?」
多分データはない、と言いたげに、サクラは首を小さく振る。それから、彼女は顔を上げた。
「……誰か、5号機プログの映像を、メインディスプレイに出せますか?」
若い男性オペレーターが、すぐさま応じた。
『了解』
オペレーターは、キーボードを叩き、〈ウーゼ5号機・プログ〉を画面に出す。
「ありがとう。……これ——」
サクラは、身を乗り出しそうになりながら、パーソナルコンピュータの画面を凝視する。
そこに映ったのは、ユキがカエデに馬乗りになり、ユキが自分の両手を、カエデの頬に当てている映像だった。
サクラも、その場にいた全員も、その映像から目が離せなかった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。
一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。
一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。




