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リリムと贖罪  作者: 霧野うみ
初戦 出会い
40/260

沈黙

 この物語は、十三歳(中学生)の橘スズちゃんが、パイロットとしての存在を自問しながら、平和維持組織のノヴァ日本支部の室長の青年や、パイロットたちと協力する話です。



 一方、指令室のメインディスプレイでは、真白(ましろ)ユキを捕捉していた。

 ハルトが、そのディスプレイのある一点に指をさす。

「いた。あそこだ。裏口にいるぞ」

 白髪(はくはつ)を持つ彼女がいる場所は、支部の裏口だ。彼女は、(うれ)うような表情で、支部の壁に手をつけている。

 彼女は、我が子を見る母のように、5号機の中にいる二人に何か声をかけたようだが、その顔は無表情のままだった。

 ユキを、メインディスプレイと、オペレーターのパーソナルコンピュータに映し出した途端、彼女が何かを話した。

 ハルトは、そのオペレーターに向かって問いかける。

「今、0号機パイロットが何か言ったか?」

 しかし、若い女性オペレーターは、声で否定した。

『いえ。わかりません……』



 そして、ユキは、罪人を無言で見下ろすように、厳しい目つきをエンジェルに流す。

 次に発せられたユキの声は、平常の優しい声ではなく、冷静な声だった。

『消えなさい。愚かな神の子よ。あなたに原罪(げんざい)を』

 指令室にいたハルトは、すぐにユキの能力だと察すると、エンジェルと5号機の間を、十メートルの金属の壁で(へだ)てた。

 空が一瞬、キラッと(またた)いて光る。

 エンジェルは振り返ったが、プロテクトを自分の体にまとうにも遅かった。

 ヒュウッ、と、巨大な螺旋(らせん)状の黒紫色の(やり)が、エンジェルに向かって降ってきた。5号機が咆哮(ほうこう)したあのとき、背後の空の、巨大な灰色の扉から出現したのだ。

 ユキの〝原罪の(ちから)〟の黒紫色の槍によって、エンジェルはコアが破壊されると、白い十字架となって沈黙をした。

 突風と爆発音が、諏訪(すわ)市の街中を襲う。

 指令室のメインディスプレイが砂嵐で見えなくなり、ハルトの発言は、他のオペレーターよってやむなく中断をさせられた。



 薄暗い5号機のコックピットでも、オペレーターの報告が聞こえていた。

 若い女性オペレーターが報告する。

『通信、途絶えました。約六十秒後には回復』

『麻酔薬の投与は続行不可能。投与を中断します』

 続けて、ウーゼ開発研究主任の声が、ディスプレイから聞こえる。

『5号機の回収を開始』

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


 スズちゃんは、みんなのことを知りたいと思いながら、ほかのみんなは、他人にあまり話せない秘密を持っていたりするので、新米のスズちゃんに話すべきなのどうなのか、そこの調整が難しいんです……。

 一方、スズちゃんも、他人には話せない過去がありますので、本人も悩んでおります。

 一見、優秀な登場人物でも、実はとても悩んでいたり……など、人間関係の難しさを表せられたらいいな、と思っております。

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