↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
初戦 出会い
42/260

ユキとアオ

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



 ヘリコプターから、少年が降りてきた。それは指令室・室長のハルトではなく、1号機(改2)パイロットのアオだった。

「なんで、あの(ちから)なんか使っちゃったのさ?」

 彼が肩をすくめると、ユキはひと言答えた。

「スズとカエデが危険だから」

 アオは、赤色が混じった黒い(ひとみ)を見開くが、そのあとは笑った。

「そうだね。君はそういう性格だったよ。帰ろうか。みんなが待ってる」

 アオは、ユキに手を差し伸べる。ユキにはまるで、ダンスを申し込むように見えた。

「……私と踊ったことある?」

 アオは、ん? と首をかしげたが、彼女の言葉の意味に気がつくと、今度は、ふっと笑う。

「今度踊ろうか? 楽しいよ」

 彼女の素足(すあし)が、冷たいヘリコプターのふちに降り立った。

 アオはそれに密かに眉をひそめるが、ユキはそれに気づかずに淡々と答える。

「誘ってくれてありがとう。今度ね」

「はだしって……冷たくないかい?」

 彼女はストンと座席に座ると、シートベルトを締めた。

「ちょっとだけだから、平気」

「けがは? ガラスとか踏んでない?」

 ユキは両足をそろえてから膝頭(ひざがしら)を右に傾けて、ちらっとはだしを見る。特に、けがも何もしていないように見えた。

「ううん、平気」

「そう……よかった。ユキさんにけががなくて」

 アオは安堵していたが、へなへなと力なく、うなだれた。

「僕、これから、室長たちに叱られなきゃならないの、すごく憂鬱(ゆううつ)なんだよな……。アカネには、支部から追い出されちゃうし」

 ユキは眉をひそめ、唇を噛む。アカネ——私を嫌っているヒト。私がカエデに……。しかし彼女は、心中の憂鬱な思いを消した。

「大丈夫」

「え?」

 アオは抱えていた頭を離すと、妙に輝いたような瞳で、白いワンピース姿の彼女を見る。今の彼女の言葉で、もしかしたら自分は怒られないかも、という期待感も混じっていたからだろうか。

 ユキはサムズアップをしていた。

「大丈夫。私も一緒」

 ユキは真面目な顔だが、その顔と手の動きが、アオの中でぴったり一致しないらしい。だから、彼は、顔をほころばせた。

「なんだ。てっきり怒られないと思ったのに……ユキさんも一緒か」

「うん。無断で〝クロス〟を抜け出したから、私も一緒に怒られる」

 アオはまた力が抜けたようにへなへなとなったが、そのまま笑った。いつものにこやかな笑顔とは違う、少年らしい笑った顔だった。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。